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【白猫】王子たちの狂宴 Story

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最終更新者:にゃん
花嫁が欲しいメルクリオに(珍しく)頼られ、あの張り切り王が一肌脱ぐ!
2015/08/17





目次


Story1 二人の王

Story2 最初の客人

Story3 王たちの反省会

Story4 彼氏持ち?

Story5 虎視耽々

最終話 締めは男同士で


登場人物


メルクリオ cv.水橋かおり
偉大なる吸血鬼<夜の王>の末裔。
始祖にならって100人の花嫁を探している。
エーベルハルト cv.山下大輝
王様の国出身の<張り切り王>。
平民を尊敬している。


story1 二人の王


ようこそ、我が城へ、アイリス。……それから、その他大勢。

こんにちは、メル君。

お呼ばれしたから来たけど、一体なにをはじめるわけ?

<合コン>ですよ、どら猫様!

エーベルハルト!?アンタもいたのね……って、『ゴーコン』ってなによ?

<合コン>とは、平民様のみに許された、高尚な催事なのです!

それじゃわからん!

ようは人間の女を宴の席に招き、我の花嫁として迎え入れることだ。

……なぜかしら、今の説明、すっごく間違ってる気がするわ。

ククク……いちいち花嫁を探す手間も省けて、なんとも効率的じゃないか。

余もメルも合コンをやりたいという一心で準備いたしましたので、きっと楽しんでいただけるかと。

……おい、馴れ馴れしいぞ、人間。気安く我の名を呼ぶでないわ。

いいじゃないか、王同士だろ。

そもそも、お前がどうしてもって言うから、余が<幹事王>に頼んで――

お、お前だってノリノリだったろ!

僕がワガママ言ったから仕方なく、みたいな言い方はやめろ!

ささ、皆様、どうぞお席へ。そろそろ最初の客人が来られるはずなので。

それじゃあ、お言葉に甘えて……

ま、美味しいものが食べられそうだし、付き合ってあげるわ。

おい、ここは我の城だぞ。勝手な振る舞いは許さん。

ああ、憧れの平民様と合コン……この高揚感、舞踏会や園遊会では決して味わえないだろう……

話を聞けーー! 主催者は僕だぞ!!

ウェイター様、お待たせしました。我らは準備万端でございます!

承知いたしました。それでは、お客様をご案内いたします。



初級:宴のはじまり
……む、さっきの娘はどこだ?
平民様との語らいは楽しいな!


story2 最初の客人


わらわの名はインヘルミナ。招致に応じ、参上したぞ。

(おお、これはなかなか……これが幹事王とやらの采配か!)

ようこそ、我が城へ。我は<夜の王>の名を継ぐ吸血鬼、メルクリオだ。

(まだ正式に継いでないでしょうが……)

まさか吸血鬼の王族から饗宴の招待が来るとはな。いかな目的でわらわを呼んだ。

貴様を、我の花嫁として迎え入れたい。

……ほう。

(直球すぎでしょ!)

我はー目見て貴様を気に入った。その美貌、人間の中にあって至宝と呼ぶに相応しい。

なるほどな。世迷い事にしては、なかなか気の利いた賛辞だな。

(あ、あれ? 意外と好感触?)

花嫁云々はさておき、もう少しそなたの話を聞いてやろうぞ。

ククク、なんと不遜な人間よ。だが、そうでなくてはな。

(よし! ここまでは順調だ。僕の手にかかれば人間なんぞすぐ支配下に――)

待て。

……なに?

その方、女王だろう。ここは王族の来るところではないぞ。

お、おい! なにを勝手に……!

……それはどういう意味か。そもそも招待したのはそなたらであろう。

その席は平民様のために用意した。女王の分際でそこに着くなど畏れ多いぞ。

わらわが平民以下、と。そう言いたいのか、貴様。

当たり前だろう。その方はなにを言っているのだ?

ここまで徹底的に侮辱されたのは初めてだぞ……ふふふ……

ま、待て!僕はこいつとは関係ない!

おいおい、つれないな、同志だろ?

いつそうなったんだよ!いいからお前は黙って――

 <――ダンッ!>

ひっ!

不愉快だ、帰らせてもらう。

その面、二度とわらわに見せるでないぞ。


ああ……ああ……せっかくいい感じだったのに……

(どこからつっこめばいいのやら……大丈夫かしら、あの二人……)



中級:招かれざる客たち
い、痛い………
………ほんとすまん。


story3 王たちの反省会


おい、お前! 一体なにを考えてるんだ!

