ハッピースイーツカーニバル Story4

 
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 スィー島の街道を進んでゆくと、小さな村が見え
 てきた。これまで見たところとは、文化や風習が
 違うようだ。
 とても落ち着きのある長閑な風景が広がっていた。

ここはスィー鳥の中でも、一番時間の流れがゆっ
くりしている。

 ぼんやりとその風景を眺めていると、プレミオが
 この場所のことを説明してくれた。

まっちゃ村といちご村。派手さはないけど、ずっ
と居たくなるような場所ね。

村人もみんな、穏やかな人たちばかりですよ。

 そんな話をしていると、道の真ん中でふたつの集
 団に分かれ、いがみ合っている人々がいた。

本当に爺さんは毎度毎度渋いことばかり言いなさ
る。わたしゃほとほと呆れたよ。

わしが何度口酸っぱく言っても、直そうとはせん
婆さんの方が悪いんじゃろ!

 遠目から聞こえてくる会話はそんな内容だった。
 どうやら喧嘩をしているようだ。

あんなに平和ないちご忖とまっちゃ村の人たちが
喧嘩してるわ。

ともかく! お茶の葉が緑のうちは、けして爺さ
んのことは許しませんぞ!

こっちだっていちごの粒々を数え終わるまでは、
□もききたくないわい。

 そう言って、顔をぷいっと逸らすと、お互いの村
 に別れて行った。

もしかするとこれもデザートンの影響かもしれな
い。

あんなに仲のよかったいちご村とまっちゃ村が喧
嘩するなんておかしいですね。

 少し事情を探ってみよう、と君は一同に提案し
 た。

まずはまっちゃ村に行ってみるにゃ。


 ***


 まっちゃ村の茶屋の外壁に巨大なハンマーが立て
 かけられていた。
 店の外に並べられた緑台には、抹茶をすすり、
 ほっこりとした表情を浮かべる少女がいた。

……はあ。長閑だなあ。……あなたもそう思いま
せんか?

…………。

私はユッカ・エンデと言います。
エターナル・クロノスという所からやって来ました。
そこでもお茶はあるんですけど、お抹茶というの
は初めて飲みました。
使っているお茶の葉は同じらしいので、時計塔の
みんなにも教えてあげようと思います。
と言っても帰る方法はわからないんですけど
ね。……どうしょうかなあ。

…………。

 彼はスッと自分のお茶受けの菓子を少女の方へ押
 し出した。

い、いいですよ。目分の分ありますから……。

…………。

 少女の言葉に、ゆっくりと首を横に振ると、縁台
 から立ち上がった。

なんか、すみません……。


いい人がいるなあ。

 ユッカはまた一口抹茶をすすり、風に流されゆく
 浮雲を見送った。

ユ、ユッカ……!!

あ、黒猫の魔法使いさん!ど、どうしてこんな
ところに?

 少し長くなるけど……と前置きし、君は事のあら
 ましを説明した。

なるほど、村同士のケンカか……。それは良くな
いですね。

 ケンカの理由がわかればいいんだけど……何か
 知っている? と君はユッカに尋ねた。

うーん、この村に来てからずっとお抹茶飲んでた
からわからないです。

……全然ダメにゃ。

仕方ない。いちご村に行ってみようか。何かわか
るかもしれない。

ところで一緒にいた人は何者にゃ?

え? まっちゃ村のひとじゃないんですか?
体、緑だったし………

 そういう基準で村人かどうかは決まらないと思
 う、と君は言った。

 ***

 ケンカの理由を探るべく、君はいちご村にやって
 きた。

 聞き込みも兼ねて、村の茶屋に入った君はさっそ
 くケンカのわけを訊ねた。
 ところがその話を振ると、さきほどまで人の好さ
 そうな笑顔を見せていた村人も、

まっちゃ村のことは一言たりともしゃべりたくな
いですね。

 の一点張りだった。

理由を言ってくれなきゃ、問題も解決できないわ
ね。


 君はピークの言葉に頷いて、メモに「収穫なし」
 と記しかけ――
 ちょうどベンのインクが切れてしまい、文字が途
 切れた。

こういうのすごくイライラするにゃ。

 どこからか声が聞こえた………

 ラッキープレゼント!

