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【白猫】帝国戦旗 Story1

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最終更新者:にゃん

2017/10/13



目次


Story1 影にありし忠

Story2 帝国にようこそ

Story3 ありふれた花

Story4 狩猟戦旗




登場人物






story1 影にありし忠



<帝国は一枚岩ではない。国内には様々な勢力がせめぎ合っている。

中でも過激な活動で知られるのは、皇帝を廃し帝国の変革を望む<反皇帝派>である。

<反皇帝派>が何らかの工作を試みていると察したジュダは、一人アジトヘと潜入した。>


z条件にあう検体は、A棟に連れていけ。

w了解。こいつら、どんな魔物になるんでしょうね?

z玉座のネズミをあがめるクソどもをぶっ殺してくれるなら、どんな魔物でもいい。

w確かにな。いい筋書きだ。

z<真の皇帝>に乾杯。ネズミはくたばれ。

<暗闇の中から、一人の男が現れる。>

つまらん筋書きだ。とはいえ……聞き逃すわけにはいかんな。

z……誰かいたか?

ワオーン。

wなんだ、野良犬か……


…………

……


だめっ……おかあさんに、ひどいことしないで!

wああ……

zひどいことをされるのは、君だよ。おかあさんにね……

w何をするんです……!

z奥さん、あなたを魔物に変える。

w魔物に……?貴方たちは、何を……!

z魔物になると……普通は、理性を失うのだが……

実の娘の前で……何分……理性を保てるのか……計測したいわけでね。

君は自分が……何分後に……実の娘を……捕食すると思う……?

w殺して……!

<――>

z……ヒッ!?

<研究員は、影に呑まれた――>

……消えちゃった?

wだ、誰……!?

静かにしろ。

<母と娘も、影に飲み込まれた……?>

……残りの仕事を片付けるか。


……

…………


ぐはっ……ぐはっ……!

zこうやって……君の体に……罰を与えているのは……何のためだと思う?

知らない……!私は何も知らない!

z報いを与えるためだ。<真の皇帝>でなくネズミに従い、帝国を裏切った報いだよ。

ぎひゃああああ!!

<諜報員は、闇に呑まれて消える。>

<真の皇帝>か……詳しく聞かせてもらおう。

zだ、誰だ!?


六百年前。皇帝の座を脅かし、帝国をわがものとした男。

――簒奪者ツァラ。今でも奴を崇拝してるのか。

zどうやってここを……嗅ぎつけた……?

俺の鼻はごまかせない。

z帝国の犬め……

俺は狼だ。

z<真の皇帝>の<白の帝国>に、獣どもの居場所はない!

そういえば奴は、人間以外の種族を滅ぼそうとしていたな……

z奴らは<闇>だ……!そうか、お前も<闇>だな!?

<闇>だと?一緒にするな。

<男は、ルーンを掲げた。>

熔印のルーン。生き物を魔物に変える……おぞましい玩具か。

z退け闇よ!双頭の竜は蘇る!

お前は人として死んだ。ならば弔おう。



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story2 帝国にようこそ


ここが帝国……?でっかい国……なのよね?

<村一つ、港一つの、とても小さな島である。>

のどかでかわいい島ね、主人公。

wおやおや、こんな島に珍しいお客さんだね。

おじさん!ここって帝国なの?

wああ、帝国だよ。

へぇ~!いい島ね。アタシ気に入ったわ。

wそりゃあよかった。ゆっくりしてくといい。

ところで、ユニコーン通りってどこかしら?ギルドの支部があるっていうんだけど。

急いで報告に行かないといけないんです。

wふーん、そこは……ただの通りだからねぇ。

じゃあ、ユニコーン通りは?

w飛行艇に乗って、海を二つ越えて、すぐだよ。


<小さな島の上を、飛行艇が飛んでいく……

空の旅は、数日に及んだ。>


wお客様、紅茶はいかがですか?

(クオリティーシーズンの茶葉にベルガモットのフレーバー。懐かしい香りだ。)

いただきます。ところで……ジェリービーンズはありますか?

wございますよ。こちらでよろしいですか?

問題解決のためには、宝石のごときジェリービーンズ。

<水平線の向こう側が――街の明かりに埋め尽くされる。

眼下に広がるは、空前の大都市。帝国の首都である。>

皇帝万歳――

<アイシャは、真っ赤なジェリービーンズを指で弾いた。>


…………

……


???

お帰り、アイシャ。お姫様になる夢を叶えた気分はどうかな?

熔印のルーン三千個、いまだに所在が知れない。

状況をどう見る?

占ってみるかい?キリエ。

ジェリービーンズ占いか……もったいつけるねえ。

ゲン担ぎさ。さあ、何が出るかな……

ジェリービーンズは好きだよ。あの味以外はね……はむっ……んん?ああ~!言った先からこれだ!

おめでとう。リコリス味は試練の暗示だよ。

それ、テキトーだよね!?…………………………………………………………後味がまた……ヒドイな。

私は好きだがね。人にはすすめないが。

とりあえずは、元老院の方々のご意向をうかがっておこう。

老人たちは動かんよ。賭けてもいい。

ははは……、賭けにならないねぇ。



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story3 ありふれた花


むかしむかし、帝国にとっても偉い人がいたんだ。

皇帝陛下よりもえらい?

権力をもっていた。

けんりょくってなーに?

わがままをするための力さ。

いっぱい、わがままできるの?

