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【白猫】九条霊異記 ~巫女隠し奇譚~ Story

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最終更新者:にゃん

行くは吉なるや、帰りは凶なるや――
通りませこの細道を。


開催期間:10/12 16:00 ~ 11/8 15:59



story1


ここがクジョウの島ね!なかなかモダーンでいいところだわ!

素敵なところね、主人公。

だかしかし!一見平和そうなこの島で恐ろしい事件が起こってしまったのよ!


エリマキ貴族

その通りでおじゃる!マロの家の使用人が、こつぜんと消えてしまったでおじゃる!

実家に帰ったとちがう?

ちがうでおじゃる!!これは<神隠し>でおじやる!!

<神隠し>?



 ***



ピーピー!!

さあて、どこから探そっか。まずは聞き込みかな?


ギャ、ギャ、ギャ。

あら、賢いですね。それがいいと思います。

でも誰に聞いたもんかね?神隠しについて知ってそうな人って、どんな人?

とりあえず、手当たり次第に聞いてみましょう。


そこのアンタたち!神隠しってなに!?


聞き込みしようとしてたのに、聞き込みされちゃった!?

とつぜん人がいなくなってしまうことです。まるで神様に隠されてしまったように。

神様に……隠されて……?

神隠しがどうかしたの?あたしらも探してんだよ!神隠しにあったやつ!

なんちゅーめぐり合わせ!アンタら、名前は!

あたしはセツナ!!元気がとりえってね!

私はトワといいます。特にとりえはありません。

ちょうどいいわ!じょうほうこうかんよ!



 ***


クラスメートさんが、神隠しに……?

そーなんだよ。あたしら、<清めの宮>っていう学校に通ってんだけどさ。

神に仕える清らかな巫女を育てる学び舎です。そこで昨晩、生徒が行方知らずに。

今も総出で探してるけど、音沙汰なしなんだよ。

街の方まで向かったのかも知れないということで、ここまで探しに参りました。

ふむふむ……

キャトラ、どうして手帳に肉球でスタンプを?

メモしてるフンイキよ!

神隠しの件で依頼をくれた人が。『<崇り神様>の怒りに触れた』といってたんですが……どういうことなんでしょうか?

<崇り神様>ですか。この街のものなら、そう考えておかしくはありませんね。

思い当たるフシブシが?

そうだねぇ……――!!

えっ……この、魔物は――

<闇>……この魔物は<闇>の……!

<まがこと>……!街中にお出ましとはね!

<まがこと>なれば、祓うのが、巫女の仕事ですね?




セツナいくよダイフク!
トワいきますよ、オハギ!

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story2


必殺!! 巫女パーンチ!!

勝利!! いやーキレイにかたづいたねえ。

セツナさんあぶない!

えいっ。これはどうですか?

勝って兜の緒をしめよ、ですね。

いや~助かったよ~。

ねえ、アンタら……

なんか、ヘンな気配がすんだけどさ。気のせいかしら。

あら、キャトラ様、式神の気配を感じたのですか?

しきがみってナニ?

こーいうやつ。

ぎにゃー!!だれかさわったー!!

こーいうやつではわかりません。式神というのは、人が使役する精霊のことです。

アンタらはそれを使ってると。……せーれーって人のいうこと聞いてくれるもんなの?

あたしは、昔っから使えたけどね?なんかあたしんちの先祖が式神と契約したらしくってさ。

私の式神は、一族の春属ですから。幼い頃からの付き合いになりますね?

昔なじみのお手伝いさんなのね。

つーわけで、戻れっ!

お戻りなさい。

あれっ……!?かわいい小鳥さんが……

ピーピー。

ギャギャギャ。

普段は小鳥に化けてんだよ。

なんかおいしそうな子たち。

それにしても気になりますね。あの<まがこと>は何なのでしょう?

どうしてこの街に、<闇>が……

確か、この世全てに凶なる<まがこと>のことだよね。<闇>ってさ。

テンジン様の加護あるこのクジョウに、そんなものが……

はっ。

この気配は――!

向こうで、誰かが戦っています!



