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【白テニ】納涼 月下の夏祭り Story

最終更新日時 :
1人が閲覧中
最終更新者:にゃん
2017/07/21


目次


Story1 月夜の祭り

Story2 祭りの景品

Story3 景品の浴衣

Story4 浴衣の勝負

Story5 勝負の回想

最終話 回想の月夜


主な登場人物


ノア
深海を往く旅の道中、ふと立ち寄った島でリゾートとテニスを満喫。
紡がれる思い出は夏からの贈り物。
マナ
遠く深い海の記憶を宿した乙女。
直観力を研ぎ澄ませて、コートを制する。

story1 月夜の祭り




 夏の夜、あの日の言葉が満月のように心に浮かぶ。


 『夏、満月の海には――』、幼い私に告げた、養父の言葉。

 その続きは何であったか。どんな口調で語られたか。

 私の持つ、夏の記憶は――


 ――ドンッ!


「あっ、ごめんなさい! 兄ちゃん、早く来いってば!」



「おいおい、そんなに走るとまたぶつかるぞ!」



……弟が失礼しました。お怪我は?

いえ、問題ありません。よそ見をしていた私の落ち度もあります。


そうか、今日は満月ですね。実に珍しい。

珍しい? 満月がですか?

この日に満月が出るのは何年ぶりでしょうか。

 満月の夏祭りでは再開を果たせると言われているんです。


 「兄ちゃん、何してんだよ! 早くしろってば!」


……では、どうぞよい夏の夜を。



満月の下の再開……のどかな伝承ですね。

 (特定の日に満月になる頻度は計算で求められるもの。そこに意味を見出すのは……

 何かにすがってみたいという人の心の弱さでしょうか。


 再開、か。私には――)



「ゆらゆら~。マナさん、こんばんはなのです♪」


あなたとは、つくづく妙な所で会いますね。

 たこ焼き屋の敵情報視察ですか?



ここのたこ焼きはおいしそうなのです。他にも気になる屋台がたくさんあるのです。

 マナさん、ご一緒にいかがですか?

複数の屋台を巡るには、単独行動よりも効率的ですね。ご一緒します。

嬉しいのです。ゆらっと夏祭りなのです♪


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story2 祭りの景品



こっちには焼きそば屋さんもあるのです。

今夜は、男爵さんと一緒ではないのですか?

ネモは、人の多いところが苦手なのです。

なるほど。こうした場所がお似合いではない方でしたね。

マナさんも、今日はおひとりなのです?

先ほどまでは。そして帰る時に一人であるとは限りません。

? 待ち合わせなのです?

というわけではないですが出会いの頻度は高いと言えますね。

マナさんには秘密がありそうなのです。


「さあさあ、お待ちかね! ダブルス祭りの始まりだよ!

 飛び入り参加も大歓迎! 夏祭りの思い出はテニスで決まりだ!」


テニス大会まであるのです。

そういうものです。お祭りは、集客の観点では流行に敏感ですから。


「おい、ダブルス祭りの優勝商品のウワサ、聞いたか?」

「アレだろ? 『誰でも幼い頃に戻れる』って話だろ?」

「それな! ガキに戻ってあの日をやりなおせるとか、マジネタだったら最高っしょ!」


あの日をやり直せる?

……すごい商品なのです。

噂というのは、大げさに伝わるものです。

どんな賞品なのか、見てみたいです。

気になるようでしたら、参加されてみては?

ダブルス大会だと言っていたのです。一人では参加できないのです。

 ノアは、マナさんと一緒にテニスがしたいのです。

私は、別の目的が――


「浴衣で参加のペアにはラク造くんグッズをプレゼントだ!」


ラケ造くんですと!?




ノアもマナさんも、浴衣なのです。

……リゾート地でテニス、余暇の過ごし方としては適切に思えますね。

ノアとペアになってくれるのですか?

ええ、いいでしょう。さっそく出会いがありそうですし。


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story3 景品の浴衣



「ペアを組むのなんてなんか懐かしい感じ!」

「だね! 一緒に遊ぶのだって久しぶりだもん。」

「今年は満月の祭りだもん。絶対会えるって思ってたよー!」


満月の祭り……?

満月の夏祭りでは、再開が果たせるそうですよ。

ノアもマナさんと久しぶりに会えたのです。

……人手の多いところで偶然誰かと会うのは、不思議な話ではないかと。

そのおかげでダブルス大会に出られるのです♪

……ノアさんは、ずいぶんとポジティブですね。

マナさんは、しっかりしていて頼もしいのです。ノアたちはよいペアになれそうなのです。

最善を尽くします。


「まもなく受付の終了だ! 優勝賞品は、勝ってからのお楽しみだよ!」


出場を申し込んでくるのです。


 ***



受付でラケットも借りてきたのです。あと、これも――

こ、これは……! ラケ造くん夏祭りバージョン!

浴衣での特別参加賞、だそうなのです。このお人形も浴衣を着ているのです。

ラケ造くんも夏祭りを満喫しているようですね。

(マナさんが、とても嬉しそうなのです。)


 ***


しかし、休暇中であっても常に、有事に備える心構えが必要です。


「さあさあ、試合のはじまりだ!

