武器を作りて勇者を待つ Story

 
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白猫ストーリー
黒猫ストーリー

Legend with 願いのトリロジー
2016/04/28 20:00 ~ 5/13 15:59






story1


とある異界のとある鍛冶屋――。
艶麗な女がひとり、赤く滾る鉄を無心で打っている。

「ふう……。」
女の名はリキッド・ミリアン。
かつて国一番と讃えられたその美貌は、一匹の魔物の心を乱暴に奪い去った。


『オマエ ウツクシイ……。』
魔物の名はガルグル。
『オマエ ヨメ ナレ。シアワセ ニ シテヤ――』
「ふんっ。遠慮しとくわ。」
突然現れた魔物からの唐突な求婚を、はキッパリと断った。
「……ナゼ?」
「だって全然好みじゃないもの……。というよりあれね。生理的に受け付けないレベル。」
「……!!」
自分の好意を無下にする、ズケズケと刺すような彼女の物言いに、魔物は身を震わせた。
怒りに震えたのではないー―。恋の、愛の、警鎚に撃たれたのだ。
「じゃあ、そういうことだから。」
彼女は冷たくそう言い放つと、魔物に背を向けた。

『……オマエ ゼッタイ ヨメ ニ スル。』
だから”私”は彼女に呪いをかけた。

「あ、あれ?足が……動かない。」
彼女はもう、私から離れることが出来ない。
それが私のかけた呪いだった。
『アンシン シロ ヤクソク ハ マモル。』

 ***

「……こんなもんかしらね。」
おや?どうやら嫁の仕事が一段落したらしい。
「ねえ!お腹空いたんだけど!」
仕上げたばかりの刀身を置いてから、彼女は不機嫌そうに声を上げた。
『ワカッタ イマ ヨウイスル。』


私は予め準備しておいた食事を彼女の前に並べていく。
私は約束を破らない。嫁を幸せにするためにこうして尽くしてきた。
銀のカップに葡萄酒を注ぎながら、私は彼女に声をかける。
「イイブキ デキタカ?」
「ふんっ。自分で確かめてみなさいよ。アンタを殺るために作ってんだから!」
言うが早いか、彼女は手元の刀身を振り上げて私に斬りかかる――
『……タシカニ イイデキダ デモ イタクナイ。』
しかし彼女の手によって、私が傷つくことはない。
「バッカみたい。」
それも呪いの持つ力のひとつだ。
「それにしても、めっきりご無沙汰よね……。」
工房内に並べられた数々の武器を眺めながら、不満気な声をあげる。
そのひとつひとつが、私を倒すために作られたものだ。
そしてそのどれもが、歴史に名を残すであろう名品である。
「アンタ、世界中の男たちが腿抜ける呪いとかかけてんじゃないでしょうね?」
『……カケテナイ。』
「……たく。いくら武器作ったところで扱うオトコがいなくちゃ話にならないじゃない。」
私の呪いを解くためには、彼女は私を討つ必要がある。
彼女の武器を使った勇者の手によって……。
私のところへ嫁に来て以来、彼女は武器を作り続けた。
そしてその天性の嗅覚で、勇者の存在を感じ取っては、そのオトコに見合う武器を手渡すのだ。
「あ、感じるわ! オトコの熱い鼓動が!今にも歴史を変えそうな、勇者の鼓動が!」
そう、こんな風に唐突に、彼女は勇者の気配を感じ取るのだ。
「何ぼやっとしてるのよ!?早く連れて来なさいよ。あんたの息の根を止める勇者のトコに!」
『……ワカッタ。』

私は彼女を抱きしめて、勇者の元へと移動する。
私の力を以ってすれば、一瞬の内に世界中何処へでも移動することができる。
例えそれが、私を討つかもしれない勇者の元であっても――
私は約束を破らない。