 ***



コンコーンッ!!

罪穢れを祓い給え、清め給え!

この気配、<闇>だねえ。どーする、カスミ?

<まがこと>は全て祓うわ。……あれ?あんたたち。

カスミ様に……コリン様?お戻りになられていたのですか?

おーっ!コリンちゃんに、カスミさん!ひさしぶりー!

奇遇だねえ~。元気してた?

あんたたちは下がりなさい。

いやいや。あたしらも成長してるんですから!

お役にたってみせます。カスミ様!

わ、わあああ、来るわよぅ!!



セツナまがことは殴る!
トワ当てます。避けないでください。

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story3


コリンちゃん、イェイ!

イェイっ!!

ハイタッチだ!

……腕を上げたわね。

カスミ様の教えのおかげです。

アンタらって、知り合いだったのね!

コリンちゃんとカスミさんは、<清めの宮>のセンパイでさ~。いやー懐かしいなあ。

<まがこと>と戦うつもりなら、もっと気を引き締めなさい。

かっこいー!!キリッとしてるなーもう!

私、もう行くから。

ワタシもちょっち野暮用~。ちょっと外すわ~。

えー、残念。

私たちにも、用事があるでしょ。

ヒマになったら、お茶しよーぜ~。


さすがにあの二人、島に馴染んでたわね~。

あっ……神隠しのことを、二人に聞くんだったわ。

確かに。……不覚です。

まーいいじゃん。

ちゃっちゃと見つけて、お茶にしよう!



 ***



……空気が重いな。まるで、あの時のようだ……

外道が隠れ住む場所らしく、忌むべき空気に満ちているな。呑まれてやるなよ。

頭は冷えている。我が刃のように。

その刃、いつでも放てるように備えておけ……おそらく死力を尽くした戦となろう。

ドウマといったか――名うての陰陽師と聞く。

道を極めるために人の道を捨てたという。

人を捨て魔に落ちたならば、我らにとっては鬼と同じ。

然り。む……この祭壇は……!

陰陽道のものに相違ない。……祀られているのは……

テンジン様だと――!



 ***



そうなんどす……うちの姉さんも、昨日から神隠しにあってもうて……

心配ですね……

これで十人目だわ! 街中で神隠しが起こってるみたい!

神隠しにあった人の名前は?

……あれ、ええと……あきまへんなあ、ど忘れしてしまったようどす。

日が暮れても家に帰らない子は、テンジン様がお隠しになる。

クジョウの島に、古くから伝わる言い伝えです。

そういえば、あいつと最初に会ったのって、テンジン様の社だったっけ。

そうでしたわね。あの子と、日が暮れるまで一緒に遊んで……

早く、見つけないとね……

二人とも、気をつけて!

邪魔するんなら、容赦はしないからね!

道を開けていただきます!



セツナ巫女の前に立ったこと、悔やむがいい~!
トワ私は急いでいるのです。

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story4


たまに帰ってみたら、清めの宮の後輩に会うなんてね。

奇遇なものね。

ねー、カスミ、ワタシのこと覚えてる?

覚えてないわ。清めの宮には友達いなかったし。

トワはどうなのさ。弓道部の後輩でしょ。

私程度の付き合いで、友達なんて言えないと思うけど。

それ以外には……いや、あの子は違うか。私が友達だって思ってただけだものね……

フーン。ところでこれからのご予定は?

<まがこと>の気配は消えてない。私は務めを果たす。

そっか……まあ気をつけなよ。今回はやばいかもよ?




 ***




この気配は、<闇>の手の者か――

<闇>とは厄介だな。

臆したかイサミ。我らは鬼退冶の一族。人の世を蝕む鬼を討つ者だ。

いつの間にか――心強い武士に育ったものだな。シズクよ。

何をいうか。私などはまだまだ――

シズクッ!!

イサミ!!


イサミ……?返事をしろ、イサミ!!




 ***




街中見回ったけど、手がかりはナシ……

どこにいっちゃったのかしら。

コッソリ実家に帰ったのよ。

あ、アタシらの探している使用人さんの話。

冒険家ってのも、大変だねぇ。

でも、いろんな島に行くのは、楽しいです。

そうなんですか!ひょっとするとみなさん、アオイの島の温泉にも!?