 お嬢さんたちはりきっていってみよう!」


浴衣姿での真剣勝負、ラケ造くんの手本となるよう負けるわけにはいきません。

マナさんがやる気なのです! ノアもがんばるのです♪

 熱い勝負を、お見舞いするのです。


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story4 浴衣の勝負



 ……彼女の言った通り、私たちは相性のいいペアだったのだろう。


 漂うようにボールを追う彼女と着弾点を読んで返球する私。

 互いをカバーするプレーで、順調に勝ち進んだ。


えっへん、なのです。


 ***


次は決勝戦ですね。

優勝賞品が楽しみなのです♪

……ノアさんは、本当に『幼い頃に戻れる』とお思いなんですか?

もし出来るなら、すごいことなのです。

本当に、小さい頃に戻れるとしたら、どうします?

ノアには子どもの頃の記憶がないのです。

……それは、覚えていない、ということではなく?

そういう事にしておくのです。

含みがありますね。

マナさんは、なんでも覚えてそうなのです。

覚えていなくていい昔の記憶まで覚えているきらいはありますね。

含みがあるのです。

詮索は無用に願います。


「準決勝、試合終了! 決勝戦出場ペアが決まったぞ!」


対戦相手が決まったようです。

マナさん、あのペア……

今の試合で負けてしまったようですね。



「兄ちゃん、ごめん……僕のせいで負けちゃった……」

「いまの『悔しい』を、次に活かすんだ。お前はもっと強くなる。」

「……兄ちゃんみたいに?」

「俺なんかよりずっと、だ。大丈夫、お前には素質がある。」


「兄ちゃん……うわあぁぁぁん……!」



あんなに泣くほど悔しかったのですね。

……ノアは違うと思うのです。安心したから、泣いたと思うのです。

逆ではないですか? 泣きやむ、なら理解できます。

迷子の子どもが、お母さんの顔をみてから泣きだすのと同じなのです。


「さあさあ、いよいよ決勝戦だ! お嬢さんたち、期待してるよ!」


時間なのです。一緒にがんばるのです♪


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story5 勝負の回想



 夏祭りのダブルス、決勝戦の最中、私は泣き崩れた少年の事を考えていた。


 (あの少年は、兄に認められた嬉しさと安堵で、泣いたという事ですか。

 私が幼い頃、あんな風に寄り添ってくれる大人がいただろうか……)


 過去に思いを巡らせた瞬間、私の横をボールが抜けた。しかし――




……助かりました。

ダブルスは二人で勝つのです。ミスをしても大丈夫なのですよ。



 彼女の言葉は、すんだ水面のように落とした一滴の色水のように私の心に広がっていく。

 『大丈夫』。その言葉は――


 幼い頃の私が、心から望んだ一言だったから。


「決まった!! 優勝は、浴衣ペアだ!!」


素晴らしい戦果です! ノアさんのおかげですね。

二人で勝ったのですよ?

いえ……ノアさんがいるから、安心して打ち返すことが出来ました。

照れるのです。


お嬢さんたち、おめでとう! さあ、優勝賞品の授与だ!

わくわくなのです♪


賞品は……〈一夜限定、縁日遊び放題券〉だ!!


遊び放題……なのです?

食べ物の屋台も、射的だってなんだって全部タダさ!

 縁日で遊び放題だなんて子どもの頃からの夢が叶うだろ!?

ま、まさか、『誰でも幼い頃に戻れる』という話は……

今夜は一日、童心にかえって楽しんでくれよな!



やっぱりすごい賞品だったのです……!

……大方、こんな事だろうとは思っていましたが。

マナさん、小さい頃に戻りたかったのです?

そんな事は――



 不意に、夜空に大輪の花火が打ちあがった。その瞬間――

 忘れていた、あの日の記憶が鮮明によみがえった。


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最終話 回想の月夜



 あの日も、満月だった。幼い私は、浜辺で花火にみとれていて――

 少しでも近づきたいと、気がつけば波に足を浸してた。


 そんな私を、養父が抱き上げて『満月の夜には気をつけろ』と、言ったのだ。

 その口調は、叱責ではなく、諭すように。それから――

 『もう大丈夫だ』と、繰り返し告げた。



花火がキレイなのです。

ノアさん、満月の夜の海は何が危ないかご存知ですか?

もちろんです。満月の日は潮の流れが変わるから、注意が必要なのです。

ええ、その通りです。

急にどうしたのです?

今日の月を見て、思い出したまでです。幼い私にそう教えてくれた大人がいた事を。

きっと、マナさんが波にさらわれないように、心配してくれたのです。


ええ、そうですね。その通りだと思います。



せっかくの優勝賞品です、縁日でいっぱい遊ぶのです。

異論はありません。むしろ、当初の目的はそこにありますので。

目当てのお店があるのです?

そうですね、射的や輪投げなどがあればよいのですが。

 このあたりの景品で、探し物が見つかりそうです。

何を探しているのです?

うさぎのぬいぐるみです。屋台の景品として並ぶことが多いと聞きまして。

うさぎさんですか。ここにはゾウさんのぬいぐるみしかないのです。

あれは……! まさに探していたぬいぐるみです!

ノアにはハッピを着たゾウさんとしか見えないのです。

しかもハッピバージョンとは! あれは小さい頃、どうしても欲しかった子ですね。

マナさんにも、満月の夜の再開があったのです♪

まさに、懐かしい相手との再開です。

 これは、なんとしてでも連れて帰らなければなりません……!

大丈夫なのです。今日は遊び放題なのですよ♪

油断は禁物です。さあ、作戦を開始します!



 夏の夜、その言葉は満月のように心に浮かぶ。


 『大丈夫』と告げる、彼女の穏やかな声。

 私に刻まれた、夏の夜の思い出――


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その他


相関図



白猫 mark

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