与話情浮世悲恋 Story

 
最終更新日時:
白猫ストーリー
黒猫ストーリー

2017/00/00

目次

Story1
Story2
Story3
Story4
Story5
最終話


主な登場人物

ハヅキ・ユメガタリ
ツバキ・リンドウ




story1



ここは「和ノ国」のとある剣術道場――
うららかな春の日差しが縁側に差し込んでいた。その陽気のもと、居眠りをする少女がひとり……。

「Zzz……。」
整った顔立ちとしなやかな肢体。
だが、横に積まれた数多の刀が全て彼女の愛刀だと知れば、余人は度肝を抜かれるだろう。
彼女の名前は、ハヅキ・ユメガタリ。さすらいの剣客である。

「…………」
そして、寝入るハヅキを見下ろす少女がひとり。
屋敷の主人にして、剣術道場の師範。ツバキ・リンドウである。


ふたりの出会いはハヅキが、道場に殴り込んできたことから始まる。
一晩切り綸んでも決着がつかず、互いに力量を認め合った。
以降、ハヅキはツバキの道場に居ついている。

 (よだれ垂れてるし、また目が半開き。かわいくないです)
剣を抜けば比類なき腕でありながら、今のハヅキは隙だらけだ。

「ハヅキ、もうお昼を過ぎましたよ。いつまで寝てるんですか?
「ふぁあ……もう昼か……アタシの昼飯は?
「まったくもう……起こしても起きないから、もう片付けちゃいましたよ。
「茶漬けでいいから、テキトーに作ってくれよ。
「はいはい……。

二人の同居生活は、大過なく続いていた。
もっぱらツバキがハヅキの面倒を見るような形だが、生来、面倒見のいいツバキには苦にならない。
「いいねえ、冷や飯に茶漬け!なにがいいって、金がかからないのがいいな!
茶漬けをかきこむハヅキを見て、ツバキは眉根を寄せた。
「言っておきますけど、タダじゃありませんからね。ここに住むのはいいけど、きちんと生活費、払ってください。
「わかってるって!アタシが博打で大勝ちしたら、まとめて払ってやるさ。

陽気に笑うハヅキを見て、ツバキも苦笑を浮かべる。
自分の思うがまま突き進むハヅキの生き方は、家に縛られてきたツバキにとって眩しかった。
ひょっこり現れて、気づけばいなくなるような危うさもあるが、だからこそ放っておけず面倒を見てしまう。

