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茶熊学園2017 Story1

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最終更新者:にゃん
2017/00/00


目次


Story1

Story2

Story3

Story4

Story5

最終話


主な登場人物







story1 在校生、集合!



辺境の海に浮かぶアラマキ島――

シャケの形をしたその島にはとある学び舎があった。


――茶熊学園。

冒険家を育てるため、冒険について学ぶ育成機関である。


学長のシペ・コロ・カムイ――自称クールインテリシティボーイ。

彼に呼び出された生徒たちは学園の体育館に集まっていた。


Kあ、どーも皆さん。学長のカムイです。

いやー、すみませんねー。わざわざ集まってもらって。

Cそれで、話ってなんなのよ?

K来てない人もいるみたいですが、時間も押してるので話をはじめちゃいますねー。

皆さんのおかけで、この茶熊学園も大変うまくいってます。

新入生の応募に合わせて、設備投資の予算申請出したら、思いのほか簡単に通っちゃいまして。

これも、多くの方々が期待している証拠ですね。あ、予算は新しい寮の増築に使いますよ。

今日は新入生を迎えるにあたって、皆さんに頼みたいことがあったので集まってもらいました。


Mガレア、あたしにも後輩ができるってこと?

Gああ、そうだ。


g姫様、自分たちもより一層、気を引き締めねばなりません。

Eそうね。ラピュセル、フィーユ、みんなも先輩になるんだよ~。

Hドラゴンも校内に入れるようになったのね……

Eはい、そうなんです!皆さんの署名のおかけで、一緒に通えることになりました。

Nでも、どうやって教室に入るの? 大きい子は難しいんじゃない?

S改築工事が終わるまでは教室には入れないな。それでも大きな一歩だ。


Kはい、皆さん、ご静粛にー。まだ話は終わってませんよー。

新入生を迎えるにあたって、当然、厳正な審査をします。

なので、かなりの実力者が入学すると思うので、皆さん、あぐらを掻いちゃだめですよー。


Iなるほど……シズク、我らも初心に返らねばならんな。

Sそうだな。先輩として恥ずかしくならないよう、精進していこう。


Y僕が先輩になるのか……

Lお兄ちゃん、変に先輩風吹かせちゃダメだよ。

Yそんなの、わかってるさ。


s…………

kどうしたの? やけに静かだけど。

sいろいろ考えてたんだけどさ……

m考えてるってなにを?

sあたしって、もう充分に生徒会長としての職務を全うしたじゃん?

新入生が来るってことは仕事を丸投げするチャンスじゃね?

m本当にシャルは……

sマリも正式な茶熊生になって長いんだし、後輩を指導する側じゃん?

mそれはそうだけど……まだまだ私もダメなところ、多いし。

k別にかまえる必要ないわよ。シャルみたいに楽しようとさえしなければ。

sちげーし。先輩としての指導だし。

kものは言いようね……


Kそういうわけで、新入生を歓迎するパーティーを開こうと思ってるんですよー。

理事会や各国の来賓を招いて新入生のお披露目パーティーにしちゃおうかなと考えてます。

sだったらさー、クリスマスも近いし、ついでに祝わない? 飾り付けとかプレゼント交換とかさ。

m賛成! 楽しそう。

Kいいですね。では、準備のほう、お願いしますねー。


sつーわけで、副会長、あとはよろしく~。

g決まったからには、皆で力を合わせ、盛り上げていこう!

おー!


Tドロちゃん、パーティーだって。楽しみだね~。

Dブー!

B……パーティーか。

(おもしろいことが起きそうだな……)


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story2 悪魔と巫女と





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story1-2



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story3 紋章ナイト



青年は描いていた。


街で――

森で――

山で――

家で――

崖っぷちで――


…………

なにか違う。なにか違うな。ああ、そうだ。なにか違うんだよ。

なにかってなんだ? なにかってなんなんだよ!!

でも、なにか違う!! 俺の目指してる紋章となにか違う!!


「なにかとは!?

イロメロ!? どうしてここに!

「なんとなくですね! そしたら、ユキムラさんがむつかしい顔してたんで声かけました!

