アルティメットサマーガールズ Story

 
最終更新日時:
白猫ストーリー
黒猫ストーリー

2017/00/00

目次

Story1 初級魔道士たちの戦い
Story2 中級恐怖の逃亡劇
Story3 上級大魔道士との戦い
Story4 封魔級エリスの問いかけ
最終話 絶級〈魔杖〉、降臨





story0 プロローグ


ギルドからの依頼を完遂した君は帰路についていた。

「……今日の仕事は大変だったにゃ。」
君は、そうだね、と一言だけ口にして歩を進める。

「……何か落ちてるにゃ。」
白い封筒が君の足元に落ちていた。

どこかに届けたほうがいいだろうか、と考え、君はそれを拾い上げる。
裏を見ても表を見ても、差出人の名前はない。

「誰のものか全くわからないにゃ。
どうするにゃ? そこに置いておいても怒られはしないと思うにゃ。」

これを落として誰かが困っているかもしれない。
君は悩むことなく、それをまずギルドに持って行くことにした。

――と、口が開いていたのか封筒から一枚の紙切れが落ちてくる。
「なにしてるにゃ。キミ、結構間が抜けてるにゃ。」

紙を拾い上げたとき、偶然、そこに書かれている文字が目に入ってしまった。

『ようこそ大魔道士様。あなたは大会の参加資格を得ました』



story1


「―にゃ!?」
手紙に書かれていた文字を読み上げた瞬間、君とウィズは見知らぬ地に立っていた。
活気に満ちた人々の声、賑わう街並み……どこか風情のある空気感。
「……ここはどこにゃ?」
君は首を傾げる。ここがどこかなんてわかるわけがない。
 「ようこそ大魔道士様。あなたは大会の参加資格を得ました」
これだけしか書かれていない手紙。
あまりにも突然のことに、困惑を隠しきれずにいた。

「キミ。これからどうするにゃ?」
味わいのある街を見ながら、君はどうしよう、と呟いた。


『おお、魔道士様じゃねえか!こいつ食って頑ってくんな!』
歩き始めた途端、見知らぬ人に呼び止められ、挙句、果物を投げ渡された。
そしでそういうことをする人は、一人ではなく……。

いつの間にか君は、手では抱えきれないほどの食料や衣類を受け取っていた
「……ど、どういうことにゃ。」
君はもちろん、わからない、と言う。
「キミ、有名人なのかにゃ?」
そもそも頑張って、と皆が皆言っていたけれど、どういうことだろうか。

―ふと、前方を見ると小さな人影が近づいてくるのが見える。

「失礼。」
慌ててその人影を避ける。

「キミ、せっかくだからあの子に聞いてみるにゃ。」
そうだ。わけがわからないまま歩いていても、手荷物が増えるばかり
ここがどこかも理解していないのに、このままじゃまずい……。
君は、ウィズが言うように思い切って通り過ぎて行く女性に声をかけた。

「……何かしら。」
訝しげに砂めるような眼差しを向けられるが、君は臆することなく問いかける。
この場所は? 街のお祭り騒ぎはいったい……?
まだまだ訊きたいことはあったけど、まずは自分の置かれた立場を理解したかった。

「……あなた、どこから来たの?」
彼女の警戒は解けていない。
……どころか、素っ頓狂な質問をしてしまったようで、その視線はより冷ややかになっている。

君は自分の名前を名乗り、ウィズの紹介もした。
誤魔化すように、この土地に来たのは初めてで、と付け加える。
「だとしたら、あなたの出身は相当な田舎ね。」
ミステリアスな空気を醸す少女は、おもねる様子もなくさらりと言い放った。


「私はエリス。エリス=マギア・シヤルム。」

「……ちょっと怖い子に話しかけちゃったにゃ。」
君の肩に乗ったウィズが、囁きかけてくる。

「……喋る猫、ね。まあ、いいわ。ついてきて。」
君にしか聞こえないほど小さな声だったのに、彼女は驚く様子もなく猫が喋ることを受け入れた。
ただそのおかげか、エリスと名乗る少女の警戒心が幾分和らいだように思えた。


「見て。」
君は言われるがまま、エリスが指さした方角に目を向け――
「にゃ!?」
ウィズと同じく驚愕の声を上げた。

「もう始まってるのよ。」



「くッ……やるね、ソフィちゃん!」
「ええい!ウィッチドライブ!」
箒に乗った少女と屋根を駆ける少女が、互いに極大の魔法をぶつけあっている。

それは爆炎であったり、滝のような水であったりと様々だが……
信じられないほどの歓声が上かっている。


何か始まつてるの?と君は尋ねた。
ーーーーーーーーーーーーー

 ***


見知らぬ土地、見知らぬ生活、見知らぬ娯楽。
そして、グリモワールグランプリ……。
世界各地の大魔道士が集い、その年の1番を決める大会。

魔法一一この地では魔道とも呼ぶそれは、世界中の人間が使えるが、
魔道士と呼ばれる人間は、その中でも卓越した力を有している者を指す。
いわば職業のようなものだ。
人々の生活に役立つ魔法、魔道の開発だとか、魔物討伐をしたりだとか……。