「それで、最近夜遅くまでなにしてるの?」
ハヅキは空の茶碗に箸を伸ばした。言いにくいことを聞かれた時、ハヅキは途端に歯切れが悪くなる。

「ハヅキ、夜になにをしてるのですか?
「……辻斬りの噂があるだろ?そいつを捜してんのさ。
やっぱりな、と思った。ツバキも、その噂を知っている。
「確か、道場関係者ばかり狙われてるんですよね?
都にはいくつか剣術道場がある。その関係者が何人も斬り殺されているらしい。
「魔剣使いだなんて言われてるよね。
「おう、頭、首、上背までを垂直にバッサリだ。後ろから斬られたみたいだが、どうにも不思議でな。
「後ろから闇討ちでもされたのかな……。
言いつつ、違うなと思った。
「でも、その状況なら、突くよね……。
一般的に突きは二の太刀につながらないため、死太刀とも呼ばれる。
だが背後からならば、確実に相手を仕留められ、かつ反撃を受けづらい。
袈裟懸けに斬ってもいいが、背中の骨は存外硬いものだ。
それなら安全かつ確実に仕留められる突き技が1番だろう。
「それが背後からの奇襲じゃねーんだよな。斬られた奴はどいつも刀を抜いてたらしくてさ。
刀を抜く隙はあったということだ。あるいは尋常な立会いだったのかもしれない。
「それなのに背中に傷なの?途中で逃げたってこと?でも、それで兜割りだなんて……。」
頭蓋を断つ技を兜割り、あるいは梨割、唐竹などとも呼ぶ。
向かってくる相手をー刀両断することは可能だ。だが、逃げる相手の頭を両断するのは、かなり難しい。
頭蓋は硬く、刃が滑りやすいため、普通は狙わない。あえて頭蓋を両断するのなら、それ相応の技術が必要になる。
しかも、逃げる相手を、こちらも走りながら追いかけ、その上で頭董を断ち割る。
なるほど、これは確かに魔剣だ。
「その上、頭と首と上背だけバッサリだ。兜割りで叩っ斬るにしても、中途半端なところで止めないだろ?」
ハヅキの言うとおりだ。
大地を断ち斬るつもりで斬るべしー―ツバキは、そう教えられた。
兜割りを中途半端なところで止める方が、むしろ難しいと言えるし、その必要性もない。
「まるで空飛ぶ奴に斬られたような傷だ。最近じゃあ、辻斬りは人間じゃね一とさえ言われてるぜ。」
屈託のない子供のような笑顔だ。こういうところが、危ういなとツバキは思う。
「言っとくけど、辻斬りはお前にやらねえぞ。ありゃあ、アタシの獲物だ。」
「やめなさいよ、危ないんだし。」
「そいつぁ、できない相談だぜ、ツバキ先生。だって、お前、放っておいたら、正義感に駆られて倒しちゃうだろ?」
「そんな危ないことしません。あなたじゃないんだから。」
「どうだかね~。」
ハヅキは含み笑いを浮かべながら立ち上がる。

「どこ行くの?
「夜まで時間あるし、暇つぶし~。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



story1-2


ハヅキは白黒ハッキリするものが好きだ。喧嘩や博打、勝ち負けのわかりやすいものがいい。
だが、時間がかかるのはダメだ。勝敗がわかるのが、次の日となれば、勝負したことを忘れてしまう。
その勝負が刹那の応酬であればあるほど、面白い。そう思う。

「ぬっが一! 負けた、負けた!!ここまで綺麗に負けちまえぱ、逆に気分がいいってもんよ!
強がりだった。だが鉄火場で愚図つくのは、イキではない。

「金なら貸すぜ。
「返すアテのねえ借金こさえるほど、バカじゃねーよ。

負けた時は気持ち良く負けて帰る。それが博打の楽しみ方だとハヅキは思っていた。
少なからずの美学がなければ、遊びにもハリがなくなるというものだ。


とはいえ、帰路につく足取りは重い。
「はあ……。
鉄火場では見栄を切ったが、実際に懐事情は寂しかった。
(金がねえと夜風まで冷たくなりやがる……)
また口入屋で仕事を探さなければ、ツバキに生活費を払えない。
すでに数ヶ月分ほどツケてもらっている状況だ。いい加減、追い出されても文句は言えなかった。

「月明かり ふところ涼しや おけらかな……」
ワカを一首読んだ瞬間、ジャリと砂を食むような足音が聞こえた。

「あの~……。」
ハヅキは刀の柄に手を添えながら振り返る。
「おいおい、夜中に背後から近づくなよ。下手したら、斬っちまうところだぞ。
鉄火場で見かけた男だ。どこぞで長屋をやっていると言っていた。

「さすがは剣豪さんですな。いえ、あなたの強さは噂に聞いています。
「へぇ、ふ~ん。噂ねぇ。そう言われると、悪い気はしないな。
「私はヘイジロウと申します。
実は、折り入って頼みたいことがございます。そこらの小料理屋で話でもどうでしようか?
「剣の腕を褒められたら、断れね一な。いいぜ、話ってのを聞いてやる。