 君の周りを淡い光が包む。
 すると途切れたと思ったペンのインクが再びペン
 先から流れだし、「収積なし」と記すと、
 ちょうどインクが切れた。
 こういうのって結構気持ちいい………
 少し小さな幸せを味わった君の肘をつんつんと誰
 かがつついた。

……どお?
……ハッピー?


 たぶん………と君は答えた。

そうよね~♪ ペンのインクが使い切れたらうれ
しいよね~♪ しかも文字を書ききった後とか
くぅ~ってなるよね~♪

あたしはマール。みんなに幸運を届ける天使だよ。
よろしくね。

 よろしく、と君も返す。たぶんこの子も………

もしかして、君も魔法で呼ばれたのかにゃ?

うーん。よくわからないけど、おかし食べてたら
急に、ここに来たからたぶんそうじゃない?

 ずいぶん楽天的なんだね、と君はマールに言っ
 た。

だってラッキーを届ける天使が不景気な顔してて
も仕方ないでしょ。

それもそうにゃ。

ねえ、魔法使いさん。マールちゃんなら村のケン
カも収拾できるんじゃないかな?

 たしかにさっきみたいにラッキーを起こす力があ
 れば、それも可能かもしれない。でも……。

マールの力はどのくらいのことができるにゃ?

基本、なんでもできるよ。
例えば、背中のかゆみを止めたり、ひとつの卵に
卵黄をふたつにしたりとかできるよ。

あんまり大したことできないにゃ。

え~? それでもすごいんだよ~。

 ***

 いっこうにケンカの原因がわからないまま、君が
 村の中をうろうろしていると、
 再び、まっちゃ村といちご村のいがみ合いの声が
 聞こえた。

だいだいまっちゃ村はウチの村の後追いばかりで
前から気に食わんかったんだ。

まっちゃ村がいついちご村の真似をした?言っ
てみい!

したじゃろうが、ウチが考えたいちごつかみ取り
祭りを真似たじゃろうが。
なにが抹茶つかみ取り祭りじゃ。ただ粉まみれに
なっただけじゃろか。

それを言うなら、そっちこそいちご茶を作ろうと
して盛大に失敗していたのう。
おおかた、その腹いせでウチの水車を壊して回っ
たんだろう。

なにおう? そっちこそ、ウチのいちごを全部残
らず食べおって、姑息にもほどがあるぞ。

やーめてください!

 ユッカは大上段に構えたハンマーを思いっきり振
 り下ろす。
 その衝撃で地面は震え、その場に居合わせて者は
 少しだけ浮き上がった。

ケンカはダメですよ!

ぴ、びっくりしたにゃ……。

いまの水車の話が本当なら……私が解決してあげ
ましょう。

なにか方法でもあるのか?

もちろん! 私は時計塔の整備主任ですよ。水車
ぐらい余裕で修理してあげます。

 というわけで………ケンカの原因のひとつであっ
 た水車の修理にユッカが取り掛かった。


 ***


レンチをください。

はい♪

スパナ。

スパナフレゼント!

フライヤー。

…………。

最後はハンマー。

 君はユッカに巨大ハンマーを手渡した。それを肩
 に担うと、彼女はにやりと笑って言った。

よおし。行きますよー!……水車、スタート――!

 ユッカが水車の動力部に八ンマーの打撃を加える
 と水車は見事に動き始めた。
 同時に、抹茶を曳いていた臼も再び動き始める。
 淀みのないその動きは、水車の完全復活を一同に
 知らせてくれた。

ユッカがちゃんと整備するのは、意外と初めて見
たかもしれないにゃ。

これでケンカする理由がひとつ減りましたね。

ちょっと待ってくれ。まだウチのいちごが、いち
ご畑が残っているぞ。

あ、そうだったにゃ。

さすがに、いちご畑は私じゃどうにもできないよ。

そんな時はあたしにお任せ!