なあ、お前ならわかるだろ? 俺の作品は、こう、なにか違うんだ……

「そうですか? ぐるっとしてポンな感じとか、ヴァヴァヴアって勢いがユキムラさんっぽいです。

だが、これじゃあボディズムヘの回帰でしかなく、存在至上主義の亜種でしかない!

小さな違いはあるさ。個性もある。けど、全体的になにかが違う!

「わかりました!!

わかったか!?

「ユキムラさん、先生になりましょー!!

は? 先生?


「この学校で美術の先生を募集してるらしいです!

なんのパンフレットだ? 茶熊学園? 俺は人に教えてる余裕なんて……

「絶対、教えたほうがいいです! 三倍段の三段飛ばしです!

教えて学ぶ! 一石二鳥!! 大丈夫ですよ。なんとなくなんとかなります!

…………

……茶熊学園か。


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story1-2



とある島で彼女は仕事を終えていた。


rはあ、やっと終わった……

sおつかれ。

rサフィラ先輩、おつかれさまです。今回もあぶないところ、助けていただいてありがとうございました。

sけほっ……大丈夫……

rそういえば、この後の任務って聞いてます?

s聞いてないけど……

――

は、はい! <ペンテカイデカ>です!

『こんにちは、<ペンテカイデカ>』

ふ、副長、どうしたんですか!?

『任務完了したそうね。おつかれさま』

いえ、私はなにも……サフィラ先輩がほとんど倒してくれて……

『そう、<テッタレス>にもおつかれさまって伝えておいて』

それで、あなたに特殊任務を通達するわ』

特殊任務……ですか?

『茶熊学園って知ってるかしら?』

冒険家育成のための学校ですよね? いろんな国が出資しあってるって聞いてます。

『あなたに入学してほしいの』

えぇっ!?

『前に古代文明の技術をめぐってキナ臭い動きがあったのよ』

連中は失敗したみたいだけど、政治的な中立地帯で他勢力にこそこそされるのも面白くないでしょ?』

えっと、生徒として入学することで他勢力をけん制しろということでしょうか?

『話が早くて助かるわ。そういうことだから休暇ついでに学園生活楽しんできなさい。じゃあね♪』


r…………

sどうしたの?

r私、学生になるみたいです……


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story4 魔王と侵略者



彼女もまた悩んでいた――


オラァァァ! 話とはなんだっ! オスクロル!!

あの……扉を蹴り開けて入ってくるのは……

普通に開けたら、でかい音が出ないではないか!

(相談するの、やめておけばよかったかも……)

悪いが金の相談には乗れんぞ!

いえ、その、ソアラさんはがんばってますか?

ああ、毎日、ギラギラ言ってるな。

…………

浮かない顔だな。

その、このままでいいのかな~と思っておりまして……

まどろっこしいぞ、暁闇の! もっと端的に述べろっ!!

自信がなくなってしまいまして……

カルロスさんは簡単にソアラさんにやる気を出させて……私の時は本当に大変で……

ソアラさんが前進しているのは嬉しいんですけど、私個人はこれでいいのかな、と……

安く見られたものだな。俺は勇者の鬼教官と呼ばれてきた。鬼と呼ばれるからには理由がある。

俺は育てた勇者には逃げられ、喧嘩別れをしてきた。ソアラとて、最後に笑顔で巣立っていくかはわからん。

…………

教える立場になれると、おごりが生まれるぞ。教える者こそ、生徒以上に学ばねばならん!

なんですか、これ?

知らん! その辺で配ってたパンフレットだ! 貴様の役に立つかもしれん!!

さらばだ、暁闇の!!


茶熊学園……生徒募集?