ヘイジロウはハヅキを連れて、小料理屋へと入った。


「いやぁ、うまい飯ってのはいいな。それだけで気分が良くなってくらぁ。
運ばれてきた料理を食べながら、ハヅキは笑う。
「で、アンタの話ってーのはなんだい?
「実は、私は長屋を営んでおります。
「賭場に来るってこたぁ、ずいぶん儲かってるみたいだな。
「おかけさまで。ただ、―軒だけ困った家がございましてね。
「店賃払わねえのを、懲らしめればいいのかい?
「いえ、その家は誰も借り手がつかないんですよ。というのも、出るんです。
「カエルがか?
「カエルなんて、出ても困りませんよ。出るって言えば、幽霊ですよ、幽霊。
そのせいで、借り手がつかないどころか、他の店子も引っ越すなんて言い出して、困ってるんですよ。
そこで先生の剣の腕で、幽霊を退治していただければと……。
「アタシは幽霊なんて斬ったことないぞ。それに、その手の面倒は専門の連中がいるだろ?
「アマノ家みたいなところは、その……けっこうかかるんですよね。
夕飯をおごるだけで済むなら、確かに安あがりだろう。
断ろうにも、すでに食べ物は腹のなか。その上、締めのあんみつにも手をつけている。
「剣の腕を見込まれて頼まれたってんなら、断るのも野暮天ってもんだ。
あんみつをかきこんで、立ち上がる。
「アタシが、その幽霊ってもん、叩っ斬ってやるよ。で、その長屋ってのはどこだい?
「い、今から行くんですか?
「善は急げって言うだろ?それに、明日になりゃあ、アタシはこの話を忘れちまってるよ。

ヘイジロウは慌てて場所を説明した。だが、ついてくる気はないらしい。
(大の男が幽霊ごときに情けねえ……)
内心で呆れながらも、―人で目的の長屋へと向かう。

賭場のあった通りは暗かったが、繁華街まで出ると灯りによって視界が開けた。
まだまだ宵の口ということもあり、通りは賑やかで、人波も途切れない。
そんななか、幽霊退治に行くのかと思うと、暗澹(あんたん)たる気分になってくる。

「ああああああっ!!」
駆けてくる気配に、ハヅキは振り返った。

「ハヅキさんじやないですか!?」
体当たりするように抱きつかれた。
ミオ・ツヅラオリである。以前、チンピラにカラまれていたところをハヅキが助けた。
それ以来、こうして懐かれている。

「こんなところで、どうしたんですか?
「そういうミオこそ、こんなところでなにしてんだ?
「こんなところもなにも、魔学舎って、すぐそこですよ?
ミオが通っている学校のことだ。

「調べ物をしてたら、こんな時間になっちゃって……でも、ハヅキさんがー緒なら夜道も怖くないですね!
あれ? でも、ハヅキさんこそ、この辺りに用事とかなさそうですよね?」

ーーーーーーーーーーーーー


story1-3


「ここが、幽霊長屋ですか……?誰も、いませんね。
間取りは六畳程度だろう。………一人で暮らすには充分な広さだ。
ハヅキは部屋にある押入れを開けたり、あたりを調べはじめる。だが、それらしいものは見当たらない。
「本当に幽霊なんているんでしようか……。
ふとミオがハヅキの肩をつかんだ。
「おい、ミオ、引っ張るなよ……。」
「え?引っ張ってないですよ……?」
「え?」

「…………。」
振り返れば、頭から血を流す男が目の前にいた。
ハヅキは抜き付けに一閃、奔らせる。

「…………。」
手応えはない。

「きゃあああああああああ!!はふぅ……。」
ミオが倒れた。ハヅキは倒れたミオを背にするように、位置を取った。
「肉を斬ろうにも骨を断とうにも、体がなけりゃあ、どうにもなんねーな。
それはそれで、面白いと思った。幽霊と立ち合うなど、そう簡単にできることではない。

