裁きの閉鎖病棟 Story

 
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ストーリーまとめ

目次

Story1 診断
Story2 検討
Story3 計画
Story4 処置
Story5 決断
最終話 術後

主な登場人物

アゾート
あらゆる医術に通じた魔道医師。生と死の堺目を見るべくメスを振るう。
パニッシュ
罪人に罰を与えるアンドロイド。プログラムに従い、秩序を守る。


story1


 炎の海域最大の都市、バビロン。
 栄華と退廃を極めた街。人呼んで魔都――



  医者  
「ドクターアゾート。ご足労ありがとうございます。」
 アゾート 
「患者がいれば、どこにでも赴く。名高き魔都でも人は病む。……さあ、仕事だ。」
  医者  
「ここから先が、閉鎖病棟です。」

「バビロン中央病院・閉鎖病棟。通称パンドラの箱
 治療不可能な難病を患った特殊症例の患者たちが最後の時を迎える場所か。」
「しかし先生……報酬は、本当に例の条件で?」
「ああ、もちろんだとも。……興奮してきたな。」

 ***

  老人  
「…………」

「ほほう……体細胞が金属に置き換わっているな。」
「鋼化病です。レゾル島特有の風土病でしたが、なぜかバビロンに患者が……」
「科学魔道療法は試したかね? 鋼化病は神経細胞の異常によって起きる疾患だ。」
「そんな論文が?」
「部分作動薬として十六式魔術触媒をお勧めする。
 仕事は以上かね?」

「いいえ――こちらへ。」

 ***

「三重魔道結界。出ることも入ることも不可能か。」
「彼女が、先生の患者です。」
「だろうな。」

「彼女が閉鎖病棟に来たのは、数日前のことです――」
「よくここまで連れてこれたものだ。」
「医療用アンドロイドのビートくんが、なんとかここまで……」
「なるほど。」

 ――――

「馬鹿な、結界を抜けて!?」
「執刀!」

「ほう……? これは〈痛み〉だな。
 純粋な苦痛そのものを空間を越えて投射したか。なるほど、これは興味深い。」
「〈痛み〉を切ったのですか――!?」
「――そうとも。彼女はこの苦痛を感じ続けているのかね。」
「空間を越えるほどに強烈な、痛み――彼女はそれと戦っているのです。」
「麻酔で、意識の無い状態にもかかわらず、か……」

「検査しようとした医師も、彼女から発せられる苦痛で昏睡状態に……」
「このまま病が進行したら、苦痛はさらに増大するだろう。
 だが、危惧すべきはそこだけではない。この苦痛は〈感染〉する――」
「――その通りです。
 ドクターアゾート。彼女を救えますか?」

「私を誰だと思っている?」


story2


「痛覚遮断――精神および物理防御術式展開。
 さて……ご対面といこう。病よ、待っていたまえ。」

 ――――

「先生!」
「ぐむっ……痛覚を切ってさえ、苦痛を脳内に届けるか。はははは。なんとも厄介だな。」
「絶対に、無理はしないでください。」
「無理というのは――無謀な挑戦なことだろう?
 そんなことをするわけがない。」

「それでは――診察を行う。」


 ***

『バビロン……飛行艇を始めとするルーン工業の成果により繁栄する街。
 ですがそれは表向きの話。この街は文字通り魔の都。
 嫌な場所ですね。――ここは、罪人だらけです。』

  信徒   
「――!」
 パニッシュ 
『罰します。』


「呪われよ、悪しき魔術の輩ども!
 白き聖女は汝ら〈魔道連合〉を罰するであろう!」
『私は処刑用アンドロイドです。そのような団体とは無関係です。』
「汝の罪を贖え!」




『罪を――? 笑えない冗談です。
 私は、あなた方の罪を裁くためにこの街に来たのですから。』


 ***




「モニター、続けているか。」
「はい――」

「病原は、脊髄の腫瘍だ……これが彼女に異次元の苦痛を与え続けている。」
「流石ですね、ドクター。こんなに早く病原を解明するなんて。」
「彼女から照射される痛みを浴び続ければ、脊髄に彼女と同様の腫瘍ができる。」
「厄介ですね……」

「産み出された腫瘍は、再び痛みをまき散らす。摘出する以外方法は無い。」
「猛烈な痛みに耐え、感染のリスクを抱えながら手術を……」
「やるしかなかろう。幸いここは物理的、魔術的に隔離された空間だ。感染のリスクも最低限に抑えられる。」
「この閉鎖病棟が、彼女にとって最後の居場所というわけですね……」
「……おや?」




『そこまでです。』
「ここは手術室だ。下がりたまえ。」
『罪人を引き渡してください。』
「罪人などここにはいない。いるのは医師と患者だけだ。」
『いいえ。あなたの患者は罪人です。』
「彼女が、いかなる罪を?」
『内乱罪です。極刑が常当と判断します。」