「クエス=アリアスに近いにゃ。」
「魔道士の戦いは、世界中の人々の娯楽。
「特にこうして街中で行われる魔道士たちの勝負事は、みんなの関心ことなのよ。」
聞くところによると、世界中の人は一切の例外なく、魔法を使って生活をしているらしい。
火をおこすのも水を汲むのも、料理をするのだって魔法の力を使う。
「当然、あなたの国でも、そうしているでしょう?」
君は頷く。……もちろん、そんな収実はない。

「エリスの国もそうなのかにゃ?」
ウィズはすでに開き直っているのか、普通に喋ってしまっている。
「……そうね。そうなるかしら。
エリスが言葉を濁したことに気づいたが、君は触れずにいた。

「……つていうか、建物が壊されてるのに、みんな気にしないのかにゃ?
「魔道障壁があるし、仮に傷つけられても、修繕費は国、ないしは大会運営が出してくれるわ。

なんでも、かつて世界を恐怖に包み込んだ凶悪な魔道士を封印したことから、
強い魔道士、力のある魔道士を、世界中が求めるようになったらしい。

話によると、その悪い魔道士は、この近くに封印されており、
魔道障壁等で、その永き眠りから目覚めないようになっているのだとか。

「……まあ、“あの災害”は、修繕費保証がきかないけれど。」
ぼそり、とエリスが呟いた言葉を、君は聞き取ることができなかった。

「それに大魔道士によってつけられた傷なら、見世物としてお金がとれるし、何より箔がつく。
ほら見て。アレは3年前、かの大魔道士、レナ・イラプションが吹き飛ばした屋根。
アレだけでお店は大繁盛。ご主人は時の人になったのよ。羨ましい限りだわ。
その招待状を持つているということは、参加者なんでしょう?
これぐらいのこと知っていて当然だと思うけれど………よほどの僻地から出てきたのね。」
そう言うわりに、懇切丁騨に教えてくれる。

「……キミ、参加者にされてたけど、いいのかにゃ?
無論、よくはない。だが、どうやって辞退すればいいのか、君にはわからなかった。

「グリモワールグランブリなんて、ワクワクするにゃ。エリスも出るのかにゃ?」
「私は――」

と、エリスが何か口にしようとしたところで、地鳴りが起きた。
君は咄嵯のことに対処できず、バランスを崩し尻餅をついてしまう。
「……出たわね。」
大地がひび割れ、慌てふためく人々がこちらに向かってくる。
「な、何か出たにゃ!?」

「怪獣――アリエッタ・トワ。」


story2



小さな少女と、黒い塊が落下してきた――ところまでは覚えている。

「大丈夫?というか生きてる?」
少女が、君を覗き込んでいた。

「わたしは、アリエッタ。あなたは?」
君は、名前を告げて立ち上がる。
ウィズは、いつの間にゃらアリエッタに抱きかかえられていた。

「ごめんね!右と左を間違えちゃって!」
いったい何に対してごめんなのか、君には理解できない。
「あなたの前にあるその大穴ね、それ彼女がやったの。」
君は恐る恐る視線を下に向ける。
巨大な……底の見えない黒い穴が広がっていた。

「失敗失敗!あはははっ!」
何がおかしいのか、アリエッタと名乗る少女は爆笑していた。
「キミ、早く私を助けるにゃ!」
ウィズは撫で回され続けていて、なんだかすごく大変そうだ。     

「……あなたも出場者?わたしと同じだね!」
君はエリスに目を向けた。
「……アリエッタ・トワ。稀代の大魔道士にして、優勝候補の最右翼ね。
「優勝はいただくからね!」
などと自信満々に言っているが……
「どうかしら。大魔道士レナも出場しているし、ロロット家からも……皆、一筋縄ではいかないわ。」
こんな破壊力のある大魔道士でも、勝ち抜きが難しい戦いが繰り広げられている……。
そのレベルの高さに、君は驚きを隠せない。
「このグリモワールグランフリは、バトルロイヤル形式――複数人がひとりを狙ってもいいのよ。」
自分以外は全員が敵という状況。
他人が誰かと共謀することだって……。

「わたし、無敵だからへーきへーき!わっはっは!」
などと言っているアリエッタ。

「絶対に勝って、賞品をもらう!
だからごめんね、黒猫のひと!一気に吹き飛ばしちゃう!」

「キミ、戦うのかにゃ?」
そういえば大会はもう始まっている、とエリスが言っていた。
「ええ、もう始まっているわよ。」
君は咄咄にアリエッタに視線を移した。

「ふははは!くらえ、我が魔道の真髄をー―!!
「豹変!」

アリエッタが両腕を大きく広げた瞬間、ウィズが飛び出し、君のもとへ駆け寄る。

「キミ、やらないのなら逃げるにゃ!」
「あっー―。」
「待てー!!」

「お、追いかけてくるにゃ!
あんな危ない魔法を人に向けるなんて、とんでもないにゃ!