生徒以上に学はなければならない、か……たしかに……


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story1-2



とある海域で彼らはまったりしていた。


bノア副長、ソース買イニイッタラ、コンナモノヲ、モラッタッチュ!

mありがとうなのです。

nノア、なにを読んでる?

m学校の入学案内なのです。ネモも見てみるのです。

n茶熊学園……冒険家育成のための学校か……

俺には関係ないな。

m…………

nどうした?

m行ってみたいのです。

nいいんじゃないのか? 好きにしろ。

mネモも一緒がいいのです。

n俺は忙しい。


b艦長、ハナシガアルッチュ!

nなんだ?

bソロソロ、艦ノメンテナンスガ必要ッチュ。

ドッグ入リシテル間ハ、艦ヲ動カセナイッチュ。


m……一緒がいいのです。

n…………

b艦長モ、タマニハ、休ムッチュ!!

n……考えておく。


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story5 細腕と少年



保護者たちは直面していた――


bニイさん、なんすか? この紙。

v紙じゃねェ。パンフレットだ。

b茶熊学園……げっ! ガッコーかよ……

vおめェ、学歴は?

bンなもん、あるわけないでしょ。なくても、こうして生きていけますし。

vてめエはそれでいい。でも、ティナちゃんはどうするのよ!?

あたし、思うのよねェ。あんたもあたしも、野蛮じゃない?

bまあ、ギャングっすからね。

v情操教育的によくねエだろ。てめエも保護者なら、も少し考えろ。

bそれで学校かあ? 単純だなあオイ。

v知識ってのは力だ。なにもわかんねエ知らねエ、なんてうたいながらくたばったバカもいた。

工夫は必要だぜ。どんな時でもな。保護者なら、もっと考えろ。

bでも、ガッコー通い出したら、ティナと会える機会、減るぜ?

vおい、ブラット。今、聞いた話は忘れ……


cおじさんたち、昼間から酒場でなにしてんの?

vティヌアちゅわあ~~~ン!

cふんっ!


ヴィンセントは星に――

――ならず、天井に突き刺さった。


cいきなり抱きついてくるから、殴っちゃった。ごめんなさい。

b……ますます姉ちゃんに似てきたな。

cおじさん、なに読んでるの? 茶熊学園……?

bいや、これは……

c学校!? 行けるの!?

bえ? いや、その……

c私、学校にすっごく興味あったんだ!

bお、おう……ニイさんのはからいだ。

vそうよ、あたしが愛するティナちゃんのために用意したの!!

bあいかわらず復活はえーな……

cそうだったの!? ヴィンセントさん、ありがとうございます!!

vだから、あたしのラヴを受け取ってえええ! ティヌアちゅわあ~~~ン♪


――

ヴィンセントは天井を突き破り、今度こそ星になった。


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story1-2



少年は一人、学園の前に立っていた。


…………

茶熊学園、とうとうはじまったか……

チッ、古傷がうずきやがる……忘れたはずなんだがな……

ああ、わかってるさ。後悔はねえ。これが、俺の……いや……

これが世界の選択だ!

いいぜえ! おもしれーじゃねーか!! かかってこいや、世界!! 俺は負けねえからな!!


あ、入学式、明日ですよ?

えっ!?



story1 その名は……



<アラマキ島>にある冒険家育成のための学園である。

そして、今日は茶熊学園の第三期生入学式であった。


えっと、たしかこっちの道で……

Aねえ君、もしかして新入生?

はい、そうですけど……

B入学式なんてサボってさ、遊びに行かねー?

あの……急いでるんで、どいてください。


そこまでだ!


Bああ?

Aンだ、てめー。

俺はセイヤ――

セイヤ・タナカ。またの名をホーリー・ザ・ナイト。

Bあ? ホーリー・ザ・ナイト?

Aてめー、なんの用だ?

俺はただ終わりを告げる弔鐘。漆黒の灼腕……

Bはあ? なに言ってんだ、お前。

俺の包帯を見ろ。この下には古傷がある。お前らごとき木っ端……

あれ!? 包帯がねー!!

A傷跡なんかねーだろ?

うるせー!! バカには見えねー傷跡なんだよ!!

Bはあ?

今のなし! 最初からやり直せ!

Aなに言ってんだ?

よく考えろ、バカ野郎! 入学初日にからまれてる女を助けて遅刻とか。マジでかっけーだろ!

でも、いらないツッコミのせいで、わやくちゃだよ!! リテイクだ、リテイク!!


……そっか、あんたたち、グルってわけ。あやうくだまされるところだった。

Bこんなイカレ野郎、放っておいて、行こーぜ。

……だから、私、入学式があるので、どいてください。

今、どいてくれるなら、私もゴチンと行かないですむので。

Aおいおい、まさかベテラン冒険家の俺たちを殴るってのか?

