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白猫ミステリーランド! N-Story6

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story 8-1


主人公たちは、
再び事件現場へと戻ってきた――

クロード

リリー、あれを見ろ。


リリー

…………あっ!!


アイリス

フランさんが描いた

記号と、全く同じ……!


クロード

そうだ。……つまり、フランが

読んだ本に書かれていた内容とは、

『悪い油と<マッスルーン>で

人を呪える』という事だったんだ。


この場合、悪い油とは

『質の悪いオイル』と解釈できる。

それはわかるな?


リリー

……でも、呪うのに必要なものが

わかっただけで、どうすれば

呪えるかはわかりませんよね……?


アイリス

そもそも、<マッスルーン>って

……どんなルーンなんでしょうか?

筋肉のルーン、という事は

わかるんですけど……


クロード

説明しよう。鍛え上げられた

筋肉を持つ者が<マッスルーン>の

光を浴びると――


筋トレのモチベーションが上がる。


リリー

…………え、それだけですか?


クロード

それだけ、だと?

マッスルマニアにとっては、

これ以上ないルーンだぞ。


……だが。今回、『それだけ』

ではない事が判明した訳だ。

<マッスルーン>の、

隠された効果――


ブンタ (刑事)

その様子では、すでにわかって

おられるようですね。


クロード

問題が、二つあるがな。

……まず一つ目。どうやって質の

悪いオイルを持ち込んだか。


リリー

……やっぱり、ダンベルに付いて

いたオイルが怪しいですよね?


クロード

ああ。恐らく、犯行に使われた

オイルと同じものだろう。


ブンタ (刑事)

楽屋には、オイルの容器など

なかったんですよね?


クロード

間違いない。念の為、ここに来る

途中に決勝進出者五人の所持品

リストを見せてもらったか、誰も

オイルを持ち込んではいなかった。


リリー

むむむむむ……


……大体、なんですかこの

ダンベル。大きくて重そうです!

持ってみてもいいですか?


クロード

やめておけ。ボディビルダーが

使うダンベルだ。お前には持てん。


リリー

大丈夫ですよ!

私、意外と力持ちなんです!


クロード

おい、危ないからやめろ。

お前には無理だ!


リリー

賃して……くだっ……さあ~い!


…………きゃっ!?


い、痛~い……

――あれ?


わ、わ、わわわ……!

すすすすみません!!

証拠品、壊しちゃいました!!


クロード

待てっ!!

これを見ろ……!


――リリーが盛大に
しりもちをついた。

クロード

…………なるほど。

道理でバランスが悪かった訳だ。

……一つ目の問題が、解決したな。


クムチ (刑事)

……ええ、ハイ。


リリー

こ、これは……!

この液体は……!


ブンタ (刑事)

して、クロードさん。

二つ目の問題とは?


アイリス

あ、その前に……どうやったら

その<呪い>が発動するか、

なんですけど……


クロード

それはな……悪いオイルを

体に塗った状態でマッスルーンの

光を浴びるんだ。

大体、二分前後だろうか。


すると対象者はガリガリになり――

仮死状態に陥ってしまうのだ。


リリー

…………へ?かし状態?

ガイさんって、お菓子に

なっちゃってたんですか?


クロード

『仮』に『死』ぬと書いて、

仮死状態だ……


アイリス

ちょ、ちょっと待ってください!

ガイさん、死んでいなかったんですか!?


クロード

……む?

最初に言ってなかったか?


クムチ (刑事)

………………ええ、ハイ。


クロード

…………それは…………

スマン。


ガイは今、診療所で治療を

受けてる最中だ。元は強靭な

肉体の持ち主だ、目を覚ます時も

そう遠くはないだろう。


ブンタ (刑事)

…………すみません。

私、早とちりしてしまいました……


クロード

…………いや。


リリー

ガイさん、

死んでいなかったんですね……!

よかった、よかったです……!


クロード

……だが、事件は事件だ。

――話を戻すぞ。


ブンタ (刑事)

……悪いオイルを体に塗って

マッスルーンの光を浴びると

ガリガリになる、

という事でしたな。


……あの、大変申し訳

ないのですか……

にわかには、とても……


クロード

……ふん。ならば、

俺が実際に試してやる。


リリー

クロードさん!?


クロードはシャツのボタンを外し、
ダンベルから滴っている液体を
乱暴に塗りたくった……!

クロード

リリー!時間を数えろ!


リリー

え、あっ……はい!


アイリス

クロードさん、危険です!

やめてください!


クロードは優勝カップに
ハメ込まれたマッスルーンの
前でポージンクを始めた!

来い……!来てみろ……!


……113、114、115……


ぐ、あああ……!

あああああ……!!

ああああああ……!!


!!

クロードさん!!!


クロードの筋肉が萎み始める!
――しかし!

フンフンフンフンフンフンフンフン

フンフンフンフンフンフンフンフン

フンフンフンフンフンフンフン!!


瞬間、クロードはとてつもない
速さで筋トレを始めた!

え、ええ……えええ!?


セイセイセイセイセイセイセイセイ

セイセイセイセイセイセイセイセイ

セイセイセイセイセイセイセイ!!


速さを増していくクロードの姿は、
ついに残像すら発生させる――!

は、速い……!

そして、見えない……!

クロードさんの姿が……!


アイリス

腕立て伏せをしている……?

それとも上体起こし――?

スクワットに変わった?

……いえ、それとも全てを同時に?


わからない!!

速すぎてわからないわ!!