君は大魔道士が持つ、力の片鱗を見た。
まるで隅石のような岩が降り注ぎ、魔道障壁を突破して美しい街並みを破壊していく。
「こらー!待て一!」

君は必死に走った! 今、あんなものが直撃したら、ただでは済まない!
魔力を込めて対抗する!? そんな隙を、彼女が見せるとも思えない!
そして観客は、もちろん助けてくれない。
むしろこの戦いをー―いや、アリエッタ・トワという少女の戦いを楽しんでいる。
「追いつかれるにゃ!」

「捕まって!」
突然現れた幕に乗った少女。それは先ほど戦っていた子だ。

君は言葉を発することなく、無我夢中で少女の手を掴むー-!
アリエッタの手から逃れるために!

 ***


「まああああてえええええ!!」
「執念深すぎるにゃ!」
箒で飛んでいるのに、それにもめげずアリエッタが追いかけてくる。

「あつ、ソフィは、ソフィ・ハーネットつていうの。あなたは?」
「どんなタイミングで自己紹介してるにゃ!前! 前を見るにゃ!」
建物の壁が、眼前に迫っていた。
「――ってうわわ!」
ソフィが急停止した瞬間――
「くうらあええええ一っ!」
アリエッタが大きく振りかぷり、強大な魔法を叩きつけてきた。
巨大な隅石がひとつ、ふたつ……いや、数えても仕方ない。
よもや見知らぬ異界で、こんなことになるなんて、という後悔を抱き……

「グレエエートザッハアアアーッ!!」
声――

『ぬわあああああ投げるなと言つているだろうにいいいいいー―!!』
そして声。

君は慌てて前を見た。
帽子を被った少女が、アリエッタの隅石に向かって杖を放り投げ、見事に相殺し、

「とうっ!」
そしてもうひとり。頭上から降りてきた少女は、飛石を力強く蹴り返していた。
轟音と煙が立ち込め、瞬く間に視界が覆われる。

「ソフィちゃん!大丈夫!?
「リ、リルムちゃん……うん、ソフィは大丈夫。レナさんもありがとう。
「魔道障壁を……ていうか、なにあの魔法。超やばい。
「相変わらず、破壊力だけは超―流ね。こんなにして。

君は、呆然と助けてくれたふたりを見つめる。
「……あなた、大丈夫?
君の隣には、エリスの姿があった。
「参加する気があるのはいいけれど、アレとまともにゃりあっちやダメよ。
いきなり追いかけられただけで、やりあうつもりはなかったんだけど、と君は□にする。
「全く……私を振り回さないでほしいわ。
エリスは、手に持った鍵の形をした杖を、ぶんっと振り下ろす。

「いてて……なんか飛んできたあ……。」
額をおさえながら、アリエッタがよろよろと近づいてくる。
自身の放った魔法を受け止めてなお、傷を負っていない。
「……とんでもないにゃ。」

魔法を魔法で相殺したり、街中で魔法を直接、思い切りぶつけあったり……
いつのまにゃら集まっていた人々の熱狂も、何もかも……
本当に、とんでもない……君はそう思った。



story


「私はレナ・イラプション。よろしくね、黒猫の魔道士さん。」
「私、リルム・口ロット! 魔道百人組手の人数を消化するために参加したんだ。」
助けてくれた女の子に、君はありがとう、と伝える。

「アリエッタ。
「……エリス、なぁに?
あいたぁっ!
エリスが杖でアリエッタを小突いた。
「逃げる人を追い回しちやダメつて、言つたでしょう。

「アリエッタ。相変わらず無茶してるね。
「レナだー!

