食べだしたら、止まらない!? Story

 
最終更新日時:
白猫ストーリー
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2017/00/00

目次

Story1
Story2
Story3
Story4
Story5
最終話


主な登場人物






story1 戌に育てられた少女



「こんにちは、あたちはビューティー12天女のひとり。イヌミコ・イヌイです。
今年の福の神は、戌居さんです。戌居さんから、みなさんに幸が公平に行き渡るように、頑張りましゅ(・・)
イヌミコは、天女としての務めをはたちましゅ! だから、みなさん応援ちてください!」

 「イヌミコちゃん最高! やっぱり、天女は若いのがいいよな。」
 「若いのは若いけどよお。まだ幼すぎないか?」
 「そうか? 俺はあのぐらいの娘が好みなんだがなあ。」
 「そのうち捕まるぞ、お前……。」



「イヌミコちゃん、素直でいい子そうだよね?」
「なんでもあの子は、福の神様に育てられたそうなんだっぺ。」
「神様に育てられた天女か……。こりゃあ、人気でるのも、しょうがないか~。」

マワシの手元には、先日行われたビューティー12天女人気投票の結果がある。

「新人のワタスが、トッブ10に入れただけでも、感動ものだっぺ。」
「うちは、3位か。一時期よりも人気は落ちたけど、トリテンの番組で露出させてもらっているおかげでそんなに下がらなかったなー。」

問題なのは、3位から上の順位だった。
このところ、ずっとトップを取つてきたトリテンが、ついに1位の座から陥落したのである。

「トリテンは、今回なんと8位か……。やっぱり不倫騒動が尾を引いたよね。」

ある意味、予想どおりの結果だった。
なにより、本人はもう天女は卒業したとぱかりに、司会業の方に注力しているので、いまさら順位など気にしていない様子だった。

「そして、トリテン先輩の代わりにトップに立ったのが、あのイヌミコちゃんだっぺか。」
「あんな小さい子にトッブ天女を任せるのは、さすがに酷だけど、人気商売だからしょうがないよね。」
「トリテン先輩、対抗心燃やしたりしてないだっぺか?」
「まさか、あんな小さい子を蹴落とすほど、トリテンはクズじゃないと思うわ。」

 ***

「な……なんで、私の代わりが、あんなチビ娘なのよ~。
イヌミコ・イヌイ……。潰したる!」

「本番10分前です。スタンバイお願いします。」
「はーい。トリテンちゃんは、今日も元気に頑張っちゃうぞー! おー。」
「いや~、相変わらず元気だね。今日も、その調子でよろしくお願いね。」



「みなさんこんにちは。毎回素敵なゲストとともに業界の裏側を暴露しあう、闇コーナー〈トリテンの部屋〉の時間です。
今日のゲストは、いま人気大沸騰。天女人気投票で、トップを取ったイヌミコちゃんでーす!」
「わー。緊張ちます。トリテンせんぱい、今日はよろしくお願いちましゅ(・・)!」
「イヌミコちゃん。会いたかったよー。今日は、天女業界の裏の黒い部分、遠慮なく暴露しちゃっていいからね。」
「う、うまくしゃべれるか……不安ですが、いっちょうけんめい頑張ります!」
 (緊張してるみたいね。こっちにとって好都合だよ。イヌミコちゃんのカマトトぶった仮面を剥がして、人気を急落させちゃる!)


