モコ・グリンベリー CV:岩井映美里
１０年の眠りから目覚めた猫の半獣少女。
不思議な時計で大人に変身できる。 |
思い出1
モコだよ。よろしくね。
はじめまして、モコちゃん♪ 私はアイリス。こっちは主人公。
え～っと、こっちか女の子で……こっちは……？
モコが体を密着させ、上目遣いでこちらの顔をうかがっている。
うー……あ、男の子だったんだ。
ごめんね。モコ、目があんまりよくなくて。
ふむ、近眼ってやつね。
ほえ？ 白い毛玉がしゃべってる？
アタシはキャトラ！ おしゃまな子猫よ！
あー、ほんとだ。近くで見ると、ちゃんとおヒゲが生えてる。
注目するとこ、そこ！？
ん？ おにーさん、その汗……もしかしてどこか疲れてる？
だったらモコが、いやしてあげるね♪
モコは主人公に頭を差し出した。
ささ、おもうぞんぶんなでていいよ。
なによ突然。主人公、困ってるじゃない。
やっぱりこの姿じゃおかしいよね……
どういうこと？
モコね、少し前まではキャトラちゃんみたいな子猫だったんだよ。
気がついたら背がのびてて、背中がまっすぐになってた。
……つまり半獣ってことかしらね。
モコね、みんながいやされてるとすっごくうれしいの。だからさっきはおにーさんに……
なるほどね。けど、頭ナデナデはねぇ……
うーん……なら、お肩モミモミはどう？
確かにそれなら癒やされるかもね。というわけで主人公、お願い。
ありがとう、おにーさん。それじゃいくよ。
モコはしゃがんだ主人公の肩につかまり、小さな手を優しく動かし始めた。
モミモミ……モミモミ……
……どう？ いやされる？
んふふ、よろこんでくれてよかった～♪
アタシもついでにやってほしいかも。
うん！ まかせて！
ふふふ、頼んだわよ～。
モミモミ……モミモミ……
…………
んしょっ、んしょっ……だいぶこってるね……すごくかたい……
ちょっと！ アンタがもんでるのは岩よ！
うー……あ、ほんとだ。
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思い出2
モミモミ……モミモミ……
どうしたの？ もしかして、きもちよくない？
ずっと肩もみじゃねぇ。さすがに慣れるわよ。
むー……だったらこの、＜ひみつへいき＞で！
モコは懐中時計を高々と掲げた。
時計の針よ、グルリンパッパでナイスバディー！
なにその恥ずかしい呪文！？
じゃーん。
モコちゃんが大人に……！
すごいでしょ。体はバインバインだけど、とっても動きやすいんだよ。
しかもこの姿だとなんかねえ、男のひとがよろこんでくれるの。
（近い！？ 鼻先と鼻先がぶつかりそうだ。）
どう？ いやされる？
ちょっと待ったー！！！
ほえ？
主人公から離れなさい！ いろいろとよろしくないわ！
だいたいなによ、その姿！ なんか服装も変わってるし……
うーん、よくわかんないけど、この時計をつかうと大人の姿になれるみたいなの。
どうしてそんなことが？
なんかねぇ、この時計には不思議なルーンがうめこまれてるんだって。
時間をチョーセイできるってウワサだよ。
どこでそんなものを？
モコの住んでる島にはおっきな時計台があってね。１０年前にそこでひろったの。
１０年前？ あれ、でもモコちゃんの年齢は……？
うん……たぶん、１０年寝てたからいまは大人なんだとおもう。
は？ 寝てた？ なによそれ……
モコにもわかんないよ。友達を追いかけてたらいきなり眠くなって……
おきたら景色が変わってて……友達もいなくなってて……
その話がほんとだとして、どうしてアンタの姿は子供のままなのよ？
うーん、モコが半獣だからかな？ それとも、『時間のゆがみ』？ ってやつかな？
じかんのゆがみって？
モコの島ではときどき、時間に関して不思議なことがおこるらしいの。
……なんでかはわかんないけど。
アンタ、さっきからわかんないことだらけね。
あーでも、モコの友達ならなにか知ってるかも……
友達の居場所はわかるの？
うん！ じつは、もくげきじょーほーがあったの。
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思い出3
モコ～！ 待ちなさいよ～！
くんくん……かすかに紅茶のニオイがする……
モコちゃ～ん、こっちにティーカップを持った女の子を見かけたってひとが……
やっぱりここにいるんだ……
ティーカップだけで、その子だと決めつけていいのかしら。
うーん、ここにもいないぞー。じゃあこっちかなー。こっちにもいないぞー。