「内乱罪!?」
「詳しく聞かせてくれないかね?」

『彼女は〈罪の教団〉が送り込んだ、内乱の首謀者です。』
「あの狂信者どもか。連中の存在は、世界にとってまさしく病だな。」
『彼女の病は、罪の教団が植えつけたものです。この島を滅ぼすために。』

「感染源に関する情報提供、感謝する。早くどきたまえ。」
『いいえ。内乱の罪には処断が必要です。』
「邪魔をするなら、君も入院してもらう。」

『邪魔をするなら――容赦はしません!』



story3 計画




『彼女は、この町の人間を無差別に苦しめた末に、亡き者にする意図を有しています。
 罪人を庇うなら、あなたも罪人です。内乱幇助罪です。』

 ――

「知ったことではない。どんな罪人であれ、私にとってはただの患者だ。
 それにだ。彼女を極刑に処すれば、自体は収拾不能になる。」
『彼女と病をまとめて消滅させれば事態は収束します。』
「生命活動の停止と共に、苦痛が周囲にまき散らされるぞ。」
『あなたの手術によって想定される被害よリは、小さいと考えます。』

「君は、私がしくじると考えてるのかね?」
『人間は間違いを犯します。』
「機械は間違わないと?」
『私の判断は、人間よりも正確です。』
「皮肉の利いた答えだな。」
『あなたの行為は、医師のとるべき論理規定を逸脱している。』
「解釈の違いという奴だな、それは。」

「ドクターアゾート、患者の容体が!」
「対悪疫及び、対呪詛結界を展開したまえ。」
「はい!」

『ドクターアゾート……あなたはあくまで、この少女を救うつもりですか。」
「それは――彼女しだいだよ。」
『彼女次第……?』

「私は少々世事に疎くてね。
 どうして〈罪の教団〉は彼女を送り込んだのだろう?」
「現在〈罪の教団〉は、バビロンの魔道士ギルド、〈魔道連合〉と抗争中だとか。」
「連中は研究以外に興味の無い変人どもだぞ。どうして抗争になったんだ?」
「〈魔道連合〉の研究内容が、罪の教団を侮辱したからと聞いています。」
「実にくだらん理由だな……」

『あの少女が見つかったのは、一般人も出入り可能な〈魔道連合〉の拠点でした。
 わかりましたかドクター。彼女の意図が。』
「背景は理解した。……では、彼女を起こそう。」

「えええっ!?」
『一体――何を?』


story4 処置


「いたい……いたいよ……」



「完全に痛みを消すことはかなわずか。私も未熟だな。」
「……あ、あなたは……」
「アゾート。医師だ。名前を聞かせてくれるかな?」

「カヤ……」

「そうか、いい名前だ。カヤ……君は具合が悪いようだね?」
「悪くない……どこも……」
「常人なら百万回は死ねる苦痛を感じているのに……健康だと?」
「私は……教祖様から、祝福を受けてるもの……!」
「その〈祝福〉が問題だ。あの腫瘍が発する苦痛は概念そのものとなって君の脳を焼き尽くす。
 もってあと数時間といったところか。」

「死ぬのなんて、怖くない。」
「あの世で待っているものでもいるのかね?」
「お姉ちゃんが……待っているもの……!」
「それは幸せなことだ。」

「君の姉の名は?」
「エラ……」
「仲が良かったのかね?」
「優しかった……」
「いつも、一緒だったのか?」

「そうだよ……いつも遊んでくれたの……
 ご奉仕の時以外は……」

「どんな遊びを?」
「お人形遊び……お姉ちゃん、ボロきれでお人形を作ってくれたの……」
「どうして死んだ……?」
「知らない……でも、教団のために死んだって……!」
「ほう。」