Bおもしれ~。やってみなよ。

本当にいいんだ……なら忘れるな――私のこの細腕は――

おい、ちょっと待て! 勝手に話、進めんな!! リテイクだっつってんだろ!!

てめえらに道理を叩き込む腕だあッ!!

ぎゃあああああ!!

ホーリー・ザ・ナイトとチンピラ冒険家たちは、そろって星になった。


せっかくの入学式なのに遅刻しちゃうよ、もう……




『ゴチンといく』遅刻しちゃう……


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story2 第三期生入学式



S――続きまして在校生祝辞。生徒会長シャルロット・フェリエ。

sはい!


第三期新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。

私たち在校生一同は、みなさんのご入学を心より歓迎いたします。

この茶熊学園は、生徒の自主性を重んじた校風です――

――以上をもちまして、私からの歓迎の言葉とさせていただきます。


S続きまして新入生答辞。新入生代表、ティナ・トピア。

tはい!


本日は私たち第三期新入生のために盛大な入学式を開催していただきまことにありがとうございます。

y (代表ということは彼女がトップで試験を突破したのか……)

r (私より年下なのに、しっかりしててすごいなあ……)

N(ルーンナイトが学生か……)

n(お友達がたくさんできるといいのです)

O(レインさんやユキムラさんがいるなんて……知り合いがいるのは心強いんですけど……)

L(期待してなかったんだが、元魔王がいるってなると、かなり楽しめそうだな)

s(椅子が一つ空いてるけど、どうしたんだろう?)


t以上を持ちまして答辞とさせていただきます。本日はまことにありがとうございました。

S以上を持ちまして、茶熊学園第三期入学式を閉会いたします。

それでは、新入生のみなさん、教室への移動をお願いします


tふぅ……

sこんにちは。

tあ、こんにちは。

sはじめまして。あたし、セツナ・アラヤ。よろしくね。

tよろしくおねがいします。私はティナ・トピアです。


Cやっほ~。ティナ、セツナ。

tみなさん、生徒だったんですね。

xうん、そうだよ。

c困ったことがあったら、アタシたち先輩を頼りなさいな。

sキャトにゃんたちもいるなら安心かな。トワがいないと不安で……

cアタシたちからすれば、みんな知り合いだし、いろいろと紹介してあげるわよ。

sおねがい~!

xこれからよろしくね。ティナちゃん、セツナさん。



『いざ教室へ』


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story3 顔合わせ



Lよお、元魔王。こんなところで奇遇だな。

Oレインさん、お久しぶりです。あ、ユキムラさんも。

Y二人とも戴冠式以来か。これからはクラスメートとしてよろしく頼むよ。

N…………

nネモ、挨拶するのです。

N……興味ない。

R(うう、みんな顔見知りみたいで、会話の中に人つていきにくい……)


Tへえ、じゃあ、セツナさんはクジョウの島、出身なんですね。

sこれでも、一応、巫女もやってるんだ。

R(あ! あっちはあっちで、もう仲良くなってる……で、出遅れた?)


Sみんな、席についてくれ。


俺が<タラコ組>担任のソウマだ。

担任といっても君たちと同じ生徒でもある。不慣れなところもあると思うが、よろしく頼む。

ん? 一人足りないな。セイヤ! セイヤ・タナカはいるか?

Tセイヤ……セイヤ・タナカって、もしかして……!

Sどうした? なにか知ってるのか?

T先生、すいません。遅刻は私のせいだと思います。来る途中にからまれて。殴つちやつて……

Sえ?

T先生?

Sああ、悪い。予想外なことだったから……

経緯はよくわからないが、セイヤが来たら理由を聞こう。


 ***


はつ!! ここは……グラウンド? あれ? 学校? どうして……?

……あれ? 思い出せない。まさか、記憶喪失ってやつか!?

……とうとう俺のなかで眠る獣が主の支配権を奪いに来たか……マジ、かっけーじゃん、俺。

あ! 包帯がねー!?記憶喪失の原因は、これかっ!? 鎮まれ!漆黒の灼腕!! ぐおー!!


Tどうしたの!? 腕を押さえて痛むの!?