「…………。」
幽霊がハヅキの間合いに入る。
一条の光が暗闇にきらめく。横―閃。胴薙ぎの一撃一一

「なっ!」

男はハヅキの斬撃などものともせずに、目の前に立つ。
瞬間、悪寒とともにハヅキの意識は闇に落ちた。


 ***


「はつ!
…………。
幽霊……そう! 幽霊ですよ!」


「ハヅキさんハヅキさん!幽霊、大丈夫だったんですか!?
「…………。
「そ、そんなに見つめられると照れてしまいます……。
申し訳ございません。俺はセイジと申します。
「はい?
このハヅキさんという方に取り憑いてしまいました。
「えっと、今、喋つてるのは、幽霊さん?
はい。以前、この家に住んでいたセイジ・キシベと申します。
「きゃあああああああああ!!はふぅ……。」


「はっ!
はあ、びっくりしました~。まさか、ハヅキさんが幽霊に取り憑かれるなんて……夢でよかったです。
「取り憑いてますが……。
「きゃあああああああああ!!はふぅ……。」
「いや、いい加減にしてくださいよ!何回、気を失えば気がすむんですか!!」


「はっ!
いいですか! 気を失わないで、俺の話を聞いてください!!
「……幽霊、怖い。
「あなたには、なにもしてないでしょう!俺は話を聞いて欲しいだけなんですよ!!
 (あれ? どうして私か、こんな勢いで怒られながら、幽霊と話をしないといけないんだろう?)

「実は、俺は辻斬りに斬られてしまったんです。
(勝手に身の上話をし始めました。幽霊って、皆さん、勝手に恨んで崇って、自己中心的ですよねー)
「俺には駆け落ちの約束をした子がいたんです。ですが、俺が死んでしまい、待ち合わせ場所には行けませんでした。
 (幽霊の倒し方……塩……塩ですかね。あ! カバンの中に塩キャラメルがあります!

「既に死んでしまった身の上、今さら彼女とは―緒になれません。ですが、彼女の事を思うと死んでも死に切れません。
せめてー目だけでも彼女に会いたくて、このハヅキさんの体を借りた次第です。

「塩キャラメル!
「痛っ!いきなり、なにぶつけてるんですか!?
「塩キャラメル!普通のキャラメル!飴玉!! 塩キャラメル!! 悪霊退散!!
「え? 塩……?ぎゃあああああ!これ、塩! ぎゃあああああ!!

「ハヅキさん、大丈夫ですか!?
「ぐつ……助かったぜ……。で、塩きゃらめるってなに?
「しょっぱいキャラメルです。魔学舎には異国からの留学生もいて、その子の実家の名産品だそうです。
さすが塩が効いてるだけあって、塩キャラメルにも除霊の力があるんですね。
「除霊ねえ……。

「まさか、塩キャラメルで祓われかけるとは思いませんでした。異国の文化つて怖いですね。
セイジはふよふよと浮いている。だが、どうやらミオには見えていないらしい。

「でも、よかったですね。もし、幽霊が祓えなかったら、ハヅキさん死んでたかもしれません。
「え?そうなの?
「はい、取り憑かれると、活力を奪われるんです。
一人分の活力で二人分消費する感じですね。放っておくと、割とすぐ死んしゃうって聞きます。

ハヅキはチラリとセイジを見た。セイジは申し訳なさそうに頭を下げている。
ハヅキは抜刀、一閃。セイジを横薙ぎに薙いだ。

「ぬっがー!どうして斬れね一んだよ!
「は、ハヅキさん、どうしたんですか!?!
「なんか、すいません……。

「ハヅキさん、大丈夫ですか?
ハヅキは刀を納め、セイジをにらむ。
「必ずぶった斬ってやっからな!!

「き、斬られてもいいんですけど、その、会いたい子かおりまして……。
ハヅキも取り憑かれながら話は聞いていた。
不欄だとは思う。思うが、それ以上に幽霊が斬れなかったという事実に納得がいかない。

「……その娘に会えば、アタシにおとなしく斬られるってんだな?」
「ど、努力はします……。」
「わかった。その娘んところ、行くぞ。」

 言うやいなや、ハヅキは長屋を飛び出した。

「ハヅキさん!なにがあったんですか、ハヅキさん!!」


story2



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story2-3



story3



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― ―

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