エリスは、ソフィとリルムのほうを向き、短く挨拶をする。
「エリス=マギア・シヤルムよ。よろしくね。

「リルムちゃんエリス=マギア・シャルムだよ!」
「え?知らない……。」
「シヤルム家は、封印のー族の名門だよ。……。最近ちょっと廃れてるけど。
魔道の中でも封印は特殊だから、今でも名前ぐらいは知られてるよ。

ソフィが言うには、限定的ではあるものの、「封印」を使うことによって、
魔道士の行動を制限させることができるらしい。
悪い魔道士や魔物などを封印することが可能だからか、畏怖の対象になっているのだとか。

――もしかすると、この近くに封印されているという、凶悪な魔道士も、
エリスのような封印を生業とするものが閉じ込めたのかもしれない。

「ふうん……私には関係ないかな!」
『馬鹿を言うな、小娘。我が関係あるではないか。いつ狙われることになるか、面倒極まりない。』
「杖が喋ってるにゃ……意味がわからないにゃ。」
『ふん、黒猫の。貴様も猫の身分で喋っているだろう。』
隅石を防いでくれたとき聞こえてきた声は、この杖だったのか、と君は思う。

「ロアちゃん。ええっと、工ターナル・ロアつていうリルムちゃんの杖なの。」
とソフィが耳打ちしてくれた。

「でもエリス、貧乏だもんね。」
「余計なことは言わなくていいの!」
「大変なんだね、あなたも。」
「た、大変じやないわよ!」
エリスが声を荒らげ、ぷんぷんと杖を振り回す。

「おじいちゃんの代のときに、魔杖の封印に失敗したんだって!
『えっ。』
「人の体を乗つ取るひどーい杖で、エリスのおじいちゃん乗り移られて……
それで家は全壊。当時住んでいた国を追い出されて、今は細々と暮らしていましたとさ。わはは!」
「なに人の不幸を笑ってるのよ!」
「大変だったね。」
「待ちなさいよ。慰めないでよ。心が痛くなるでしょ。」
「でも安心して、エリス。その杖見つけたら、わたしが叩き割ってあげるから!縦に。」
『縦に!?』
「さっきからどうしたの?」
『う、うむ。我、ちょっと用事を思い出した。次の街に行きたい。』

「そんな杖があるなんて……許せない!
ソフィちゃん、私たちもそれを見つけたら、エリスさんに教えてあげよう!」
「うん!そうだね。」

「魔杖かー……魔杖ね一……。」
『いや、我、知らない。我、喋るだけの男だから。』
レナの視線を受け流し、エターナル・ロアは言う。

「私のことはいいわ。あなたたち、戦うんでしょう?」
エリスが顔を上げ、君たちに問う。

考えてみれば、君とエリスを含め、魔道士が6人。
……バトルロイヤル形式のこの大会で、戦わない理由はない。


「よし、やっちゃおうかな!」
先陣を切り、声を上げたのはレナだった。
「優勝とかどうでもいいけど、年に1度、自分の力を試せる大事な場所だし。」
「すごい魔力にゃ。」
レナが放つ極大の魔力にあてられ、君は一歩後ずさる。

「リルムちゃんは?どうする?」
「もっちろん、やる! 魔道百人組手終わらせないと、また仕送り止められるし……。」
「決まりね。」

「決まっちゃったにゃ。キミ、どうするにゃ?」
「やらないのなら、棄権するのがいいわ。無理して怪我でもしたら大変でしょう?
君は少しだけ考えたあとで、戦う、と口にした。
無理をするわけではない。
勢いと力強さと、華々しい魔法の撃ち合いに、君自身も自分の力を試したくなっていた。

「うん! そういうことならほら、黒猫のひとは、わたしと一緒に来て!」
ーーーーーーーーーー

 ***


アリエッタにまるで連れ去られるようなカタチになった君は、
確かに魔進士のような人に激突したような気がしていた。
「いま何か吹き飛ばしたような気がするにゃ!」
アリエッタは、“ヘーきへーき!”と言っていたけれど……。

「くッ、すばしっこいなぁ、もう……!」
先ほど、君の手を掴んだアリエッタは、立てかけられていた棒にまたがり、空を飛んだ。
ソフィほどの“上手さ”はなく、それどころか勢いに任せた動きのせいか、乗り心地は悪い。

「よーし、飛ばすよっ!」
「キミ!レナが構えてるにゃ!」
「わたし、飛ぶのに慣れてないから攻撃できない!」
「めちゃくちゃにゃ!じゃあ、どうしてこんなのに乗ったのかにゃ!」
「黒猫のひと、お願い!」
いきなりそんなことを任されても……と言おうとしたところで、
何かが頬を掠めた。
「ぎゃー!めっちゃなんか!めっちゃなんか飛んできた!」

それは刃物のように鋭い“風”だった。
「アリエッタ! あなたには、ここで脱落してもらうからね! フルスロットルよ!」
一切の手加減をすることなく、魔法をぶつけてくる。
君は力―ドに魔力を込めて、対抗することにした。
「うわあっ!」
動いているせいで狙いをつけにくいが、君は運良くレナの足をもつれさせることができた。
「おお、さすが黒猫のひと!」
さすがもなにも、ここで魔法を使ったのは初めてのことだ。