え? いや、その……お構いなく……

保健室、すぐそこだよ?

いや、本当に大丈夫なんで!

 (いきなり話しかけられて思わず素になっちまった。これじゃダメだ。貫かねーと)


うさぎ小屋の横にボロボロな布切れが落ちていた。

くっ! これで鎮めねーと……

準備OK! よっしゃ! 盛大に行こうじゃねーか。



『遅れて参る』さあ、ショータイムの時間だ。


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story4 まずは自己紹介から



Sまずは自己紹介をしてもらおう。ティナ、君から頼む。

Tはい。


私はティナ・トピアです。学校に通った経験はないので、とても楽しみにしていました。

よろしくお願いします。

ネモ・カノープスだ。

Sえ? それだけか?

Nああ。

sクジョウの島出身のセツナ・アラヤです。反物デザイナーになるのが夢です。よろしくお願いします。

L……レイン。

Sいや、名前以外にも、自己紹介してほしいんだが?

L……つえー奴と会うために入学した。腕に自信のある奴がいたら、俺に声をかけてくれ。

nノアなのです。みんなとお友達になりたいのです。よろしくなのです。

Yユキムラ・サイオンジ、紋章画家だ。この学園で多くのことを学びたい。よろしく頼む。

Oオスクロル・ラス・カサスです。勇者を育てる魔王業をやっておりました。

今は普通の冒険家ですので、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

Rる、ルビイ・ローゼンヴァルトです。その、えっと、ルーンナイトを……

窓から人がー!!


いってー。怪我した……マジ、へこむわ……

Tあっ! 今朝のチンピラ!

おい、待て! 誰がチンピラだ!! 俺の名はセイヤ。セイヤ・タナカ。

漆黒の灼腕! 真名はホーリー・ザ・ナイト!!

S……おい、セイヤ、窓ガラス割ったから、あとで反省文な。

あ、はい。



『掃除します』

今朝のチンピラ……

窓から人がー!

反省文、マジっすか?


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story5 見学しよう!



S初日からいろいろあったが、君たち九人は、これから一緒に学んでいくことになる。

部活や委員会への参加も自由だ。いろんな冒険家から多くのことを学んでほしい。

今日は入学初日なので、これで終了だ。

先輩たちは部活や委員会の活動をしている。見学するのもアリだぞ。


Lおい、元魔王。

Oはい、なんでしょうか?

L学校が終わったっつーことは、なにやっても自由ってことだよな?さっそく一勝負……

マジかっけー!!

Lあ? なんだ、テメー。

やっぱ翼ってサイコーだな!

L触んな、こら!

俺も欲しかったぜ、こういう翼がよ……なあ、どうやったら生えてくんだ?

L知るか!って、ちょっと待て元魔王!

Oす、すいません、ちょっと用事が……


 ***


Oはあ……

nおつかれさまなのです。

Oおつかれさまです。たしかノアさんでしたよね。オスクロルです。


nはい、知ってるのです。

O一緒にいたネモさんは?

nネモは一人で、どこかへ行ってしまったのです。

O……あの、もしよろしければ、一緒に校内を歩いてみませんか?

部活や委員会の見学もしたいので。

nはい、ご一緒するのです。



『校内探索』

見学するのです。

ご一緒させてください。

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story6 入部動機



nグラウンドなのです。

Oみなさん、部活をなさってますね。

あなたたち、新入生?

nそうなのです。入る部活を探しているのです。

だったらテニスなんかどう?冒険の役にたつわよ。魔物の光球を弾き返したり!

相手の次の行動を予測して動いたりいろいろと鍛えられるわ。

ボンジュール、メア殿、どうしたでござるか?

あ、フラン。新入生を部活に勧誘してるの。

オーララ! 出遅れたでござる。ラクロスもジョワイユーズでござるよ。

まず分身するでござる。

分身でメンバーを集めたらゲーム開始でござるよ!

nすごいのです。でも、分身はできないのです。

O私はどちらかというとー人で打ち込む競技のほうが……

それなら陸上部とかかな? あとは剣道部や新体操、最近、フィギュアスケート部もできたって聞いたわ。

O(陸上部……ソアラさん、足速いですし、追いつける程度の脚力は必要かも……)

陸上部、おもしろそうですね。

nオスクロルさんは陸上部に決めたのです?