なんだかわからないけど、自信に満ちているにゃ。

でもマールちゃんには何か考えがあるんだよね?

ううん。なーんにも考えはないけど、自信だけは
あるよ!
とりあえずいちご畑に行こう!

 ***

 いちご村の村人に案内されて、やってきたいちご
 畑は無残な有様だった。
 いちごといういちごは食い荒らされ、畑は踏み荒
 らされていた。

ひどいな……。

これもデザートンの仕業なのかな……?

 こんなこと……絶対に続けさせちゃいけない。

もー、不景気な顔はなしだよ! あたしが今から
ラッキーをプレゼントしちゃうから、元気出して!

そうだよ、マールちゃんがでっかいラッキーをプ
レゼントしてくれるよ。

 そうだ、ここはマールに任せてみよう。
 君はみんなを励ますように、言葉をかけた。

うん! まーかせて! じゃあ、行っくよー!
ラッキーフレゼントー!!

 ***


ラッキープレゼント!

 マールがいつもの言葉を唱えた。
 君は一体どんなラッキーがやってくるのか、期待
 に胸を躍らせていた。
 だが………

あ、あれ?……何も起こらない? お、おかし
いなあ……。
もー!今度は本気だよ!ラッキープレゼント!

 だが………

なんともない……。

やっぱり……この状況を変えるには、マールだけ
の力じゃ無理だにゃ。

えー……もしかしてあたしが半人前だから?

 マールは手に持った杖をだらりと下ろし、呟い
 た。

ごめん。みんな……一人前の天使だったら……。

マールちゃん……。

 無理だ。誰もが諦めかけた。そう思っていた
 ら……。


…………。

緑の人……。

 彼はどこからか見つけてきた鍬を携え、踏み荒ら
 されたいちご畑に入っていった。

 いちご畑の真ん中に立つと………
 太陽に届けとばかりに鍬を振り上げ、それを大地
 に振り下ろした。

 彼は黙って何度も何度も鍬を振り下ろした。
 硬い土、粘土の土、岩、草の根、それらをものと
 もせず、砕き、断ち切り、耕した。
 耕し続けた。

そっか……。そうだよね。うん。そうだよ。みん
な、手伝おう!

え? ど、どういうこと?ユッカさん。

私たち、マールちゃんが与えてくれる幸運に頼り
切って、自分たちで何もしようとしなかった。
でも、緑の人は自分で、自分の力で、また畑を取
り戻そうとしている。
何か特別な力に頼るんじゃなくて、自分でやる。
それが正しい方法なんだよ!

そうにゃ……!ユッカの曾う通りにゃ。

あたしも……やる!

 ユッカの言葉が契機となって、仲間たちは畑の中
 に飛び込んでいった。

 君も袖をまくると、仲聞たちの輪に加わった。


えい!

それ!

てい!

よいしょ!

…………。


 ***


さあ、もう少しにゃ! もう少しで新しい畑がで
きるにゃ! 頭張るにゃ!

 日が暮れる頃、荒らされた畝は再び真っ直ぐに地
 平線の奥へと伸びていた。

あたし……こういうことしたの初めてかも……。

 緑の、少し湿った手がマールの肩にかれた。そ
 の手は土の匂いがした。

…………。

えヘヘ……。

 照れ笑いを浮かべ頬をかくマールの手もまた、土
 の匂いがしていた。

さあ、みんな! 疲れた時は甘いお菓子で元気を
補充だよ♪

やった! おかし、おかし!

それならお抹茶でティータイムだね!

あ、魔法使いさん……。

 と言ってマールは君の方を振り向いた。


……どお?
……ハッピー?

 君は優しく微笑みながら、頷いてみせた。


 ***


またいつかここに戻ってきたいにゃ。

うん……。

立派に育ったキュウリを……この目で見てみたい
ね。

…………。

 まっちゃ村といちご村の争いは終わった。ふたつ
 の村はもとの平和な村に戻ることができた。

 ただ、どこかで何かを間違えたような気がした
 が……。

 だいたいあっているはずだ。

 そう胸に刻み、君は力強く歩を進めた。





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