熱量あがったわぁ!?

この子、温泉好きでさぁ。でも、クジョウの島を出たことがなくってねえ。あたしもだけど。

うらやましいです……

じゃ、おしごと終わったら、みんなで温泉いきましょ。温泉。

いいですね!やる気が出てきました!

ピッピッピー!!

ギャッ、ギャッ、ギャ……

およ?式神が何か見つけたかんじ。

ここですね?

<主人公が地面を掘ると、焼き物が出てきた。>

何かしら、これ……

触れてはいけません!


これ……<闇>が封じられて……

呪物ってやつだね。なるほどここは辻になってる。

土器の上を誰かが踏むたびに、土器の中に怨みが溜まり、呪いが強まるのです。

いやな仕組みだわ!



そうだねえ。キャトラちゃん。呪術を悪用するなんて、いけないことだよねえ。

メリドさんっ!?

この禍々しい気配――この呪物……あなたが!?

違うよ?お~っと、呪物に引かれて、悪い物が来ちゃったみたいたね。

なるほど!まずはぶっとばす!



セツナ悪いものっておばけじゃないよね?
トワこれほどの呪術、一体誰が――

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story5


メリドさん、この呪物の意図はなんだとお考えですか?

星の運航を利用した呪術に用いられる仕掛けのようだね~。

星の巡りを術に……

この焼き物の表面に書かれているのは、星を表す記号なんだよ~。

それをソウルか循環する十字路に設置すると……

天体のもつ様々なパワーが地上に降り注ぎ、精霊や神様が活性化するのさ。

くわしいんですね!

僕は呪術師だからね~。

この呪術が<神隠し>の原因ってことかしら。

<神隠し>を起こしているのは、別のものだよ~。

(やはり、そうなのですね――)



 ***




ハァ、ハァ、ハァ……

ここまで来れば……ぐっ……深手を負ったか……


…………


今、私は……誰かに呼びかけようとした……?

いや……私は……あの戦いから、ずっと一人で戦ってきた――

一人……きりで……



 ***



友達がいたら……

あそこって、どんな場所だったのかな……


……清めの宮、か……

あの時私は……ずっと心を閉ざしていたから……

あの子くらいか。一緒にご飯とか食べたりしたの。


……あれ? あの子って……誰だっけ?



 ***



なるほどねえ。魂胆がわかったわ。

――この我を取り込むことで、おそまつな術式は完成する。

極星は目覚める。1000年分の穢れと共にな。

フフン。まあ手はうっといたさ。

トカゲを首に巻いたバカ貴族に、依頼を出させたのはお前か?

どうかな~?ま、切り札はとっとくもんさ。

邪神と共に、天狐は蘇る。クジョウに仇名す最悪の存在としてな――

……もうやめないかい。こういう奴はさ……

これはお前のためでもある。ただの魔獣となり果てたいか?

それもカンベンさ。でもワタシは、あんたにも幸せになってほしいんだよ。

我の幸せは、人の苦しみだけだ――






 ***




<神隠し>にあった子とは、ちっちゃいころから仲良しだったの?

そうそう……ま、いろいろあったけどねー。

ケンカしたんですか?

あの子の家とあたしの家、クジョウでも有名な仇同士でさ。

今でもいさかいが絶えないのです。でも私たちは、友達になった。

そうだったんですね……

縁ってものは不思議だねえ。

本当に不思議です。憎みあっていても、おかしくなかったのに……

えっ――な、何っ!?

な、なにこれっ!?

この気配――何か……とてつもなく大きな<まがこと>が――!

<闇>のお出ましだね。……よかった、おばけじゃなくて。

祓い給え!

清め給え!



セツナ結論。殴れるからおばけじゃない。
トワ嫌な……予感がしますね……

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story6



神隠しにあった人たちは……闇にとりこまれちゃったの?

違うと思います。おそらく原因は、我々にとってとても身近な方。

どこのどなた様?