Oはい、ノアさんはどうしますか?

nもう少し、見て回りたいのです。

Oわかりました。フランさん、メアさん、いろいろとありがとうございました。



『まだまだ回るよ』

陸上部、いいですね♪

ゆらりと走るのです。

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story7 舞姫




…………

…………

Oあの~……

おっと、しかし、いい体育館だな。特に木がいい。ん? なんだ、君たちは? なんの用だ?

n部活の見学なのです。

Oあの人は踊ってるんですか?

あの人? ああ、ソフィ殿か。踊ってたのか、気づかなかったよ。彼女は新体操部だ。

最近はフィギュアスケート部で部長もしているそうだ。

nとっても上手なのです。

Oはい、綺麗ですね。

興味があるようなら、話を聞いてみるのもいいだろう。



ソフィ殿、少しいいだろうか? 新入生が話をしたいそうだ。

はい、なんでしょう?

n部活の見学なのです。

そうなんですね。私は氷の国から来たソフィと申します。

Oオスクロルです。

nノアなのです。

私が説明できるのは、新体操とフィギュアスケートくらいなのですが……

nフィギュアスケートというのは、ダンスなのです?

氷上で舞うという意味ではダンスに近いですね。氷の国ではポピュラーなスポーツなんです。

n氷の上だと転んでしまうのです。

そうですね。でも大丈夫ですよ。スケート靴をはいて氷の上を滑るので。

n滑るのですか?

はい、クルクル回ったりします。こんな風に……

――!

ソフィはその場で三回ほど回転した。

氷の上だと、もっと回れます。それこそ何十回と。


n……すごいのです! 目は回らないのです?

コツがあります。先に目を動かすと目が回りません。

n……やってみたいのです。

本当ですか!? それはありがとうございます! 練習の日に声をかけますね。

nはい、がんばるのです!




『体験! スケート部』

くるくるくる~。


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story8 生徒第一号




ここが美術室か……誰もいないな。

一応、画材はあるのか。


 ***


yとりあえず描いてみたが、やはりなにか足りない……

シュウセイのような際立った陰影だろうか。いや、むしろ後期印象派のように色彩を激しく……

Eうわ~、すご~い! 綺麗だね~!

y君は!?

Eエシリアはエシリアだよ~。ねえ、ねえ、これなに?

yこれは紋章画だ。

Eこれ、どうやって描くの~?

yそうだな。紋章には様々な系統がある。それを組み合わせ……


 ***


y……というわけで、それが後期印象派の画風にって、寝るな!

Eだって、むずかしいこと言ってつまんないんだもん。

y基本的な話だぞ。

Eてっとり早く教えてよ~。

yじゃあ、俺の描いたものを真似てみろ。いいか、まずこうして円を描く。



 ***


Eできた~!

yうまいじゃないか。

Eま~ね~。なんか楽しくなってきちゃった。

yその調子だ。次は応用に行こう。今書いた紋章を……


 ***



Eできた~! 見て見て、エシリアのもんしょ~!

yずいぶんと自由だな。だが、うん、悪くない。いいぞ。

画風としてはネオ夢想主義に近いがそれでいて線がハッキリしていて素直だ。

Eね~、もっと教えて~! あれ? 名前なんだっけ?

yユキムラだ。

Eじゃあ、ユッキー。

yいや、普通に呼んでほしいんだが……


『体験! 美術部』

ユッキーすご~い!

ユッキーはやめてくれ。


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story9 ドロちゃんと!



N…………

Dプー!

N(ここが地下へと続く扉か……智の民の遺産。連邦が欲しがったものか……)

Dプー!

Nすまない、もうキャベツは切れた。

Dプー! プー!

――

N誰だ!?

(シャッターを切られるまで、まるで気配を感じなかった……)


B……俺はバイパー。

Nここでなにをしている?

毒蛇は物陰に潜み――――スクープを狙う――!

それだけだ。

Nその写真、どうするつもりだ?