「……どうしてアリエッタから狙うにゃ!リムムとソフィも隙だらけだったにゃ!」
「戦う上でいちぱん面倒なのから倒すのは、定石でしょ!」
バランスを整えたレナが、再び君たちに焦点を合わせる。
「本気出すから!――フルバーストッ!」
「黒猫のひと! 迎撃!」
君は思わず、はい! と口にして、レナの魔法に対峙する。
「キミ、意外とその場の空気に流されるタイプにゃ……。」

「きた!黒猫のひととアリエッタ!
うぉぉぉぉぉ!リルム式ロロット砲!」

「挟み撃ちにゃ……!」
君が背後に意識を向けたとき、狙いすましたかのようにリルムが前方から姿を見せた。

「くぅぅ……!出てこい、本!」

ーーーーーーーーーーー


story


「いっけー!リルム式ロロット砲!」
「挟み撃ちにゃ……!」
前方から姿を現したリルムは、直進する君たちに向けて、魔法を放った。
「出てこい、本!」
アリエッタが取り出したのは、壁と見紛うほどの分厚い本だった。
「護りの型――」
どんな魔法なのか……
アリエッタは本を自分の前に立ててー―
「盾!」
リルムの魔法を防いでしまった。
「にゃ!?」
盾……いや、盾!? 魔道障壁や、魔法による打ち消しではなく、本の盾……!?
「こうなったら……とりあえず杖を投げるッ!
グレエエートーー!!ザッーー。…………。
うわあ!杖がない!」

「あの子はいったい何をやってるにゃ……。」
 どこかでエターナル・ロアを紛失したらしい。
「このまま逃げる!」


リルムは追ってこなかった。
今ごろ、大事な杖を探しているのかもしれない。

「撒いた撒いた。」
「アリエッタはもう空を飛ぶのは禁止にゃ。」
すっかり目を回してしまったらしいウィズが、そんなことを呟いた。
君もまた、地に足をつけた瞬間、安堵の表情を浮かべてしまっていた。
「優勝するためだから我慢我慢。」
初めて会ったときも言っていたけど、どうして優勝したいの? と君は問いかける。
「優勝したら賞金が出るよ。」
「答えになってないにゃ。」
「賞金をエリスにあげて、貧乏解消してもらわないと。
鍵の杖とか、毎日磨いてるし!あはは!」
「真面目に考えてることは考えてるみたいにゃ。」
優勝者には、賞金と魔術書が賞品として与えられるらしい。
どれほど役立つものなのか、この異界のことを君はまだ理解できていない。
「あと、モノを壊しすぎたって、えらい人に怒られてるから頑張っておきたい。」
――あんな魔法を撃っていたら、えらい人とやらも怒るだろう、と君は思う。
「だから黒猫のひとも倒さなきゃね。」
あっけらかん、と言い放つアリエッタ。
それは困るよ、と君は言う。
このタイミングで魔法を撃ち合ったら、また街が大変なことになる。

「あっ!」
曲がり角から、ソフィが顔を覗かせていた。
見つかってしまった、と思い君は身構える。

「こんなところにいたのね、アリエッタ。」
「あれ、エリスも?」
「何か凶々しい気配を感じたから来ただけ。私はそもそも参加者じゃないし。」
「エリスが違うなんて、いま知ったにゃ。」
「私は参加者が無茶をしたら、縛りつけるのよ。」
「縛りつける? どんなのか見てみたいにゃ。」
「ええ、いいわよ。こんな風に――」

「あばばばば……!」
奇妙な声を上げて、アリエッタが倒れた。

「私、こういうのは得意だから。」
「ま、待って……。」
アリエッタが、よろよろと立ち上がる。
「友だち……わたし、エリス、友だち。」
手に持ったあの“箱”から何か出てきたようにも見えたが……。
「そうそう、忘れるところだったわ。
それを訊く前に、エリスが切り出した。
「あなたたちに、ひとつ聞きたいことがあるの。」

 ***

 我だ。我を拾うのだー― 

そんな声がどこからか聞こえてきた気がして、君はあたりを見回した。
しかし、そんな声を発するものはどこにもない。

……エリスが話を始める寸前に、強そうな武器を持った魔道士が襲ってきたが、
一気に撃退してしまった。
キミは、ちょっと申し訳ないことをしたと思ったけれど、これはれっきとした大会だ。