<崇り神様>――テンジン様です。

呪術はきっと、テンジン様に奉られたものだね。

テンジン様は方位を司る神。正しき者に道を示し、悪しき者を迷わせる。

迷わせる……それじゃあ。

クジョウの島の神隠しとは、テンジン様の神気を浴びて、有るべき場所を見失うこと。

つまり……ものすごい迷子になっちゃうってわけね。

神隠しにあってしまった者は、他の人に認識できなくなっちゃうんだって。

ねえ、ちょっと気になったことがあるんだけど。

なにかな、キャトにゃん。

キャトにゃん……ま、いいわ。アンタたちのクラスメートって、どんな子なの?

一見おとなしくておっとりしているけど、よく見るとけっこう気か強い。

そうですね。あっけらかんとしていて明るい子です。本当は怖かりですけど。

個性豊かな人ですね。

ちょっとひねくれものでね。いい子ちゃんぶってるけど、曖昧なことはいわない。

素直な子です。良くも悪くも。だから、はっきりしている。曲がったことが嫌い。

うーん……?

なんつーかね。一度決めたら一人で突っ走っていっちゃうとこがあるから、心配でさ。

その点については、同意します。大事な時に限って、突っ走ってしまうんですよ。

……? あら?

……私は鬼を斬る――

それがエンジュの家に生まれた者の務め。

大丈夫ですか!?

シズクさん!どうしたんですか?

……皆様……?……うっ……私は、何を……

イサミはどうしたの?

イサ、ミ……?どなたですか?

どなたって!アンタの相棒よ!

私はずっと、一人で戦って……あの鬼に、一族を殺された時からずっと……

そんな……!

失礼、私にはやらなければならないことが――

ドウマを――斬らねば――

ドウマ……?



 ***


星々の力が集まってくる――大いなる禍が蘇る。

これほどの力と技術……ああ、惜しいねえ……


 ***



くっ……このままじゃ……

まがことを祓う……私は……負けない……

だって……約束したもの!



 カゲツ  

カスミ……!大丈夫……!

カゲツさん!


 カゲツ  

逃げろと言っても、君は聞かないよね……だから、僕も共に戦おう。

はい……一緒に……!!



 ***


……もしも、テンジン様を目覚めさせようとしてるなら……

テンジン様の社にも、呪術を仕掛けているはずです。

それをどうにかすれば――

しっつこいなあ!!こっちは急いでるっての!

私はあの子に、伝えなければならないのです。


急急如律令!



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story7


おだんごスタンバイっと。これでOKだねえ。

立派なお供えだな。むぐむぐ……こいつで<崇り神様>が鎮まるのか?

お月様にお願いして、テンジン様を鎮めてもらうの。

なるほど、そういうやつか。

お力を貸してくれるといいけど……

大丈夫だ。俺もいるんだからよ!

アマタくんは……できるだけ遠くへ逃げて。

俺は太陽を宿している。テンジンを抑えるくらいはできるさ。

駄目だよ!

俺にとってはこれも祭りだ。祭りとあっては退くわけにゃいかねえ。

アマタくん。わかった。力を貸して、ね……?




 ***




「ギャギャギャ!!

「ピピピピー!!

ここに闇の気配が……?

いわれてみればなんかいやな雰囲気だわ!

おばけでも出そうだね……

へ、ヘンなこといわないでよ……



???

ぬう……星が乱れる――

我が式盤に影をさすは月か。

うひゃー!! なんかでたー!!

<闇>に……人の意志が混ざっている……!?


???

ぬんっ!!



 ***



かしこみもうす、月の姫神。月の若姫、月の大神。

過ち犯しむくさぐさの罪を祓い給え清め給え。ううっ――!!

ツキミ!!



 ***




 ドウマ  

八将神挙りて来たり、もって神殺。六大をくわえ七殺。

ドウマの名において命ず――。

ドウマ……?まさか、あの?

 ドウマ  

…………八意の悟り、万の神と共に図らん。我天の斑駒を捧げ給う。

クジョウの島に災厄を招きし、外法の大陰陽師……

って、ちょっと待ってよ。それって大昔の話でしょ!?