「最近どう? お仕事忙しいでしょ? 事務所の社長も、ひどいよねー。イヌミコちゃんのこと、全然考えてないんだから。
「あ、あたち芸能事務所に所属してないんです。
「そうなの? じやあフリーでやってるの? だったらなおさら嫌な目に遭ってきたんじゃない? いま話題のセクハラとか。」
「周りの人は、みんな良い人ばかりです。あたちは、みなさんに感謝してます。」
(くっ、隙のない優等生な答え!)
「じゃあ、ふだんは、なにしてすごしてるの? 休みの日とかは?」
「休みの日は、戌居さんのお世話をちてます。あと、子犬ちゃんたちのお世話も。子犬、好きなんです。トリテン先輩は好きですか?」
「犬はあんまり好きじゃないかなー。
「前にくーちゃん、ぐーちゃんっていう小鳥を飼ってたけど、私か焼き鳥屋さんと仲良く喋ってるのを見て脱走しちゃったんだよね。おっと。」
 (いけない。いけない。私の方が、先に黒い部分見せてどうするのよ。ペースをつかむのは、司会の私なんだから)
「あはは。いまのは冗談冗談。」
「あたちは、戌居さんに育てられたので、犬は家族なんです。とくに子犬は、まるくって、ふわふわしてて可愛いんですよ。」
「戌居さんって……誰?」
「先輩、今年の福の神を忘れちゃ駄目です! さすがに天女失格ですよ!」
「ああ……ごめんごめん。え? じゃあ、戌居さんっていう福の神が、イヌミコちゃんの親代わりなの?」
「あたちは、産まれてすぐに荒野に捨てられてたそうです。
戌居さんが拾ってくれなければ、きっといまごろ、この世には居ませんでちた。」
「……それは悲惨な生い立ちだね。だから世間に対して、影屈した闇を抱えてるって言いたいんだよね?」
「違います。あたちが、いまこうちて生きていられるのは、戌居さんと子犬たちと、そしてイヌミコを応援ちてくれる、みなさんのおかけです。」
イヌミコは、戌居さんとみなさんに感謝ちながら、日々を生きているのです。
天女に選ばれたのも、戌居さんのおかげです。だから、イヌミコは天女の務めを精一杯はたそうと思います。」
「偉いねー。トリテンちゃんも見倣わなきゃ……。」
「トリテン先輩。テレビの司会業もいいですが、先輩は天女なんてすから、もっと天女らしくするべきです。」
「……。」
「嫌いな食べ物を、こっそりマワシ先輩のお弁当箱に移すなんていけないことです。
それから、わざとマワシ先輩を仲間はずれにして、あとから支払いだけさせるなんて、鬼畜のしょぎょうです。」
「そ、そうかなー。」
「仮にもトップを取った人なんですからもっとあたちたち、後輩天女に立派な姿を見せて欲ちいです。」
「そ……そうだね。」
「あと、噂になっている酉の神様との不純な関係を解消ちて、世間のみなさんに一度謝罪するべきです。
どんな時でも、天女とちての本分を忘れちゃダメです。」
人々に福を与えるお手伝いをするのが、あたちたち天女の役目なんですから!」
「はい……。努力……します。」

トリテンの部屋は、トリテンの思惑とは反対に――
イヌミコを追い落とすどころか、逆にイヌミコによってトリテンのクズい部分が暴かれる展開となってしまった。 
だが、この意外な展開が好評を博し、視聴者数はうなぎ登りに増え、過去最高数を記録したのであった。




story2 暴走する暴食の福の神



前回の放送で「トリテンのおんどりゃーでめんどりゃー」は、これまでの最高視聴者数を記録したが――
評価が上がったのはイヌミコの方であり、トリテンの評価は、むしろ低下してしまった。

mイヌミコちゃん、凄く良い子だったね。天女としての自覚もあるし――
t……。
mあ~。あんな可愛い子、妹に欲しかったなー。ほんと良い子だったよね。あれこそ、まさに天女だよね。
イヌミコをべ夕褒めするマワシにいらついたが、トリテンは、あえて顔に出さずに舌打ちするだけにとどめておいた。
mでも、考えてみたら、うちらいままで、天女としての本分を忘れて迷走してたよね。まさか、イヌミコちゃんに教えられるとはね。
b年も明けたことですし、心を入れ替えて、天女らしく生きるっぺ。
tそうだね。……間違ってた。
mさすがのあんたも反省したんだね?
t私……とんでもないこと考えてたよ。イヌミコちゃんを番組内で公開処刑してやろうって。
mとんでもないな!
tでも間違ってた。イヌミコちゃんこそ、番組に必要な出演者だったんだよ。
mえ?
tもっと視聴者数増やして、深夜番組の女王になるために――私、イヌミコちゃんに出演依頼してくる!