B<うさぎにキャベツをやる優しい新入生>という見出しで記事にする予定だ。

Nやめろ。

B銃をしまえ。

N断る。表に顔は出したくはなくてな。フィルムをよこせ。

B……この学園は完全な中立地帯だ。帝国も連邦もない。

純粋に学生として、学び、楽しめ。深海の悪魔。

N…………

それができたら、写真は返してやろう。

……部活は射撃部がオススメだ!


N消えた……

Dプー! プー!!

N怒るな。次はもっとキャベツを持ってくる。




『校舎の死角』

油断はできないな……

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story10 自由な翼



Lだから俺の翼に触んじゃねえ!

悪ぃ、悪ぃ、あまりにかっこよくてさ。

L変なヤローだな……

tねえ、ちょっといいかな?

Lなんだ?

t廊下でソウマ先生にあったんだけどあなたを連れて生徒会室に来いってさ。

悪いが、俺は誰にも束縛されねー!

tあれ、逃げたってことですか?

Lそうじゃねーのか?

tはあ……もういいや。一人で行こう。


 ***


t失礼します。

Sあれ? セイヤはどうした?

tどこかに行きました。来ないと思います。

gならば、しかたがない。話を進めよう。

自分はゲオルグ。竜の国で騎士団長をしている。ここでは生徒会副会長だ。

tはじめまして。新入生のティナ・トピアです。どうして副会長がここに?

gう、うむ。実は折り入って相談がある。

生徒会に入ってみないか?

生徒会は常に人手が足りない。特に今は新入生歓迎クリスマスパーティーの準備がある。

そのうえ、生徒会長のシャルロット殿は、よく職務中にいなくなる。

君は入学試験首席合格の優秀な生徒だと聞いている。どうか力を貸してほしい。

t生徒会ですか……具体的には、どんなことを?

g生徒による学園自治の統制だ。イベントなどの企画立案、運営を行う。

例えば新入生歓迎パーティーをクリスマスパーティーと一緒にしようと言い出したのは会長だ。

K面白いアイデアだったので、許可したんですよ~。

ま、ざっくり言うと生徒会は学園生活を楽しくしようって集団ですかね~。

gなにを言う、学長殿! それも重要ですが、規律というのも……

tやってみたいです! なんか、楽しそうなので。

gそうか、受けてくれるか! 助かった。

tあれ? でも、どうしてセイヤまで呼ばれたんですか?

S遅刻に対する説教もあるが……

彼は、転校前の学校では生徒会長をしていたんだよ。




『スカウト』生徒会か……



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story 伝説のはじまり



r(今なら話しかけるチャンス。がんばれ! 私!!)

s部活かぁ……家庭科部なんかいいなあ。ちょっと見学してみよっと。

r(あ、行っちゃった……)

お、同じ部活に入れば、そこから会話をはじめられるかも……

うん、そうしよう。入部届けには家庭科部って書こう)


 ***


s家庭科部、家庭科部……どこだろう?

あ、すいません。家庭科部ってどこですか?

ちょうどいいところに来たわねメンツが足りなかったのよ。

sえ?

いいから、ちょっと付き合って。


知らない顔だな。

新入生だろう。

sえっと、ここは……?

そうね、有体にいえば、テープルゲーム部ね。

……よし、メンツは集まったな。打とうぜ。

はい、これ、ルールブック。わかんないことがあれば、その都度、教えてくから。

とりあえず、座って。

あの、なにしてるんですか?

大人の頭脳スポーツ――

――麻雀だ。


 ***


リーチ。

早いな。

どうせ、クズ手でしょ。これは通るんじゃない?

…………

へっヘー。セーフ!

sえっと……ロンする前ってリーチしないといけないんでしたっけ?

役ができてるなら、別にいいわよ。

sあ、じゃあ、ミラさんのそれ、ロンです。

役満って言うんでしたっけ?

純正の九蓮宝燈(ちゅうれんほうとう)……

やられたなあ、ミラ。

もう一局やるわよ!!


どうだ? まだ続けるか?

sはい!

(麻雀、ちょっと面白いかも……)


こうして、一人の雀鬼が生まれた。




『それぞれの伝説。』

ロン!!


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story スター・ザ・ナイト



Lなあ、ちょっといいか?

なんだ?

Lこの学校で一番つえー奴って誰だか知ってるか?