あれはティーカップ……って、まさか！？
まちがいないよ！ お～い、ヤマネ～！
「え？
よかった……心配したんだよ。
「あんた誰？
違うわよモコ！ そっちはおじさん！ ヤマネはあっち！顔を近づけてよく見なさい！
うー……ほ、ほんとだ！ おヒゲが生えてる！
い、今の声はもしかして……
ヤマネ！ こんどこそ見つけたよ！
モ、モコー！？
ヤ～～マ～～ネ～～！
うわー！？
まって！ どうして逃げるの！
まてまて～！
モ、モコちゃん！？ 足元！
ほえ？
モコが落ちていたクワの先端を斜めに踏むと、テコの原理で棒の部分が勢いよく跳ね起きた。
わぁ！？ ててて……顔が……
さらにモコがよろめきながら、背後にあったもう一本のクワの先端を踏むと、棒の部分が跳ね起きた。
わぁ！？ こんどは頭ぁ……
器用に踏んだわね……
どうしよどうしよ！ 逃げなきゃ逃げなきゃ～！
「♪
どうしたのやまね？ あ、壁に穴が！ そっかー、あそこに隠れて……
……でも、ちょっと小さくない？
ヤ～～～マ～～～ネ～～～！
モ、モコがきた！？ え～い、飛びこめー！
ヤマネが地面を滑りながら、壁の穴に顔から突っ込んだ。しかし――
わわっ！？ お尻がつっかえたー！
ヤ～マ～ネ～……が消えた！？
…………
おかしいな～、ヤマネの匂いがするのに……
ほえ？ 壁にカボチャがはさまってる？
（よ、よかった……モコの目じゃ、お尻はハッキリ見え……)
つんつん。
ひゃっ！？ や～～め～～て～～！
ん？ カボチャからヤマネの声が……？
（やばっ……)
「♪
なんだ、ネズミか～。ここにはヤマネはいないみたいだね……あっちを探そう。
ほっ……助かったよ、やまね。
さわがしい連中ね……
え？ そこに誰かいるの？ ここからだして～。
お尻……みんなで引っ張りましょうか。
うー……ヤマネはどこだろう？
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思い出4
まてまて～！
た～す～け～て～！
＜モコとヤマネの追いかけっこは続いていた。＞
ん～、このままじゃいつまでたっても追いつけない……
よーし、こうなったら＜ひみつへいき＞だよ。
時計の針よ、グルリンパッパでナイスバディー！
パインパインでスピードアップだよ～。
ばっびゅーん！
モコ！ 足元！
ほえ？
＜モコが落ちていたクワの先端を斜めに踏むと、テコの原理で棒の部分が勢いよく跳ね起きた。
わぁ！？ ててて……また顔が……
目のほうはあいかわらずなのね……
＊＊＊
どうだどうだー、ここは屋根の上だぞー。さすがのモコもここまでは……
ぴょ～ん。
登ってきたー！？
ヤ～マ～ネ～♪
わわわっ！ 逃げなきゃー！
……って、うわあっ！？ 屋根に穴が！
＜ヤマネは屋根に空いた穴を間一髪飛び越えた。＞
とっととと……あ、そうだ！
ヤマネが止まった？ そっか、やっぱりモコに会いたくて……
こっちだよー。来い来－い。
ヤマネ……ヤマネー！！！
＜モコは足元の穴に気づかず、ヤマネに向かって走る！＞
……あれれ？ 地面がスカスカ？
作戦成功だー。そのまま下にドボーン！
わとととととととっ！
ええー！？ 空中を走ってるー！
……つかれた。
あ、落ちた。
痛たたたた……あれ？ 体がパインパインじゃなくなってる？
どうしてだろう？ こんなに早く時間ぎれ？
くんくん……それにしてもここ、牧草のニオイが……
『…………』
はっ！？
＊＊＊
やったぞやったぞー。これでモコもあきらめて……
はいよー！
馬に乗ってきたー！？
ちょっとヤマネ！ 前っ！
え？ うわあ！？
＜ヤマネは往にぶつかり、地面に滑り落ちた。＞
ヒヒーン！
バイバイお馬ちゃん。ここまでありがとね。
さ……やっと追いついたよヤマネ。
ごめんなさい、ごめんなさい……
もう！ なにもしないよ。なんでヤマネはいっつも逃げるの？
ひっかいたりしない？
なんのこと？ モコはヤマネをなでてただけだよ？
いっつも爪が伸びてるんだよー！
それは子猫だったときのはなしでしょ？
いまはほら、手袋してるしあんぜんだよ。
……ほっ。
それにしてもヤマネってこんなに大きかったっけ？
５年寝てたからね～、２回も。だから今は７歳だけど１７歳ってことなのかなー？
あれ？ でも、モコは小さいままだね？
なんでだろうね？
たぶん、あたしが探してる女の子のせいなのかも。
それって……あ、もしかしてトランプの女の子？
うん、だからね。あたし、その子を見つけて時間のゆがみをもどしたいの。
