帝国戦旗 Story1

 
最終更新日時:
ストーリーまとめ

2017/00/00


目次

Story1
Story2
Story3
Story4
Story5
最終話

主な登場人物




story1



帝国は一枚岩ではない。
国内には様々な勢力がせめぎ合っている。

中でも過激な活動で知られるのは、皇帝を廃し帝国の変革を望む<反皇帝派>である。
<反皇帝派>が何らかの工作を試みていると察したジュダは、一人アジトヘと潜入した。


「条件にあう検体は、A棟に連れていけ。」
「了解。こいつら、どんな魔物になるんでしょうね?」
「玉座のネズミをあがめるクソどもをぶっ殺してくれるなら、どんな魔物でもいい。」
「確かにな。いい筋書きだ。」
「<真の皇帝>に乾杯。ネズミはくたばれ。」

暗闇の中から、一人の男が現れる。

「つまらん筋書きだ。とはいえ……聞き逃すわけにはいかんな。」
 「……誰かいたか?」
「ワオーン。」
 「なんだ、野良犬か……」


 ***


「だめっ……おかあさんに、ひどいことしないで!」

「ああ……」
「ひどいことをされるのは、君だよ。おかあさんにね……」
「何をするんです……!」
「奥さん、あなたを魔物に変える。」
「魔物に……? 貴方たちは、何を……!」
「魔物になると……普通は、理性を失うのだが……
実の娘の前で……何分……理性を保てるのか……計測したいわけでね。
君は自分が……何分後に……実の娘を……捕食すると思う……?」
「殺して……!」


「……ヒッ!?」
研究員は、影に呑まれた――


「……消えちゃった?」
「だ、誰……!?」

「静かにしろ。」
母と娘も、影に飲み込まれた……?


「……残りの仕事を片付けるか。」


 ***

「<真の皇帝>の<白の帝国>に、獣どもの居場所はない!」
「そういえば奴は、人間以外の種族を滅ぼそうとしていたな……」
「奴らは<闇>だ…… !そうか、お前も<闇>だな!?」
「<闇>だと? 一緒にするな。」

男は、ルーンを掲げた。
「熔印のルーン。生き物を魔物に変える……おぞましい玩具か。」


「退け闇よ!双頭の竜は蘇る!」
「お前は人として死んだ。ならば弔おう。」



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「フン……寄り道がすぎたな。
「仕掛けがいろいろ必要なのさ。見つかってくれるなよ。


ジュダとアイシヤは、レヴナントの情報を探るべく、帝国の政治犯収容所にやってきた。

「ヴァンドーム要塞。政治犯収容所か。
疑わしいと見た人間を、片っ端から捕まえる悪名高い収容所だよ。」
「ここに奴らがいるのか?」
「必要な情報がある。……帝国の収容所とはいえ、見つかってくれるなよ。」

 ***

牢獄には、目つきの悪い男が囚われている……

「ふむ。彼に聞いてみよう。」
「レヴナントの構成員か。」
「ワスカの葉の密売人だ。連中とは無関係だよ。」
「だったら、なぜ聞く。」

「ううっ……誰だ……?」
「……やあ、気分はどうかな?」
「あんたは……?」
「真の皇帝に忠誠を誓うものだ。君はどうだ?」
「わ、私も……真の皇帝に忠誠を誓っています……! ここを出たらネズミの手下を焼き殺します!」

アイシャは、若い男の腕をとる。見れば、男は奇怪な紋様の入った腕輪を身につけていた。

「ご覧、ジュダ。」
「双頭の竜……!反皇帝派か。」
「もともとは、そうじゃなかった。」
「どういうことだ?」

「ヒッ……!? ぐっ、ぐえええ……!」

「熔印のルーンか……!」
「彼らはもう助からない。苦しみの無い場所に送ってやろう。」

 ***

「完全に無駄足だ。」
「そうでもないさ……ニナ、どうだ。」
アイシャは、己の声を伝える、伝声のルーンを取り出した。

”もう少し~、もう少しです~!あ、あれ?あー。こういうことか。なるほど~。
はっ。ええっとええっと~。えい! とう!……できました!

