ジミー・バックストーリー

 
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ジミー・デヴィス
2015/01/14「覇眼戦線」


焚き火を囲み、ガンドウとアマカドの話を聴き終わった頃には、既に真夜中になっていた。
他の兵士と話しているゲルデハイラに軽く頭を下げ、俺は自分の寝床に向かい、毛布に潜り込んだ。

あの魔法使いは、元気にしているだろうか。最近考えるのは、そのことばかりだ。
ギルベインとの戦いの最中、自分を捨てろ、と言ったあいつのことを。

俺の家は、元を正せばカンナブルにあった小さな演奏家一族だった。
カンナブルではイレ家といえばそもそも領主様で、知らない人は居ないくらいの家柄だったし、俺にとってリヴェータは文字通りの高嶺の花だった。
俺の家は楽器の演奏家―族だったこともあって、イレ家でパーティーがある時なんかはよく呼ばれていたりもした。
だからリヴェータのことは良く知っていたけど、話す内容は挨拶の延長のようなもので、詳しい内容はもう覚えていない。
それにリヴェーダは領主の娘ということもあって、いつも綺麗な服を着ていた。親父に連れられて初めてイレ家のお屋敷に行った時、思わず目を奪われたのを覚えている。
イレ家専属の侍衛を務めていた、ロア家のルドヴィカとも、あの頃はよく話をした。
俺たち二人は、綺麗な舞台の中心に居るリヴェータに、いつも憧れていたんだ。
あの時のルドヴィカの優しい目を、俺は忘れることが出来ない。

……誰も聞いちゃいないだろうから、誰にも話したことのない、俺の本心を言おう。

ルドヴィカの裏切りを、俺は絶対に許すことは出来ない。
だけど、絶対に手の届かない、話すこともままならない高嶺の花を、
俺の手が届く場所まで動かしてくれたのは、他でもないルドヴィカなんだ。

あの日、あの裏切りがなければ、俺はきっと今でも、手の届かないリヴェータを眺めながら、弦を弾いていただろうと思う。
けれど、あの裏切りがなければ、リヴェーダはきっと今でも笑っていられたはずなんだ。俺の手が絶対に届かない、暖かく綺麗な場所で。

俺は……俺は今、リヴェーダと肩を並べられるのが、少しだけ……嬉しいと思ってる。
本当はこんなこと、絶対に思っちゃいけないはずなんだ。
あいつの幸せを願うなら、こんな血なまぐさい戦いから今すぐにでも連れ去ってやるべきなんだ。
……でも、きっとそんなことをしたら、リヴェーダは一生俺を許してくれない。
そして、いつも俺はこんな風にグズグズ考え続ける自分をぶん殴ってやりたくなるんだ。

俺は最近、この戦いが終わった後のことをよく考える。
血なまぐさい戦いに終わりが告げられ、リヴェータが本当の自分の道を歩き始めた時……俺は、リヴェータに笑顔で手を振れるんだろうか。

ギルベインと戦っている時、魔法使いは迷わずに言った。
自分を捨てろ、と。
あの言葉を、俺はあの魔法使いみたいに、言えるだろうか。

……強く、なりたい。せめて、たったー人で歩ける程度には。
俺はそう思いながら、眠りの淵に落ちていった。



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