「大会中、膨大な魔力が街に溜まってきていて……。
本来なら、魔道障壁がその魔力を取り込み、より強固になるの……。」
エリスが事情を説明している。

「……壊した子がいるにゃ。」
「ひゅーひゅー……。」
明らかに吹きなれていない口笛を鳴らしながら、アリエッタが目を背ける。

「それでエリスさんが、アリエッタちゃんを探してて。」
「壊したから失格にするってことかにゃ?」
「魔道障壁の仕組みを考えたのがこの子だからよ。」

君は、えっ!? と声を上げる。
失礼なことかもしれないが、レナの言うとおり、
超一流の破壊力だけを持っているのだと思っていたからだ。

「この子、生活に役立つ魔法の発明、改善もやっているのよ。信じられないかもしれないけど。」

魔道障壁は、街を守るためー―そして、古の悪い魔道士を封印するため、機能している。
しかし、それを作り上げたアリエッタが、見事に破壊して回っているという……。

エリスが言うところによると、それが続いてしまうと、封印した魔道士が出てきて、
とてつもなくまずいことになるらしい。
「アリエッタ・トワ。稀代の大魔道士。……。あまり信じられてないみたいだけど。」
「魔道障壁の修復……というより、自分で壊したんだからそれくらいやってもらわないと。」
エリスがため息混じりに口にする。
「ええっ! わたし、グリモワールグランプリで優勝しなきゃいけないのに!」
「わがまま言わない。」
アリエッタの腕を掴み、エリスが歩き出す。
「ごめんなさい。あなたの邪魔をして。大会、頑張ってね。」
エリスが君にそう言葉を投げかけたときだった。

「いたいた!おーい!」
レナとリルムが駆け足で近寄ってくるのが見えた。

「私の杖―!杖しらなーい!?」
「そういえばさっき、杖がないとか言ってたような気がするにゃ。」
「ままままずい。超まずい……今度仕送りを止められたら、私はもう……!」
「リルムちゃん、お父さんを怒らせて、仕送りを止められたことがあって……。」
と、ソフィが教えてくれる。

「贅沢しなければ、生きていけるものよ。」
「わはは……ぎゃあ!」
アリエッタが“箱”の餌食になった。

「その杖、どんなものだったかしら。落とし物の類は、大会本部にあるかもしれないわ。」
「うん、あの……杖の形状……ええっと……でかい!」
「リルムちゃん……。」
「私、覚えてるよ。何回か見たから。特徴的だったし。
とりあえず魔じょー―じゃなくて、杖探しに行ってみる? ―時休戦ってことにして。」

ーーーーーーーーーー



最終話 絶級〈魔杖〉、降臨


「とりあえずー時休戦ってことにして、杖探しに行ってみる?」
というレナの提案を受け、君たちはエターナル・ロア探しに出た。

既に日が落ちていて、いつの間にか大きな月が見えている。
「弱ったわね。大会が終わってしまう前に見つけたいのだけど………。」

依然、街の人々は賑わっているようで、歩くのは結構大変だ。
リルムの杖、エターナル・ロアを見つけてあげたいという気持ちはあるが、
これでは探すことすら困難だ。

「うーん、うーん……。」
リルムは困ったような顔で、周囲をぐるぐると見回している。

「杖な一……杖はなー……見つからないな一。」
「エリスってほら、封印を生業にしてるなら、魔力の行方とか、そういうのわかるんじゃないの?」
「何よ、藪から棒に……。」
「“あの杖”の魔力を感じ取れれば、すぐ見つかるでしょう?」
「私の魔法で感じ取れるのは、悪しきものだけよ。魔杖ならすぐ見つかるかもしれないけど………。」
「そういえばエリスの家を壊した魔杖つて、どんな形をしているにゃ?」
「さあ、お祖父様しか見たことがないから、私にはわからないわ。」
ただ……今から数百年前に生まれ落ちた魔杖は、人々に恐怖と絶望を与えたという話よ。

そんな危険な杖が、この異界には存在している。
エリスの境遇を思うと、その魔杖もどうにか封印したいところだが……。

「……私は、その魔杖を封印して家の名誉を取り戻したいの。
「だからわたしが見つけて、叩き割ってあげるって!縦に。
「ええ、ありがとう、アリエッタ。

「とりあえずエリス、魔法使ってみて。」
「使うのはいいけれど、あれ結構疲れるのよ。だから普段は使わないようにしてるの。」
「ものは試しだね!」
レナがアリエッタに微笑みかける。
「…………。」

エリスは静かに目を閉じ、集中力を高める。
――“箱”に魔力が集まっていく。

「あったー―凶々しい魔力の気配!」

「行こう!」
「意外と使えるね、その魔法。」
「茶化さないで……。」

「行こう、リルムちゃん。」
「うん、わかった!」

「さあ、黒猫のひとも!」
君は頷いて、アリエッタたちとともに声が聞こえたほうへ走りだした。

 ***

「……な、なにこれ。」

逃げ惑う人々。崩れ落ちた建造物。
大会の熱狂とはかけ離れた、ある種の絶望的な空気感が、そこにはあった。

「あった! 杖!」
アリエッタがーさしたところに、君も見たあの杖……工ターナル・ロアが“いた”。
「あ。私の杖だ。」
「どうしてあの杖に反応したの……?」
もしかして……とエリスは小さく呟く。