名を継いだ……いや、<まがとこ>に体を同化させ、生きながらえた。

 ドウマ  

あまねく光よ、天つ罪の岩戸に隠れたまえ。さばえなす闇よ、今ここに有れ。

お、おばけはカンベンだけど……!あんたが原因なら!まず殴る!


 ダイフク 

ピッピー!!

待って!! あいつは――!!


 オハギ  

ギャー!!




暗い……真っ暗闇だ……

――は、――は、無事――なのか。

<*×○■!&%$…………>


良かった……気がついたのね!

どうしたの?主人公……

セツナにトワ……?いったい誰のこと?



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story8



ねえ主人公、私達、誰とも知り合ってないと思うけど……

クジョウの島にも、知り合いはいないもんね?

シズク、カスミ、コリン……?一体誰の事?

――――

一度落ち着きましょう……そもそもアタシらは……

あれ? アタシらどうしてこの街にいるんだっけ?

…………主人公。

…………


……ゴメン、アタシら……!

私達は……また……忘れてしまったのね……

<テンジン様の社――そこに行けば……!>

行きましょう……!



 ***




カスミ……!!

カゲツさん!?


くっ……!!どうして私は、こんなに――!



 ***




夜空にあれまさる月の大神――<まがこと>つみけがれを……

がんばれ!! ツキミ!!

お前なら……やれる!


アマタくん……

――――

祓い給え、清め給え。荒ぶる御魂を、鎮めたまえ――




 ***




あれ……ここは……

あたしは……

そうだ、あたしは……あの子に伝えたいことが……

あれ……あの子、なんて……なんて名前だっけ……?

どうして……思い出せないの――!?



 ***



まったく……どこにいったのでしょう。

本当に……あの子はいつだって、私を置いていって……


……あの子……なんという名前でしたっけ?

……思い出せない……何も……




 ***



ここが……テンジン様の社?

気をつけて、主人公!



汝が歩むは、凶なる方。

一歩進めば肉が腐る。

二歩進めば骨が朽ちる。


三歩必殺――心魂尽きる。

story9



月の大神――さきわいたまえ――あとは……おねがい……


ひめかみさま――そのお力を……大切な人を……守る力を……!




 ***




主人公!

アンタ、なんだってこんな……!


 ドウマ  

陰陽の道の者は、見鬼を行う。

鬼を見るはただの術理にあらず。


それすなわち陰陽の道なり。

我は最も度し難さ鬼である闇を見据え、知り尽くす。

闇を――知ることが……

あなたの目的なの!?


 ドウマ  

然り。そのためにこのドウマは闇そのものとなり果てり。

崇り神……クジョウの崇り神は、封じられし古の<闇>。

我は闇を解き放ち、目覚めさせる。そして――間近にて<知る>。


 ――――


最後の力で――ルーンを!



 ドウマ  

闇の目覚めと共に果てよ。




 ***



――あたしは誰なんだっけ。

なにかあたしには――やらなくちゃならないことが――

……まあ、どうでもいいか……



――私は誰なの?

私には、伝えたいことが……

でも……もう私には……




この――光は――?

これは……?この輝き――


そうだ――!! 

私は……!! あの子を探しに来たんだ!


そう――私は――あの子を――!!


トワ!!

セツナ!!


「ギャッ!!

「ピーッ!!



ドウマ

――――

今ここに星は巡る――罪穢れを祓いたまえ!

極星よ、中天にあれ――罪穢れを清めたまえ!

永久なる定めを!

刹那の時に!




 ***


あ、アンタたちぃ!!

セツナさんに……トワさん……!!

うおー!! 今ここに全身の巫女力をたかめー!!

巫女巫女巫女ー!!はらいたまえ きよめたまえ ぶちのめしたまえ!

なんかしらんが全開だわぁ!!

ふふふ……いろいろと穢れてしまいましたので、お風呂に入りたいです。

なので、手早く終わらせますね?

こっちも全開みたいね!!