 ***

I出演のご依頼はありがたいのですが、あたちには戌居さんのお世話がありますので。
tなんだったら、私もそのお世話手伝うから。だから「おんめん」に出て!

おんめん……
「トリテンのおんどりゃーでめんどりゃー」の略。

Ⅰ先輩が手伝ってくれるんですか? ついに、天女の本分に目覚めてくれたんですね?
tえ? まあ……そういうわけ、じゃないけど………。
Ⅰ先輩たちがお手伝いしてくれるのなら助かります。次の休みの日に、うちに来てください!

 ***

がるるるるる……ぐるるるるる。

bせ、先輩。なんか、すごく怒ってるっぺ。
mこういうときは、逆に毅然としてなきゃダメよ!

Iようこそいらしてくれまちた! こちらにいるのが、今年の福の神、戌居さんです。

がうがうっ! ぐるるるるるっ……。

tなんだか、すごく機嫌が悪そうに見えるんだけど、大丈夫なのかな?
I戌居さん。いまちょっとお腹が空いているだけなんです。
餌をあげれば、機嫌がよくなります。
m大変そうだね。うちらも手伝うよ。

 (イヌミコちゃんに番組に出演してもらうためだもん。我慢して手を貸してあげよう)
 (あ、もしかして餌をあげてるところを放送すればいいかも!? トリテンちゃんの好感度もあがるし、言うことなしだよ!
 (よーし、次来る時は、撮影クルーを同行してこようっと!

I戌居さん。お腹空きまちたよね? ご飯ですよー。
がう! はっはっはっはっ……。
mちゃんとお座りして待つんだね。
tイヌミコちゃん、餌どうやってあげるの? いつもやってるようにしてみせてよ。
Iはい! あたちのやること、よく見ててください。ほら、戌居さん。ご飯ですよ。

がううううっ。がぶっ、がうっがうっがうっ!

mおー、食べ始めた。
食べてる姿は、可愛いっぺ。
I戌居さん、そんなに急いで食べたら……。

わん!
t餌、なくなっちゃったねー。おかわりが欲しいんじゃない?
ここにあるの、あげたらいいんでしょ? よいしょっ。
わん! わん!
(肉体労働なんて嫌だけど、リハーサルだと思えば全然頑張れるよ)



あ……あれ? 福の神様……なんだか、さっきより大きくなってない?
ぶふっ! ぶふっ! あう、あう、がつっがつっ!
戌居さん。そ、そのぐらいにしておこう?
tこんなに美味しそうに食べてるんだからここでやめるのは可哀想だよ。
違うのです。実は戌居さんには、ある重大な欠点があるのです。
m欠点?
それは、食べ続けるうちに、食欲が抑えきれなくなるんです。だからふだんは、厳しく食事を制限しているのです。
mだから、最初はあんなに痩せてたんだね?

tそれそれそれ。トリテンちゃんの餌は、美味しいでしょ? もっとたくさん食べてくださいね?
イヌミコの不安などお構いなしに、トリテンは戌居さんが望むままに餌を与えていく。


がーうっ!
トリテン、うしろよ!
え?

トリテンが、背後の気配に気づき、振り返った時には――
すでに戌居さんの大きな□が、トリテンの全身を飲み込んでいた。



mトリテンが食べられた!?
I一度、戌居さんの暴食スイッチが入っちゃうと、目に入るものは、なんでも食べちゃうんです!
だから戌居さんは、暴食の犬魔神とも言われてます。
mそんな危ない福の神様だったの!? 早く言いなさいよ!
マワシちや~ん。ビシュラちや~ん。た~す~け~て~。ここ暗いよ~。
b福の神様の中から、トリテン先輩の声が聞こえる! 先輩、いま助けるっぺ!
正面からぶつかっても、食べられちゃうだけです。幸い、戌居さんは、辛いものが苦手です。
辛い餌と賞味期限の切れた餌を食べさせて、まず弱らせてから、トリテン先輩を助けまちょう!
m迷ってる場合じゃないわね、やろう! 早くしないと、トリテンが消化されちゃうよ!

戌居さん。いま止めてあげましゅ!



story3












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