「ククッ、来たか小娘……ッ!」
見たことのない男性が、杖を握りしめている。

「売り飛ばされ、生まれ落ちて幾星霜。数多の大魔道士を邪悪な力により傀儡にしてきたが……
小娘と出会って以降、投げられ、精神的苦痛を味わわされてきた。
落としてくれたことは、我にとって幸運だったと言うべきだろう。
小娘!これまでの恨み、まとめて晴らしてくれるわ!」
「わけわかんないこというな!」
「ええ!わかんないの!?」
だが真実に気づいたエリスは震えが止まらなかった。怖いからではない、もちろんない。

「貴様!魔杖、エターナル・ロアか!!」
激昂するエリスの魔力が爆発する。
「そうだ。我だ。魔杖工ターナル・ロアだ。」
「あれがロアちゃん……。」
「くくくっ……この空気、久しい。久しいぞ。
我を手にした人間は運がなかった。見ろ、て乗っ取らせてもらー―。」

「てーい!」
「うぐッ……待て。我、話してるから。」
「おりゃー!」
「そりゃー!」

話の途中でアリエッタが魔法を叩き込み、
それを皮切りにしてリルムが続き、面白半分にレナが加わる。

「ちよ、待たんか!まだ我が話しているだろ!杖の話を聞かんか!
ちよ、待て! 待てというに!ぐツ、貴様ら……親を呼ぶぞ!!」

「ちょっと、みんな、ちゃんと話聞いてあげようよ。」
「それもそうか……みんな、やめー!」
「はーい!」

「……そんな改まって話すほどのことは……ないのだが。
エターナル・ロアから膨大な魔力が溢れているが、なんだか拍子抜けしてしまう。


「こんな近くに魔杖があるなんて……私は運がいいわ。
「お、そういえば、貴様。祖父がどうとか言っていたな。我を封じようとした者。確かにいたぞ。
少々、物足りなかったがな!」
「一族の汚名……ここでそそがせてもらうわ!」

「よーし、アレが魔杖ならー―叩き割るっ!縦に!」
「やってみろ。小娘ども。」

「キミも構えるにゃ!」
あれがエリスの言っていた魔杖なら……。
……なんとかして杖を引き剥がさなければ。


エターナル・ロア

「魔道というものを貴様らに教えてやろう。」



 ***



みんなの魔法が、エターナル・ロアに向かって放たれる。

「ぐツ、貴様らァッ!我を舐めるなよー―!!
しかし、君たちの魔法で工ターナル・ロアが倒れることはなかった。  
強力で、強大な魔杖……。

「……必ず封印してみせる。
「出てこい!本!
「またあの本にゃ!
そうか――と君は思い当たる。
エターナル・ロアの強烈な魔法を防ぐために、あの本を取り出したに違いない!

「鈍器!
「げぶぼああツ!?
尋常ではない速度で飛ばされた巨大な本が、エターナル・ロアに直撃した。

「もはや魔法なのか何なのか……わからないにゃ。」
「ええ……痛い。我、すごく痛い……。」

「出てこい一一私の賛よ!」
箱の中から飛び出てきだソレ”は、言葉にはできない異形の何かだった。

「げっ、なんかやば……。」
皆が口々に驚愕の声を上げる。

「ぐッ、くうッ……よもや我が呪いがー―引き剥がされるというのかッ!」

音を立て、依り代になった人と工ターナル・ロアが分かたれるのが見える。
そして数秒と経たず……杖がカラン、と音を立てて落ちた。

さすがの魔道士たちも、困惑を隠し切れない。君もまたそのひとりだった。
「ふぅ、終わりね。“繋がっていだ部分だけ封印したわ。」
「…………。」
「どうしたの?みんな。そんな顔して。」
明らかに“引いている”ことに、エリスは気づいていない。
「今の何にゃ?」
「シヤルム家に伝わる“封印の魔物”です。日く、禍事を喰らうものらしいですが詳しくは……。」
「はー、終わった終わった。もう帰ろー。
「……本当に終わったのかにゃ?
たぶん、と君は□にする。
……本当に終わったのかは、君にはわからなかった。

 ***

街の外れに来た君たちは、そこで一息つくことにした。
アリエッタは大きく伸びをして、息をつく。

「助かったわ。あなたのおかけで、工ターナル・□アを引き剥がすことができた。
君は、そんなことないよ、と言う。
みんなの頑張りのおかげだよ、と付け加えた。

「乗っ取った瞬間に、顔も体つきも何もかも変わっちゃうのね。」
幸い、エターナル・ロアに乗っ取られた人に怪我はなかった。
ただ、魔杖が離れた瞬間にまるで別人に戻っていったのには驚いた。
呪いのような形で体を奪い取り、顔も体も……。全部が全部、別人になったようだ。