また５年寝ちゃったりしたら……みんな、さみしーおもいするもん。
え……
てなわけでモコ！ あたし、時間ないから行くね！ 早くあの子を見つけないとー！
あ、まって！ ヤマネー！
……いっちゃった……
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思い出5
どうしよう……動かない……
時計がどうかしたの？
ヤマネと追いかけっこしてるときにね、こわれちゃったみたいなんだ……
……その場合どうなるの？
たぶん、いっしょう子供のままなのかも……
……ヤマネは大人になってた……
これからもヤマネはどんどん大さくなって……モコはこのままで……
そのうちきっと遊んでくれなくなる……そんなのやだよ……
はじめてできた友達なのに……
…………
そういえば、アンタのこと知ってるようでよく知らないわ。
聞かせて。モコちゃんとヤマネちゃんのこと……
……うん。
……モコね、子猫だったときは時計台の中に住んでたの。
パパもママもいなくて……ずっとひとりで暮らしてた。
でも、さみしくはなかったよ。時計台にはたくさんのひとが遊びにきてたから。
ヤマネちゃんとはそこで？
ううん、ヤマネは時計台に入りたくても入れなかったの。子供は立ち入り禁止だったから。
だけどヤマネはあきらめずに、いっつも時計台を見上げてた。
雨の日も、風の日も、ずっとひとりで……
あれ？ けど、どうしてアンタがそれを？ 遠くのものは見えないんじゃ？
うん……だからあのときは、ヤマネのことをサツマイモだとおもってたの。
それですんごくおなかがすいてたから、はじめて時計台をおりて……
それがモコちゃんとヤマネちゃんの出会いのきっかけ……
本人が聞いたら悲しむわね。
ヤマネはそんなこと気にしないよ。いっつも元気で明るくて、モコと一緒に遊んでくれた。
モコがこの姿になっても、変わらずに友達でいてくれた……
追いかけっこにも、毎日つきあってくれたもん。
あれは逃げてただけだと思うけど。
けっきょくヤマネちゃんは時計台に登れたの？
うん、モコがひみつの入り口を教えてあげたから。
すんごくよろこんでくれて、うれしかったな～。
けど、あのときからなんだよね。ヘンな感じになったのは……
それって例の？
なんかねぇ、しばらく眠くならなくなったとおもったら、一気に眠くなって……
そのまま１０年……
うん……１０年もヤマネと遊べなかった……
これからもこんなことが続くのかな……
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思い出6 (友情覚醒)
うー……まぶしい……
＜チッチッチッチッ……＞
この音……モコの時計……？
あれ？ おおきくなった……？
よかったわね、モコ。時計がなおったみたいで。
うん！ バインバイ～ン♪
これでヤマネもず～っと遊んでくれるね♪
でも、また時計が壊れたら？
はっ！？
根本的なところを解決しないとダメなんじゃない？
じゃあ、どうするの？
アタシに聞かないでよ。
なにか解決方法はないのかしら……
……トランプの女の子。
え？
そうだ。ヤマネがいってた……こうなったのもあの子のせいだって……
その子のこと知ってるの？
うん……一度だけ会ったことがある。
そういえば、あの子の顔を見たとたん……いきなり眠くなったような……
それはクサイわね。
……うん。だからきっと、あの子を見つければ……
でも、その子の居場所はわかるの？
ううん。
やっぱし。
……ヤマネならなにか知ってるかも！
けっきょくヤマネを探すのね。
うーんと、まずはヤマネがいきそうな場所に……
待ちなさい！
なに？
私たちも協力させて。
ヤマネヤマネって、アタシたちのことも忘れないでよね。
ほえ？
アタシたちだってアンタの友達なんだから！
……ありがとう、みんな。
猫どうし、なかよくやりましょう。
うん！ よろしくね、キャトラちゃん！
…………
どうしたのキャトラちゃん？ さっきから動かないけど……
そっちは岩よ！
ほえ？
追いかける猫
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 | モコ・グリンベリー cv.岩井映美里１０年の眠りから目覚めた猫の半獣少女。不思議な時計で大人に変身できる。 |
エシリア・イン・ワンダーランド mark
人物紹介
| 画像 | 説明 |
|---|
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