そりゃあ、旦那だろうな。

L誰だ、それ。

ヴィルフリートの旦那だよ。

L不死者の帝王ヴィルフリートか?

おう、その人だぞ。

Lどこに行けば、会える?

そう言やあ、最近、見てないな。そのうち来るんじゃないか?

Lほかにつえー奴はいるのか?

みんな強いぞ。まあ、有名なのはオウガとかイサミあとは副会長かな。

Lそういうお前もけっこーやりそうだな。どうだ、勝負しねーか?

別にいいぜ。その代わり軽音楽部に入ってもらう。お前はベースとか似合いそうだな。

L部活には興味ねーな。

だったら勝負ってのもナシだな。ほかを当たってくれ。

Lなかなか楽しめそうな学校だな。


 ***


……あれ!? 俺、どうしてグラウンドにいるんだ?

手もなんか汚れてるし……本格的に記憶喪失……マジか……

やべえ、テンションあがってきた! これ、絶対、俺に隠された力とかあるだろ!

tあ! いた!!

先生が窓ガラスを割った反省文、書けってさ。これ、原稿用紙。

何度も言ってるだろ。俺は自由の翼、ホーリー・ザ・ナイト、何人たりとも俺を縛れはしない。

来たようだな! 俺の文才を披露する機会が!!

t書かないと停学だって。

渡したからね、原稿用紙。あと、くだらない連中とつるまないほうがいいよ。

おい! 俺はチンピラじゃねーぞ。―応、お前を助けようとした結果そのあとの展開が記憶にないだと!?

t……あんたまでぶっ飛ばしたことは謝る。ごめんなさい。

ぶっ飛ばし……? あっ! 思い出した! たしか、俺は不良ごと……

……いやいや、ありえない、俺が女にワンバンKOなんて世界が許さん。夢だ、夢にちがいない!!

試しにもっかいやってみろ俺は耐えてみせる!!

tなに言ってんの?

いいから俺を殴れっ! お前にやられたなんて、俺は認めん!!

tやめたほうがいいと思うよ……

大丈夫だっ! 俺に不可能はねぇっ!!

tじゃあ……


――セイヤは星になった。



『星になれ』

おもしれー学校だな。

悪いことしちゃったかな……


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story 不穏な空気



K入学式も無事に終わりましたね~。ソウマさん、新入生はどうですか?

S個性的な生徒が多いですね。初日から問題を起こしてる生徒もいましたし。

K元気があってなによりじゃないですか。

それにしても、教師役、板についてきましたね、ソウマ先生。

Sいえ、まだまだですよ。


失礼します。

Kクライヴさん、どうしたんですか?

投書箱のなかに、こんな手紙が……

Sどうしたんですか?

Kおお……これは、困りましたね。


クリスマスパーティーを中止しろ。

さもなくば、汝ら、衆愚、紅蓮の炎により灰塵に帰すだろう。

  ――冥翼のファンタスマ


Sイタズラですかね?

Kその可能性もありますが、無視するわけにもいきませんねー。

クライヴさん、風紀委員会は動けますか?

パーティーの準備やパーティー当日の警護訓練で手いっぱいです。

風紀委員に限らず在校生の多くは歓迎パーティーの準備で忙しいはずです。

Kでしたらフレッシュで手の空いてる方々に犯人探しを頼みましょうか。

Sまさか……

K冒険家として、いい勉強になると思いますよ。


 ***


はっ! あれ?

 (いつの間に寮に……たしかぶん殴られて……なんだよ、記憶喪失はパンチのせいかよ……)

しっかし、いろんな奴がいたなぁ……どいつもこいつも普通じゃねーって言うか……

 セイヤは再びベッドヘ倒れた。

 (ティナだっけ? あんな細腕なのに、ワンパンでのされるなんて悪夢だっつーの)

 (あんだけ大勢いるなら、普通の奴の一人や二人、いてもいいもんだろ……)

天才のバーゲンセールかよ……クソ……

 (へこんでる暇なんてねーぞ、ウジウジするなんて、かっこよくねーだろ!)

 (今は勝てなくたって、いつか絶対に俺が勝つ。逆転劇はきっと来る。だから……)


……筋トレすっか。





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