ああそうさ。いっぱい……わがままをしたよ。

そしてできたのが、このご立派な宮殿さ。

お花畑も?

お花畑をつくったのは、ボクだよ。

 zあっ、こんなところにいた。ほら、行こう。

行かなきゃ。ありがとね、おじさん。

ああ。元気で。

おやおや、軍人さんだ。どうですかな、この花畑は。

<踊る花>か。

今が盛りなんですよ。ご覧あれ、この美しさ。

三百年前だったか。開拓者たちが発見し、お前に捧げた花だ。

風に吹かれると、花弁が踊る。ワルツを踊るように。初めて見たときは驚いたね。

いまでは珍しくもない、ありふれた花だ。

多くの人に愛されたからね。この花は帝国そのものさ。

――そうだな。我が友よ。

<帝国>皇帝

お帰り、ジュダ。



…………

……



w陛下、お体の具合は……

ああ、大丈夫だよ。下がっていい。

wはっ……

反皇帝派のバカどもが、<熔印のルーン>を使って、魔物どもを増やしている。

後ろで手を引いてたやつはぶっとばしたのにねぇ。

ビゴー・マグナスか。

スポンサーが変わったのかな?

<ロンダミア大公、ビゴー。しかしその正体は<闇>と呼ばれるこの世の脅威であった。

ビゴーは皇帝の命を受けたジュダにより、棺を送られ、永遠に葬られた。>

それにしてもだね。いきなり悪いニュースから伝えるのは、君の悪い癖だよ。

もっと悪いニュースがある。

何だって……?

<ギギッ……>

おやおや。右腕にオイルを差す頃合いかな。

双頭の竜が帰ってくると。

<バギッ……>

笑えない冗談だね~。あいつは……六百年前に死んだはずでしょ。

あの簒奪者は不老不死の存在だ。存命の可能性はある。

なるほど、ボク……今まで楽観的すぎた?

<熔印のルーン>の出どころが判明すれば、敵の尻尾をつかめる。現在、手がかりはそれだけだ。

熔印のルーンねぇ……心当たりがないでもないけど……

時間がない。誰に聞けばいい?

――元老院。



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story4 狩猟戦旗


<帝国元老院・議事堂――神獣宮。

その一角に、いくつかのソウルの塊が浮かんでいる……

帝国の貴族……神獣の血の末裔が送り込んだ、己の分身である。>


1――ヒストリアのー件――諸君らはどう見る?

2二度目の大崩壊は近い。

1存外長く続いたものだな、この帝国は……

3再び白と黒がせめぎあう時代となれば、こんな国、欠片も残らぬよ。

1ならば、利用できるうちに、利用しておかねばな……

m――ご報告申し上げます。<特務>より緊急の事案ありと。

3――定命のものなど、いくらでも替えが効く。勝手にやれといっておけ。



<帝国首都――その地下深く――>


――――

……………………

――――

……………………


はい、静粛に~。

誰も喋ってないぞ。

ありゃ。


???

うわぁ~!!おくれちゃった!おくれちゃった!

<むにゅ。>

うわあああ!ぶつかっちゃった!ごめんなさい!

こっちは大丈夫だ、ニナ。ぶつかった相手が私でよかったな。

アイシャさん~!おかえりなさ~い!ぎゅ~。

よしよし。

話、始めていい?

――

同意と判断するよ~。さて諸君!我々は何だ。

掃除屋。

のぞき屋。

狩人。

どれも正解。我らこそ――帝国の舞台裏で働く、特務機関。その名は<狩猟戦旗>。

(ゴクリ……)

目下の問題はーつ。奴らだ。我々にとっては、影の組織の先輩だね。

――レヴナント――

はるか古から存在し、無数の人々を支配し、一切が謎。

…………

――――

彼らが反皇帝派を動かし、<焙印のルーン>を国内にばらまいている。

さあ、どうしようねぇ。

――――――――――――――――――

………………………………………………

滅ぼす。

おっと結論が出た。

他に選択肢があるか?

とはいえ連中は未知の存在だ。最善を尽くしたい。

よって……狩猟戦旗はここに新たな旗手を迎える。

えーっ!?

聞いてないぞ。

紹介しよう。――彼こそは、帝国の棺!

――!

………………!!

<男は、影の中より現れる。>


――帝国第十三軍団、大佐、ジュダ。


……十三軍団……?ちょっと待ってください、そんな軍団ないですよぅ!

<葬送>の第十三軍団。構成員はただ一人だけ。

皇帝陛下が御自ら死を賜るとき、十三番目の軍団が棺を運ぶ。

伝説です……!

貴様らが、元老院の飼い犬か。

くくっ……

ふふふ……

レヴナントといったな――覚えているぞ。束ねられし民。帝国の敵だ。

奴らの仕業か。あの忌まわしいルーンも。

その通りだ、ジュダ。

俺が棺を送る相手は決まった。

いいだろう。私は専門家だ。ついてきたまえ。

お前たちとつるむ気はない。

時間がない。君にはあるのか?

誰に向かって口を聞いている!?

アイシャ・アージェント。アイシャでいいとも。

ガウウウッ!!


いっちゃいました……!

完全に無視された……!


…………

……



何処に行く。まさかこの先に、レヴナントがいるとでも?帝都の心臓部だぞ!

どうしても寄る必要があるんだ。レヴナントはその後だ。

……フン。……悠長なことを。

まっすぐつっこんで勝てるような簡単な相手じゃないぞ。理解したまえ。





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