君は、エターナル・ロアを封印しなくてもよかったの? と問いかけた。
「ええ。リルムが上手く扱うと約束してくれたから。
リルムとエターナル・ロアが「あばばばば……」といって倒れたのは言うまでもないが、
今後、このようなことがないようにする、と約束してくれたようだ。


「黒猫のひと、もう帰るの?」
「もうちよつとここにいませんか?」

「どうするにゃ?
「大会のあとは、お祭りが1週間くらい続くしせっかくだから遊ぼ!
優勝は逃したけど、まあ仕方ない!ごめんね、エリス!」
「どうして謝るの?」
「優勝してお金をもらって、エリスにあげたかったんだけど、ダメだった! あはは!」
「……馬鹿ね。いいのよ、そんなこと。」

気づけば大会は終わっていたし、優勝者はどこかの魔道士に決まっていた。
エターナル・ロアを止めるため勤いていた君たちは、いつの間にか失格扱いになっていた。
だが皆――アリエッタなんかは特に、晴れやかな表情を浮かべている。

「災害だとか言われてるけど、この子、意外と世界のために貢献してるのよ。
やることは無茶苦茶だけど、わからなくはない、と君は言う。
そういえば魔道障壁を作ったのも彼女だと言っていたのを思い出す。

「自分で作って自分で壊すなんて、意味がわからないにゃ。」
「でもアリエッタちゃんのおかけで、生活が豊かになったっていうのも、事実ですよ。」
「とんだ大魔道士にゃ……。」

「それで、どうするの? 黒猫の魔道士さん。ちょっとぐらいいられないの?」
君は考えたあと、それなら少しだけ、と返答した。

「それじゃあ、行きましょう。」
「すぐには帰らせないけどね!」


その言葉どおり、君たちが帰ることができたのは、お祭り騒ぎに巻き込まれ、
”封印された魔道士”との戦いを経てからのことだった。


超魔道列伝
初登場 アリエッタ2015/06/17
アルティメットサマーガールズ2015/09/30
ソフィとリルムのトリック☆オア☆トリィィート!
伝説再臨! (三周年)2016/03/07
続アルティメットサマーガールズ!2016/06/30
エリス編(バレンタイン)?2017/02/13
リルム・リブゥウウト2017/08/31


黒猫ストーリーに戻る

登場人物画像ストーリーテニスの話
登場人物イラストストーリー


最近の更新

9時間まえ

2017/09/18 (月) 22:47

2017/09/18 (月) 08:02

2017/09/18 (月) 07:57

2017/09/18 (月) 07:22

2017/09/18 (月) 07:18

2017/09/18 (月) 07:00

2017/09/18 (月) 06:57

2017/09/17 (日) 19:10

2017/09/17 (日) 18:08

2017/09/17 (日) 17:56

2017/09/17 (日) 17:55

2017/09/17 (日) 17:09

2017/09/17 (日) 16:34

2017/09/17 (日) 16:24

2017/09/16 (土) 21:51

2017/09/16 (土) 21:39

2017/09/15 (金) 19:48

2017/09/13 (水) 19:50

新規作成

9時間まえ

2017/09/18 (月) 22:47

2017/09/18 (月) 08:02

2017/09/18 (月) 07:57

2017/09/18 (月) 07:18

2017/09/17 (日) 19:10

2017/09/17 (日) 18:08

2017/09/17 (日) 17:55

2017/09/17 (日) 17:09

Wikiランキング
アイマス デレステ攻略まとめwiki【アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ】
【速報】ミラクルニキ攻略アンテナ
白猫プロジェクトwiki【白猫攻略wiki】
4 ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ攻略Wiki【ジョジョSS】
5 DBZ ドッカンバトル攻略Wikiまとめ【ドラゴンボールZドカバト】
6 チェインクロニクル攻略・交流Wiki チェンクロ3
7 ブレソル攻略Wikiまとめ【BLEACH Brave Souls】
8 パワプロアプリ攻略Wikiまとめ
9 消滅都市2 攻略まとめWiki
10 ドラクエモンスターズ スーパーライト非公式wiki【DQMSL攻略】
注目記事
デレステ イベント Twin☆くるっ★テール アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ
白猫 リゼロコラボ Re:ゼロから戦う大罪司教 白猫プロジェクト
ドッカンバトル LRトランクス&悟天 評価考察 ドラゴンボールZドッカンバトル
メルスト あんスタ コラボユニット メルクストーリア
パワプロ 覇堂高校 最強選手育成論 パワプロアプリ
マギレコ リセマラランキング マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
ミラクルニキ 偽りの鳥籠 答え コーデ ミラクルニキ
リネレボ スペルコレクション文字アイテム リネージュ2 レボリューション
DQMSL ロトの紋章コラボ 攻略 ドラクエモンスターズ スーパーライト
モンスト LINE掲示板 モンスト
『戦国ASURA』事前登録受付中! 戦国MORPG
ページ編集 トップへ