クロードはよくわからない
残像を成しながら、舞台袖へと
引っ込んでいった……


 ***



……やれやれ。

さすがに危なかったかな。


むむむ……

体形が、全く変わっていません……


奪われる筋肉と、増えていく筋肉。

それらをプラマイゼロにしただけだ。


ブンタ (刑事)

……言葉が出てきませんよ……


クムチ (刑事)


…………ええ、ハイ。


……でもクロードさんのおかげで、

犯行方法は立証されましたね!


アイリス

……クロードさん、

『奪われる』、とは?

『減る』、じゃないんですか?


鋭いな、アイリス。

……マッスルーンを見てみろ。


……あ!!

光が、増している……!?


俺が最初にガイの体を調べた時、

違和感を覚えた。

その筋肉は、減ったという

感じが全くしなかったんだ。


まるで、忽然と姿を

消してしまったような……


だが、体感してわかった。

マッスルーンが、対象者の

筋肉を奪い、吸収したのだ。


アイリス

このルーンには、

良い面と悪い面がある、

ということですね……


さて……リリー。

最後の謎だ。


あっ……はい!!

えっと……二つ目の問題、

でしたよね?それって――


『犯人はどうやってガイにオイルを

塗ったか、または塗らせたか』――


…………

うーん……

お手上げです!!


俺もだ。

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リリー

ううう……

どうしましょう……

あと一歩なのに……


クロード

…………今にして思えば…………


ガイの体には、オイルが塗られて

いなかった気がするのだ。

……そう、彼の肉体は……

サラサラとしていた……


筋肉にばかり目が行き、

その時は気付かなかったが……


ブンタ (警官)

では、犯行方法は悪いオイルと

マッスルーンではないと?


いや……そんなはずはない。


むむむむむ……

頭がこんがらがっちゃいます~!


オバチャン

アラ、アンタ達!


……オバチャンか。


オバチャン

捜査はどう?順調?

あ、ゴミがあったらいってね、

片づけるからね。


オバチャンさん……

もう、脳みそが溶けそうです~……


オバチャン

脳みそは溶けるぐらいが

ちょうどいいよ。アタシは

考えるのが苦手だからね、

きっと脳みぞはカッチカチね。


……あ! あーあーあー。

リリーちゃん、髪の毛が乱れてるよ!

ダメよ、そんなんじゃ。


髪は女の命。いつでも、

マメに手入れしなくちゃね。

……どれ、オバチャンが

梳いてあげるから。


オバチャンは櫛を取り出すと、
リリーの髪を梳き始めた。

あ……えヘヘ、

ありがとうございます……♪


オバチャン

オバチャンなんかスゴイんだよ?

整髪料なんか10種類以上

持ってるんたから。


ウチの旦那もねえ、髪型には

こだわる人なのよ、これか。

なにせ、ポマード派だからねえ。


でもアタシ、ありゃあんまり好き

じゃないね。べ夕べ夕するじゃない。

マァね、ほとんど油みたいなモン

だから仕方ないけどねー


…………オバチャン。

今、何て言った?


オバチャン

えっ?べ夕べ夕するから、

あんまり好きじゃ――


その後だ!! 何て言った!?


オバチャン

ん~?えっとねえ……

油みたいなモンだから

仕方がない――


そういう……そういう事か!!!



クロードさん……?


ちょっと考えればわかる事だった……

……ふ、俺もまだまだたな……


『お前の筋肉はどこにある。俺のは

森にある。海にある。空にある』


アイリス、主人公。

……皆を集めてくれ。


アイリス

……解けたんですね。

全ての謎が。


全てとは言い切れないか……

材料は揃った。もう、充分だろう。


ブンタ (刑事)

ク、クムチさん……!


クムチ (刑事)

……ええ、ハイ。


…………


……いいか、リリー。

正念場だ。よく考――


考えます、私。

……考えて、みます。

――お父さんのように。


……それでいい。

それでこそ、ビリーさんの娘だ。


オバチャン

…………

えーと、よくわかんないけど、

上手くいきそうなのね?


オバチャンのおかげだ。

礼を言う。


オバチャン

ああ、そうかい!

そりゃよかったよ。

じゃ、アタシは仕事に戻るわね。


ありがとうございます。

オバチャンさん。


オバチャン

ああ、いそがしいそがし!

掃除掃除、っと!


クロード

さて……


――ショータイムだ。

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クロード

皆、揃ったな。


キャトラ

……たどりついたのね!

犯人に……!


リリー

はい……!

(やるわよ、リリー……!)


……今回の、この<事件>。

私たちは――


ジョージ

おい!! 何なんだよ犯人って!!

いつまで俺たちを――


クロード

黙れ。

彼女の話の邪魔をするな。


ジョージ

…………


クロード

続けろ、リリー。


リリー

……はい。私たちは、

手がかりを見つけるために

園内申を捜査しました。


その過程で、犯人を四人に

絞ることができたんです。


あなたたち――

ガイさんと一緒に舞台上にいた、

ボディビルダーさんです。


クリス

…………


ジョージ

…………


メイソン

…………


マイケル

…………


クロード

……その捜査で、幾つかの

証拠や証言が集まった。


事件に全く関係ないものもあれば、

非常に重要なものもある。


捜査本部には、それらが全て

集まっているはずだな?


キャトラ

うん! アタシが責任持って

管理してたから! 安心して!


クロード

大事なのは、取捨選択だ。どれが

重要で、どれがそうでないか――


リリー

それができれば、

おのずと答えは見えてきます。


私は……導き出しました。

……クロードさん、あなたの

おかげです。


クロード

その言葉、そっくりお前に返そう。


リリー

今回のこの<事件>……

犯人は――


リリー&クロード

あなたです!!

お前だ!!




Q:犯人は?

メイソンジョージマイケルクリス

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