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【白猫】ゼロ・クロニクル Story1

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最終更新者:にゃん

開催日:2017/07/14




目次


Story1 ずっとずっと昔のこと

Story2 光の守護天使

Story3 ソウルのつぼみ

Story4 光の王

Story5 大地の人々

Story6 闇の王

Story7 天の大陸を目指して








story1 ずっとずっと昔のこと



空が――軋む――



<始祖のルーン>は渡さない――


――闇よ――消え去れ――!!!








story2 光の守護者たち



――ルーンよ、我が意に従え。

<*×○■!&%$…………>


<幾条ものルーンの光が、アイリスの身に収束する……!>

――はあっ!

<アイリスの全身から眩い閃光が放出される!

寄せていた<闇>が、潮のように引いていく……>

……はぁ……はぁ…………っ……!?


<――遠ざかっていきながら!

<闇>はおびただしい数の魔物を中空に生み出した!

魔物の群れは空を埋め尽くし、見る間に迫り来る!>


……まだこれほどっ……!

王を守れ!


???

臆するな、光の騎士よ!ルーンの加護は、我らにあり!

ファイオス……!

<闇>の魔物に、白の王国を汚させるな!

<ファイオスの号令一下、白く輝く鎧に身を包んだ騎士たちが、魔物の大群を迎え撃つ!>


???

援護を!

「「はい!」」

巫女が司りしルーンよ……我らにも、幾ばくかの力を貸し与えたまえ――

――光よ!盾となり、邪を弾け!

<額にルーンをはめた魔道士部隊が、後方より魔法支援を展開する!>


助かったぞ、シーマ!この機を逃すな! 追い散らせ!

<剣と盾に光をまとわせ、奮戦する騎士たちが、徐々に魔物を押し返していく――>


……やはり……膨張している……

このままでは…………いずれ、均衡は……



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story3 ソウルのつぼみ



……おかしいなぁ……?ソウルは十分に行き渡ってるはずなんだけど……?

水が足りないんじゃないか?テオ?

あ!おかえり、兄ちゃん!

ただいま。それか、日光か。お前は初歩的なところを見落としがちだからな。

そんなことないよ!今回は!

まだ、つぼみだな。

清浄なソウルがたくさんあれば、花が開くはずなんだけど……

……清浄なソウル、か……

あ!お仕事、どうだったの!?怪我とかしてない!?

兄ちゃんの腕を見くびるなよ。<闇>なんかに遅れはとらないさ。

さっすが~!

兄様、私の援護魔法を忘れていませんか?

姉ちゃんも!おかえり~!

援護魔法……?そうだったか?

まあ!確かに聞きました!『助かったぞ、シーマ』と!

ははは、冗談さ。

<闇>と戦っているのは騎士たちだけではないのですよ?

私たち魔道士も、命を賭しているのですから。

ああ……それに……アイリス様も。

…………

王様、強いよね!今度こそ<闇>をやっつけたんでしょ!?

いいや、とどめには至らなかった。

始祖のルーンの力なら、不可能ではないはずですけど。

全ての力を使い果たすわけにはいかないさ。

シーマ、お前だって、額のティアラからルーンの加護を得てるじゃないか。

そうでしたわね。……ですが、少し、思うところも。

姉ちゃん?

<均衡>には<闇>も不可欠……その躊躇があるのではないかと……

……シーマ、この場だけだぞ。アイリス様は、全霊をもって<闇の王>を討つおつもりだ。

それであれば。光の騎士団長ともなれば、私よりも、アイリス様のお考えをよく知っていますものね。

俺はわかっているからいいか……あまりそういう言い方をするなよ?

心得ております。私とて、一隊を預かる宮廷魔道士ですもの。

うん!兄ちゃんも姉ちゃんも、僕の自慢さ!

まあ、テオったら。

僕もおっきくなったら騎士団長になって、王様のために戦うんだ!

言ったな。じゃあ俺はどうする?

副団長ににんめーしてしんぜよー!

ははー、団長様の命とあらば。

うむ!

ふふふふ……♪



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story4 光の王



 ――様!


アイリス様!いかがなされました?

……え……?


やはりお力の使い過ぎで……

……いいえ。心配は無用です。

<<光の王>――アイリスは、居並ぶ臣下たちの前で、毅然として立ち上がる。>


――これで幾度目でしょう。<闇>の侵攻は。

今回も、辛くも退けましたが、次も上手くいくとは限りません。

<闇>は。やはり……?

<闇の王>……あの本能の化身は、ますます密度を濃くしています。

私の力も、いつまで通用するか……

…………

アイリス様。

あなたはエルフ族の長、アランティアですね。

この場を借りて申し上げます。我ら妖精族と精霊族は、一つの結論に至りました。

それは?

力の強い妖精と精霊を選りすぐり、一人一人が糸となり、絹と織り――

――宝冠と化するのです。

なんと……!