 ドウマ  

もはや汝らの命運は定まっている。その命、闇に捧げよ。



セツナみこみこみこー!!
トワ清めます。ええもう盛大に。

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最終話


トワは怒らせると怖いんだ。よくわかったろ?

セツナは何をするかわかりません。よくわかりましたか?


 ドウマ  

さばえなす悪神よ、<まがこと>よ。

日は鸚りたり。月は沈みたり。星は堕ちたり。

荒ぶり猛れ――闇よ!!

あんた、思い違いをしてるみたいだね?

テンジン様は、闇ではありません!


 ドウマ  

戯言を。人に仇名す悪しき神。曰くそれは闇ならん……!


<*×○■!&%$…………>


 ドウマ  

ぐふぁっ……!!

――我は見定める――

それが鬼を見るものの……宿願よ――!


やっつけた?よっしゃー!

本番はここからです。セツナ、気を抜かないで。

あっ、崇り神……!!あいつが、<闇>だって……!

ちがうんだよ。<崇り神様>は人間にとって禍を司るけど、悪い神様じゃない。

禍と<闇>は通じるもの。しかし同じではありません。


そういうことだね!

来たれ、天后!!我が意のままに舞い踊れ!

急急如律令!

出でよ、天乙貴人!!我が意のままに天駆けよ!

急急如律令!


クジョウを守りし大神よ、偉大なる天の極星よ!あらぶり荒む神よ!

罪穢れを祓い給え、清め給え、荒魂を鎮めたまえ!



 ***



「フン……人の子め、意地を見せたか……

そうらしいねえ。フフン。


コリン……無事だったのね。よかった。

逃げ回るのは得意なのさ。

コリン、私、思い出した……!あんた、弓道場にいた、狐の……

思い出した?そうそう。カスミが近寄りがたいから、化けてみたんよ。

……そうならそうと……言ってよ……!



 カゲツ  

カスミ……よく頑張ったね。

ありがとう、ございます……トウヅキ様……


(この人……もしかしたら、噂の……!)




 ***



不覚をとったらしいな、イサミ。

そのようだな。だが五体に不備なし。

ドウマは討ち取られたようだ。まったく、不甲斐ないな。

――時に、目が赤いぞ。埃にやられたか。

気にするな。行くぞ。




 ***




ふぁああ……眠くなっちゃった……

しゃあねえな。おぶっていくか。

すう……すう……

神隠し祭り、大したもんたな。

アマタくん……おだんご……

こんなときにも、おだんごかよ……




 ***



最初から神隠しにあってた!?

そういうことみたいだね……中途半端に消えてたみたい。

セツナさんとトワさんは、お互いを探してたんですね。

そうなんです。うかつでしたね。私の周りで一番迷子になりそうな子を忘れてました。

えー、でもトワの方が先に神隠しにあったんじゃんかー。

セツナの方が先に決まってます。

ほら、意外と頑固なんだよ。

退く理由がないだけです。

結局仲良しさんだわね。




 ***



……そういや、そうだ。あのさ……トワ。

何?

あたし、アラヤの家から、トワと縁を切れっていわれててさ。

……私もです、セツナと終生、縁を切れと。

テンジン様を封じるウチと、テンジン様を奉るクオンの家じゃ、仲が悪くてもしょうがない。

そうですね。私もさんざんアラヤが親族を呪い殺したとか聞かされましたから。

あたしも似たようなもんかな。

それで――どうします?

決まってるよ。家が仇同士でも、あたしらはずっと友達だ。

……それだけ、伝えたくてさ。

そんなことですか。

なんだよー。確かに、そんなことだけどさ。

セツナと私は友達です。口にしてしまえば、ただそんなことです。

そんなこと、か。確かにね。



早く早く! あんみつ食べにいくんでしょ!

おーっ、行くぜ!!

あっ、また一人で先に行って!





 ***



みなさん神隠しから戻ってこれて。よかったどすなあ~


どうやら終ったようだね~。おやおや?


使用人~!! 帰ってきてくれたでおじゃるか~!!

…………

ぬほっ!? こ、これはカッパでおじゃる!?

……まあ、いいでおじゃる。

…………




ダイフクオハギ

ピギャー!!

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