「だから私も……教祖様のために死ぬの。
 私が死んだら、私の〈痛み〉は、この街にあふれだすって。
 そうなったらもう、止められない。どんな魔法でも――」


  医者  
「痛みは結界を越えた――あり得ない話では。」
 パニッシュ 
『わかりました。あなたは永久禁固刑に処します。』
  医者  
「何を――」




『ステイシス・フィールドにより、あなたの周囲の時間を停滞させ、半永久的に幽閉します。
 内乱罪にはふさわしい罰といえるでしょう。』

「罰……どうして……」
『無知蒙昧な教えを信奉し、無辜の人民を傷つけようとした、その罪に対する罰です。
 あなたの人生は無駄、かつ無意味です。』

「知ってるもの……私……
 正しい教えを信じる者は……はくがいをうけるって……」
『いいえ、罪の教団はれっきとした犯罪組織です。』
「ちがうもん!」

『罪ある者ほど、己を正当化するものです。』


「ドクター……早くしなければ。手遅れに――!」
「まあ、待ちたまえ――これもきっと、何かの縁だ。」


story5 決断


 この世のあらゆる悪疫が封じられた場所。
 バビロン中央病院〈閉鎖病棟〉。
 そこにいる患者は、同時に囚人でもある。

 ここがパンドラの箱ならば――
 希望は残されているのだろうか。


『刑の執行の前に――聞いておきたいことがあります。』

「あんたに……いうことなんか……」
『答える必要はありません。』
「じゃあ、なんで……」
『答えないことも、答えになるからです。』

「だったら……答えてなんか……!」
『質問がまだです。』

『あなたはどうして、己の命を捨てようとしているのですか?』

「私は――
 私達は、罪人だから――だから、贖わなければならないの。」

『それが、罪の教団の教え――でしたね。
 その罪は、命をもってしか、贖えぬものなのですか。』
「私なんかの命じゃ……足りない……!
 世界中の人が――罪を贖わないと――」

『なるほど理解しました。
 あなたは有罪です。刑を執行します。』

『生きて――苦しみなさい。悔やみ続けなさい。
 それがあなたへの罰です。』

「えっ……」


「カヤ……私は君を治すことができる。
 だが私は、君に問わねばならない。」
「私に何を――」

「君は、生きることを望むかね。」
「――あんたなんかに、私は治せない!」
「治せるとも。甘く見ないでくれたまえ。」
「死ぬのなんか、怖くないもの!」

「君の姉は……最後に君に何といった?」
「教団のためにご奉仕できて……幸せだって……」
「それだけかね?」
「……………」


「幸せに――なって、って。
 生きて――
 生きて……幸せに……」

「うっ……うああああああ!!
 死にたくない! 死にたくないよおお!」

「――承知した。」


最終話 術後


 キャトラ 
「それで――それでその子、どうなったのよ――!」

 アゾート 
「どうなった――とは?」

「だから――!」
「わっ、子猫がしゃべってる!?」
「ひゃっ!?」
「かぁわいいい!!」


 アイリス 
「アゾートさん、この子……」

 アゾート 
「ああ、先ほど話した子だ。」

 アイリス 
「元気になったんですね……!」

 アゾート 
「当然だろう。私を誰だと思っている?」

 キャトラ 
「あぶないおいしゃさん。」

 パニッシュ 
『妥当な評価です。ドクターは、一般的な倫理観を持ちあわせていません。』

 アゾート 
「なぜか私は不当な評価を下されることが多くてね。不思議でならない。」

 キャトラ 
「自業自得だと思うわ……!」

 ***

  医者  
「カヤ、こっちに来なさい。」

  カヤ  
「うん!」

 医者の妻 
「今日のご飯は何がいい?」


 キャトラ 
「カヤ、あのお医者さんに引き取られたのね……」

 アイリス 
「良かった……!」


「カヤの身柄は魔道連合の魔術師たちが守るそうだ。当然だがな。」
『ドクター、あなたに家族はいないのですか?』
「患者が、私の家族だとも。
 ところで君の刑罰、あれはどういうことなのだ?」
『彼女の罪は内乱予備罪。その罪に対する罰は、幸せを知ること。』
「それはそれは、重い罰だな。」

『ドクター、あの病の正体は――』
「そう〈〉だとも……教団が蓄えた、罪の意識に溢れたソウルの塊だ。
 罪のもたらす苦痛は、兵器とさえなりうる。まさに教団の切り札だな。」
『白い聖女――罪の教団の教祖の力ですね。』
「彼女は奇跡を起こすという。私の患者がそういっていた。」
『罪の教団の信者を医療したのですか?』
「誰であれ私は治す。なぜか私の向かう紛争地帯には、きまって彼らがいてね……」
『彼らは多くの場合において、紛争の主要因となっています。』

「行くのかね?」
『ええ。彼らに贖いを。罪には罰が必要ですから。それに――
 彼らが罪を名乗るなど、不愉快極まりないので。』

「好きにしたまえ。壊れたら、治してあげよう――この私は医者だからね。」

 アイリス 
「パニッシュさんも治せるんですね……!」


 キャトラ 
「ところでアンタ……何を条件にカヤの治療を引き受けたの?」

 アゾート 
「医療行為だよ――
 あの閉鎖病棟の患者を、この私が治療する。それが条件だ。」

 キャトラ 
「全員!?」


 アゾート 
「休憩は終りだ。仕事を再開しよう。
 あらゆる病を治療し、退屈な人生という病を取り戻す。」

「それこそが我が医術!」



その他



相関図

●アスクレピオス
(立場を越えて医療活動を行う団体。)

●処刑用アンドロイド

●元・罪の教団

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