さすればソウルはその相互作用を、さらに高めることでございましょう。

選ばれし者に、宝冠をお授けください。

その者、潜在能力全てを解放し、<闇>を裂く切っ先となりましょう。

ですが、それでは……

ご心配には及びません。豊穣なる地の純粋なソウルより、我らは生まれます。

<闇の王>を仕留めることか、第一に優先すべきこと。

…………

これは、名案です……!よくぞ言ってくださいましたな!

我らも同じくこの国の民。王国の平和を願えばこそ。

全ての生命が命を振り絞らねば、討てぬ相手でありましょう。

…………

準備を進めておくよう、お願いいたします。よいですな、アイリス様。

……ええ。

はっ……

そう……命を惜しんでいては、勝つことは叶いません。

皆には心苦しいですが、より一層の軍備と調練を。

はっ。

……ですが……

その先の、平和な世界を、皆には生きてもらいたい……

先陣は――私が――!

アイリス様……



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story5 大地の人々


さあさあ見てって!こんなご時世だが、暗い顔してちゃ始まらない!

小麦に果物、酒もあるよ!どこよりも安くて上質だ!さあさあ見てって見てって!

しっ。

ん?


<兵士たちを引き連れた美女が、不機嫌な表情で通りの中央を進んで行く……>


いまのは……?

黒の姫、グローサ様だ。

ああ、灰緑の魔障の!噂に違わぬ美しさだねぇ!

おい、不敬だぞ。王の後継者を輩出する、公爵家のご令嬢だ。

人と魔性、どちらからも高貴な血を受け継いでいらっしゃる。

ずいぶん不満顔だったが、何かあったのかねえ?

オヤジ……あんた、怖いもの知らずだな……

これくらいじゃなきゃ、いまの時代、仕入れもなにも出来やしないさ。

遠征するという噂だ。

へぇ。白の王国との決戦を目前にして?

おい、その話、誰に聞いた?

みんな言ってるさ。しかし不思議なもんだな。グローサ様は雷の使い手だって話なのに。

戦力を分散してる場合じゃないと思うけどねえ。

そんなこと俺にはわからん。

後継者の件で揉めたのかねぇ?

そこまでだ。これ以上は、聞かなかったフリも苦しい。

オヤジ、りんごを一個だ。

へい、まいど!



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story6 闇の王


…………


<黒の王国、王宮――

緊張した面持ちで、魔物たちが整列している……>


……暗黒騎士ヴァルアス殿。陛下はいつお戻りになるのか。

聞いてどうする?

申し上げたい儀がある。

なんだ?

此度の出兵でも、犠牲となったのは我が眷属(けんぞく)ばかり。

言わせてもらう。これ以上、無益な戦を続けるべきではない。

黒の民は、侵略するだけの蛮族ではないのだ!

…………

聞いているのかヴァルア――!?

っ!?


<<闇>は見る間に濃くなり、そして――

視界が通る程度に薄くなった時には、先程の魔物の姿は無くなっていた。>


……!

…………

……陛下自ら手を下すほどでは。命じて下されば、私が――

!?

そっ、そんな……!?

う、うわあああああ……!

……っ……!


<闇>は広間を埋め尽くし――――晴れた。

見通しが良くなった。言葉の意味通りに。>


……陛下……

何故、天など在るか。

全ての空間は無の<闇>へ帰する。

光の差す隙間など、途上の幻想に過ぎぬ。

黒く塗り潰せ。地も、天も、何もかも……

……陛下の望むままに。

ですが、兵力を失するのは、得策ではないかと……

<闇>に蕃順するは、無の者の使命。

……仰せの通りにございます。

白は天に……黒は地に……

居並ぶ意味などどこにもない。

我は安らぎとなるだろう。あらゆる場所が、黒く塗りつぶされたその時に。

そのためには、空に住まう半端な存在を、叩き落とさねばならぬ。

はっ。

……だが、その前に……

世界の<我儘>……バール……

そうだ。

我が後継者……役に立ててやれ。

次の代など、もはや意味を成さぬ。

…………



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story7 天の大陸を目指して



――時は少し遡り――

――争いの激化する前――


まったく……この任務の肩身の狭さ、ご理解頂きたいもんだがね。

特使……なんて言ったところで。戦争中の敵国なんだぜ。

馬鹿げた話さ……

ワリを食うのはいつだって末端だ。白の方も、その点、おんなじなんだろーな。


見ろよ……優雅にプカプカ浮いてやがるが……

なんのことはねぇ。住民たちは、結局二本の脚であそこを歩いてるんだぜ。

どこに争う理由があるってんだ?先に馬鹿だって気づいた方が、やめちまえばいいんだろうが……


……やれやれ、だが、仕事だ。文句垂れてちゃ生きちゃいけねぇ。王の意向は絶対でござい、と……


さあ、もうすぐだ。罵声を浴びに行こうや。


<…………>




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