「何をしている。」
「収容所の記録を、魔法でルーンに写し取っている。記録を改ざんした上でね。」
「あいつが?」
「すぐれた分析官だよ。では行こうか。ここにはもう用は無い。」



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収容所から得られた情報を元に、ジュダとアイシヤはレヴナントの拠点を捜索する――
浮かび上がったのは、民間の研究所であった。

「収容所から、何人かの被疑者が、この研究所に搬送された。
表向きは、民間の生物化学研究所。さてさてその実態やいかに。」
「嫌な匂いで溢れている。……最悪な場所だ。」
「狼の嗅覚がなくてよかったよ。さて、忍び込もうか。」
「――気が進まんな。」

「人間を魔物に変える、熔印のルーン。君ならこいつをどう使う?」
「魔物が一匹増えたところで、どうということもない。」
だが、その一匹が――たとえば身内だったとしたら、人を絶望させるには十分だ。」
「そうだ。あのルーンは、人々に心理的影響を与える。陽動作戦には最適と思わないか?」
「こちらの眼をあざむくつもりか。」
「その隙に仕掛けてくる。さて、何をするつもりか確認するとしよう。」

 ***

「おっと、見張りがいるな……どうする。」
「殺すわけにもいかない。少々眠っていてもらおう。」
「ここから仕掛けるのか?」
「ああ、吠えたりするなよ。見つかるからな。」


「おっと、情報だ。見逃す手はないね。」
「嬉しそうだな。」
「そうだとも。私は今、わくわくしている。」

 ***

”アイシャさん! この研究所、ら、熔印のルーンの研究を!してるみたいです!
「それはもうわかってる。」
”あれ? そうなんですか?”
”いたるところにレヴナント、ってわけかい?”
「ここで研究を進めてたのは、レヴナントにのせられた一般人だよ。」
「帝国の国民でありながら、皇帝に敵意を向けるのか。」
「帝国を変えなければと考えているんだろう。その点は私も同意する。」

 ***

「そろそろ頃合いだな。」
「――ああ。」
「何を見ている。」

机の上に、瓶がある。
中にはジェリービーンズが一粒だけ入っていた。

「……クンクン……お前のものではないな。」
「その通り。研究所にいた誰かが残したものだろう。」
「なぜそんなものを気にする?」
「……気にしてない。……必要なものは手に入れた。」
「手に入れた?」
「頭の中に盗んだのさ。では行こうか。」




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「だめだ、見つからないよ~。熔印のルーン~!」
「帝国の警吏は鼻が利く。だが……」
「やっぱり内通者がいるねえ。ルーンを持ち込むなんて、朝飯前かな?」
「反皇帝派どもだな。実権のない皇帝を引き下ろしてどうするのだ。」
「そうだよねえ~。ボクつてお飾りだし!」
「自分でいうな。」
「帝都で勝手はさせん。フン……あの泥だらけの村が、今では帝都か。」
「多くの人に育てられた。なんとも幸せな街だよ。」
「爆発の威力を最大にするなら、群れるはずだ。ならば匂う。」
「なのに、ジュダの鼻でも見つからないってことは……」
「――下か。」

 ***

”ジュダ、聞こえる~。”
「聞こえてる。」
”地下水道って、なんだか……血が騒いじゃうね~。ネズミ的には。”
「はしゃぐな。」
”それにしても、ニナちゃんどうしたんだろうね?”
「向こうの都合だろう。最初からあてにはしていない。」
”ジュダは冷たいなあ~。”

 ***

ジュダは伝声のルーンを手に取った。

「……お前か。」
”こっちで動きがあった。仕掛けて来るぞ。……地下水道にいるのか?”
「なぜわかった?」
”声が反響している。状況はどうだ?”
「今のところ、爆発型も、人に化けた魔物もいない。」
”だったら、答えは一つに絞られた。”
「何だと?」
”地下の湖。”
「オペラ座か!」

伝声のルーンから、破壊音が!?

