輝く少女と奪われた夢 Story 【白猫プロジェクト】
ストーリーまとめ
2017/04/12 |
目次
主な登場人物
story1
「大した人気だな。ジュニアテニス界のお姫様といったところか。
……ん?」
「強豪同士がぶつかる準決勝で、ここまで一方的な試合になるとはな。
線の細い見た目から、もう少し洗練された技術を想像していたのだが。
合理的だが荒っぽい動き。力任せに殴りつけるような打球……やはり、彼女か。」
「「「「ミューエ! ミューエ! ミューエ! ミューエ!」」」」
(唸れ、わたしのハムストリング!)
(いいわよ、大腿筋!)
(痺れるわ、上腕二頭筋ッ!
(さすがね、腹直筋ッ!
(そうよ、広背筋ッ! いまこそ、あなたが輝くとき!
「マッソー!!」
(ああ、心がそして身体中の筋肉が!いま、歓喜の声を上げている!
わたしは、まさに、このときのために生まれてきたの!
わたしはいま……生きているッ!!)
「……なん、なの……あいつ! ずっと、……ニヤニヤ笑って!
キモチ悪ッ!!」
***
「また、やっちゃった……絶対ドン引きされた……心の声が聞こえたもん……
『キモい』とか『イタい』とか『そんなペラペラの身体でナニ言ってんだお前』とか……
……そうね、やっぱり、気持ちが通じる相手なんて、愛する筋肉たちだけだわ。
お願い、なぐさめてわたしのマッソー!」
「まっそー?」
「スマッシュのときも、そう叫んでいたな。それはマッスル……筋肉のことか?」
「………………」
「………………………………いつから見てました。」
「私はアイシャ・アージェント。<テニス協会>からの依頼で調査を行っている。
疲れているところ悪いが、少し時間をもらえるかな。」
「いつからです。」
「『また、やっちゃった』のあたりだが。」
「しょっぱな!?」
***
「……はい。……その通りです。……間違いありません。」
「君の性癖に干渉する気はない。私は、とある出会いについて話を聞きたいだけだ。」
「はい、広背筋と大胸筋の連携は新たな出会いと呼んでも過言ではないと……」
「いや、筋肉の話ではない。君の命を救った「恩人」についてだ。」
story2
わたしは身体が弱く、ずっと病院で育ちました。
両親を早くに亡くして、自分も14までは生きられないと言われてたんです。
それで、14歳の誕生日、テニスを始めました。
「……ん? 何か、途中の流れが抜けてはいないかね。
長生きできないと、なぜテニスにつながるのだ?」
「誕生日の前夜……わたしは一度、死んだんだと思います。」
「それは、精神的な話ではなく?」
「夢のような世界に迷い込み、天の国で、テニスの教えを受けました。
翌日、死の淵から目覚めたわたしは、理解したんです。
寿命を越えて生かされた意味を。テニスをすることが、わたしの使命なのだと。」
「……極端な発想に思えるが、経緯は理解した。
それからテニスを始めて、ジュニアのトップランカーにまで登り詰めたということか。」
「そんなに簡単な話じゃなかったですけど。」
最初は、大変でした。何度も倒れては、病院に逆戻りして……
***
「また抜け出してテニスなんて、君は、死にたいのかね!?」
「違います、わたしは生きたいんです。
そのためには、どうしてもテニスが必要なんです。」
「まだ君は激しい運動をできるような身体ではない!」
「いいえ、できます! やってみせます! やるしかないんです!」
「……まずはリハビリからだ。運動も軽いものだけ、目の届くところでやりたまえ。」
「ありがとうございます♪
辛い治療も、痛い注射も、苦い薬も、ずっと耐えてきたんだから。
どんな厳しいトレーニングだって絶対に耐えてみせる!」
――そう、思ってたんですが。
だんだん体力がついて、症状が安定していたので油断してたのかもしれません。
倒れたのがひと気のない場所で薬も手の届かないところに転がってしまって。
「……だれ、か。」
さすがに、これはダメかもって、思いました。志半ばで、死ぬのかなって。
「おい、大丈夫か?」
「……薬、そこ、……に。」
「待ってろ。」
その出会いが、わたしを変えたんです。
story3
「なるほど。そこまでして、テニスがしたいのか。」
「はい! あと少しなんです。もうすぐコートに立てるところまで来たんです。」
「命懸けで、その程度か?」
「え?」
「コートに立って、それで終わりかと訊いている。テニスの神髄が何かわかるか。」
「……それは、フェア……」
「勝つことだ! では、勝つために何が必要かわかるか。」
「ええと……技術と、経け……」
「筋肉だ!!」
「きん……にく?」
「そう、お前に足りないのは、それだ! 知識でも経験でも技術でも友人でもない!
鍛え上げ育て上げ、己がすべてを注ぎ込み気持ちを通わせ合った筋肉!
それさえあれば、恐れるものなど、なにも! ない!
三日後だ。勝ちたければ、体調を整えて、ここに来い。」
「は、はい!」
***
「己を磨くということは筋肉を磨くということ。技など、添え物に過ぎん!
よし、それを振ってみろ。」
「こ、こうですか?」
「もっとだ。余計なことは考えるな。常に全力で、可能な限り早く!」
「はい!」
「最短距離で動け! 最短時間で決めろ!」
「はい!」
「筋肉の声を聞け! 限界を見極めろ!」
「はい!」
***
「ありがとうございました!」
「要らん。お前が持って行け。」
「……え? ですが……」
「………俺にはもう必要ない。お前には硬く長く大きく重く、使いにくい難物だろうが……
理想の筋肉を手に入れたとき、お前にとって最強の武器になる。
それを受け取る覚悟があるか?」
「今度お会いするときまで、お預かりします。
それまでには必ず、使いこなしてみせます!」
「楽しみにしている。次に会うときは、スタジアムのセンターコートだ。」
「はい、師匠!」
story4
宝物のラケット
story5
……うそん。
story6
あたしを呼んだか?
え?
その他
相関図
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