story2


『貴様、人の子の分際で、主の私に逆らうつもりか!』

「ああ。ビクビクするのはもうやめだ。俺は今から、お前を倒す!勝って、俺が主になってやる!」

「あの彼ね。うん、ビリビリ感じる。時代にその名を刻むであろう勇者のオーラを!」
彼女が久しぶりに見つけた勇者は、今まさに丸腰で巨大な竜と対峙していた。

「丁度いいタイミングじゃない。ちょっと君、私の武器で、歴史でも変えてみない?」
「……だ、誰だお前?」
「お兄さん、いい目してる。何かとても大きなことを成し遂げそうな……そんな目をしてるわ。」
「俺はただ、迷い込んだこの世界と向き合うことを決めただけだ。」
「それで、その手始めに竜退治ってとこかしら?」
「だから、何の用だって――」
「あんた、丸腰であの竜とやるつもり?」
「ああ、悪いかよ。」
「ねえ、私の武器、使わせてあげようか?」
嫁はそういって、オトコの前に自慢の武器を並べていく。
「例えばさ、この片手剣なんかあんたにぴったりだと思うんだけど………。」
「必要ない。だいたい、剣なんて一度も使ったことないし。」
「……うーん、じゃあこっちの槍なんてどう?コレならあんな竜もこんな魔物もイチコロよ?」
嫁はそういって、さり気なく「私を倒せるアピール」を絡める。
いつものことだが、私の心はチクリと痛む。
「……槍なんて、もっと使ったことねえよ。」
嫁は次々と武器を提案していくが、どれも受けとろうとはしない。
今回の勇者は、よほど武芸の心得がないのだろう。


『私のことを無視するなー!』
そうこうしている間に、巨竜が勇者に襲い掛かる!
「ガルグル! 彼、今手が離せないんだから、あんたが相手してよ!」
『……ワカッタ。』
「おいっ!ちょっと待てよ!」

 ***


私の放った渾身の魔法を受けて、巨竜はみるみる小さくなっていく。

『な、なんだこの魔法は!体が、体が縮んでいく……。』
私の力を以ってすれば、巨竜を倒すなど造作も無いことだ。
『トワ ニ ネムレ……。』
そして私は、最後の一撃を見舞おうと再び呪文を詠唱し始めるが――
「ちょっと待て!」
勇者の声が私を制した。

「あんたがどれだけ強いか知らねえが、その竜は俺の獲物だ! これ以上手を出すな!」
『……スマン。』
「そうよ、お兄さん。止めはあなたが刺すの。私の武器、どれでも好きなの使って良いのよ。」
「そこまで言うなら、武器じゃなくてさ、そのおじさんが使ってる魔法、俺に教えてくれないか?」
「……は? 魔法? ガルグルの?」
「俺、直接攻撃より、魔法攻撃のが性に合ってんだよ。まあ、ゲームの話だけど。」
「……なによそれ。」
不貞腐れる嫁を尻目に、私は彼に秘伝の魔法書を授けてやった。
「……お兄さん、あんな竜なんて放っておいてさ、私の武器で、この魔物倒してみない?」
「……なんで?」
「そうすれば、私は自由の身。お兄さんとずっと一緒にいてあげるんだけどな?」
パチリとウィンクを決める嫁だったが、
「……遠慮しとく。」
勇者の決意は今回も揺らぐことは無かった。

彼は早速魔道書を開くと、ものすごい速さで読み進めていく。
「なるほどな……。結構簡単そうじゃねえか……。なんとなく使える気がしてきたぜ!」
『……ってことで、ガルグルさん、だっけ?あの竜、元のサイズに戻してくれよ。』
『……ナゼダ?』
「今から戦うからに決まってんだろうが!」
『……ワカッタ シンデモ シランゾ。』
私は再び魔法を放つ。



『人の子よ、私に情けをかけたこと、後悔させてやろう!』
「やってやるよ!ラウンド・ワン、スタートだ!」
魔道書を読みかじっただけの勇者が、巨竜を凌駕する魔法を放つ。

「な、何なのよあの子……。」
『アイツ オレヨリ マホウ ウマイ カモ……。』
実際、私たちの目の前で、勇者はあっさりと巨竜を倒した。

「よっしゃ!今日から俺がお前の主だ!」
『仕方あるまい……。』
そして、後に一国の主となるその勇者は、巨竜を連れて私たちの前から姿を消した。




「うう~んまた振られた!ねえ、私ってそんなに魅力ない?」
『オマエ セカイ イチ ウツクシイ。』
「……バーカ。帰るわよ。」
そう言って、嫁は私の腕にしがみつく。

さて、今日の夕食は何にしようか……。






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