「おい!どうした!」
”帝国を守れ”


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帝国国立歌劇場。通称オペラ座。

「ここか……!」
ジュダは、影に紛れる……

 「なんだか今日、やけに警吏の見回りが多くないか?」
 「確かに……何かあったのかな?」
 「まさか……秘密結社ブラックアーセナルが?」
 「タブロイド紙の読み過ぎだぜ。」

「クンクン……!
なんだこの香水は。酷い匂いだな……!」

「昼にチャーハンを食べたな。」

「風邪をひいてるな。早く帰って休め。」

「…………む? こいつは…… !」

 ***

(さっきの男……匂いが無かった。おそらく人ではない……!)

 ***

「…………どこにいった……!」

 「おお、あわれなネズミよ……お前はとこに隠れている。
 憐れなネズミにふさわしく、暗いあなぐらの底で、息を殺しているのであろう。」

(フン、役者か……帝国の危機も、六百年もすれば絵空事めいた芝居になるか。

 「貴様の帝国はこの俺のもの。我こそは、双頭の竜ツァラ……」

(――この役者の匂い――どこかで嗅いだか?)

 ***

「……地底湖か……そういえばここは昔、ただの沼地だったな。
ずいぶん、長い時が流れたものだ――
帝国を守れ? ……言われるまでもない。それこそ我が使命だ。」

地底湖の水が、退いていく……現れたのは、洞窟である。

「未完成の水路か――おそらくあれは、宮殿の地下に通じている。ならば――!」

いつの間にか、周囲にーすさまじい数の魔物が!
「爆発型か――いいだろう。葬ってやる!」

 ***

「……やってくれるな。
だが、お前たちの好きにはさせん。」

――そうだ――

「貴様……!」

――己だけが好きにする。それが我儘よ――

魔物の群れが、洞窟の奥に逃れていく…… !

「黙れ、老いぼれ!邪魔だ!!」

――門を開けよ――お前の我値を――
――通したいのならばな!――

「ガァルルルルウウウ!!

――まだその気にならんのか――
ならば足掻け――

 ***

ぐううっ……地上に……出ていたか…… !

周囲の建物のー部が、倒壊している

「まともに喰らったか……
だが、敵の匂いは、途切れた……爆発型は、一匹残らず――

ジュダは――
「あれは……?」
その場で、立ち尽くした。

「――ジュ、ダ――」
「皇帝ッ!」


「ガァルルルル……!!
グウォアアアアアア!!」


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「目標発見!!周囲を破壊しています!

「ああ、そうだろうとも。
あれこそ、ボクたちの真の敵――!

「グォオオオオ!!」

「何だ……何なんだ、この化物は!」
「闇だ……闇が帝都に」

「はいはい、どいたどいた~。」
「待て!止まれ!」

「ガァルルウウウゥ!!」

「解っていたとも――
君が、とてもとても……我儘ということはね……!」

一瞬であった――
白い閃光が、ジュダを捕え――

「グウォアアアア!」
「終了~。」
「――ううっ―――俺は……帝国を……!」
「悪いと思ってるけど……ボクらだって考えてるんだ。帝国のことをね。
帝国のためにも、元老院にボクらがちゃんと働いてるってことを、示す必要がある。
レヴナントについて、嗅ぎまわっていた<狩猟戦旗>の旗手は、粛清された。
……そういうことに…………させてもらうよ?」


 ***


「早く!アイシャをおっかけないと!」

(この飛行艇のエンジンをかければ…… !
アイシャの乗った飛行艇は、すでに水平線の向こうに――!)

「もう少し……がんばって、主人公!!」

「――!」
「……そんな……!」
「アイシャ……さん……!」

 ***


六百年前……とある孤島の浜辺にて。

「……生き残ったのはボクと君だけか。体が半分機械で助かったよ。」
「ガルルゥ……ガウッ……ガルルッ……」
「まだ無理をしないほうがいいよ、ジュダ……
六つの神獣の力に加えて、あの桁違いの能力……強敵だ。」
「……ガウウ……」
「これからどうするかって?なんとかこの無人島に流れ着いたけど……
さあ、これからどうしたもんかね?」
「ガアウウウウーー!!」

「ん?これが何かって?
――これは、棺だよ。あいつに送るためのね……

あいつは、少々やりすぎた。
届けてくれるかい? ジュダ――」



最終話



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