<合コン>は平民様の催事だぞ。王族なんか来たら台無しだろ?

……お前の言ってることが、僕には欠片も理解できないぞ!

とにかく! 誰が来ようとさっさみたいな態度はやめろ! いいな!?

まあ、お前がそこまで言うなら……

あのー、ちょっといい?

なんだ!

アンタもさ、会っていきなり『花嫁になれ』はよくないと思うわよ。

なにを馬鹿な。我は吸血鬼だぞ。

下等な人間どもへ命令を下すことにいったいなんの落ち度がある。

その上から目線、さっきのエーベルハルトみたいよ。

うっ!

はっはっは、やっぱり王同士、気が合うな!

やかましい!お前とー緒にすんな!

うーん、私もキャトラの意見に賛成かな……

アイリス!? そ、そうか……

ふん、お前がそこまで言うのなら今回だけは従ってやる。

言ったのはアタシなのに…………

そろそろ次の客人が来る頃だな。ああ……心が浮き立つぞ!

……おい、我が言ったことちゃんと覚えていような。

大丈夫だ、任せておけ、メル!

だから馴れ馴れしいんだよ、お前!

お待たせいたしました。こちらでございます。

「あ、あの――」

っ!


上級:宴の仕切り直し
頼むから余計なことはするな……
再び余に任せておけ!


story4 彼氏持ち?


えっと……私はー体どうすれば……

(ふむ、美しい娘だ。幹事王め、やりおるではないか)

よく来たな、娘。我は――

その方!

どわぁ!?

わ、私のことでしょうか……?

ところどころに見られる土汚れに草のあと……もしや貴方は……!

申し遅れました。私はフローリア。庭師をしております。

に、庭師様ですと!王族とはー線を画すといわれた、あの伝説の……おおお……!

偉大なる庭師様! ぜひお話をお聞かせ願えませんか!そして今後とも余と良き関係を――

おい、貴様! 抜け駆けするでないわ!こやつは我の花嫁候補なのだぞ!

なっ! 王の分際で庭師様になんて口をきくんだ!立場をわさまえろ、メル!

お前、僕をバカにしてんのか!

あの、どうか落ち着いてください。喧嘩はよくありませんよ。

し、失礼しました、庭師様!……メル、お前も謝るんだ!

ぐぇ! あ、頭を押さえるな! ……ええい、わかった!

わかったからとっとと離せ!

まったく、お見苦しいところを……本当に申し訳ございません!

い、いえ、私は気にしていませんから。どうか顔をあげてください。

おお、なんと寛大な心をお持ちか!

さすがは庭師様、我ら王などとは品格からして違いすぎます!

……頭が痛くなってきたぞ。もう勝手にしろ……ん?


フローリア!!!

え? カスミ、なの?あなた、どうしてここに……?

どいつが吸血鬼!?

えっ?

うむ、吸血鬼なら、ここにいるぞ!

へ?

成敗!!

ごはあ! な、なんだ貴様!人間風情が我をげふっ!

悪しき吸血鬼!よくもフローリアをかどわかしたわね!

ぎにゃ! げふぅ! あばぁ!

悪鬼退散! 滅ぶべし!!はらいたまえ! きよめたまえ!!


 ***


ふう……さ、こんな陰気臭い城、とっとと出ましょ、フローリア。

え? あ、うん……


……………………た……助けろよ。

すまん!


絶級:メルクリオの受難
ああ……いい雰囲気だったのに。
せっかくの合コンが台無しだ。


story5 虎視耽々



むむ……あれが<合コン>における禁断の招かれざる客、<カレシモチ>というものか……!

なんというスリル!平民様とはなんと刺激的な日々を送られているのだろうか!

……もういい! 次だ、次!

かしこまりました。どうぞ、こちらになります。


 ***


我が名はシャナオウ!呼ばれて参上プロトコル!

…………

サワワです……ふ、<風神見習い>、です……


(なぜ男が混じっている!!一体なにがあったのだ、幹事王~~~!)

(メル、頭を抱えている場合か。勝負はもう始まっているんだぞ)

(はあ? なに言ってんだ、お前)

(合コンの言い伝えによれば、我らは今、平民様の御令嬢に試されているらしい

 この4人の誰が自分の伴侶に相応しいのか……とな)

(なん……だと? こんな幼い娘がか?)

ええと、こんなときは<風神の巻物>によると……

(にわかには信じられんが……だが、おもしろい。その挑戦、受けて立とうではないか!)


……む、なにやら熱いデッドラインを感じるぞ。

お前じゃないわ!!

なあ、メシはまだかよ。こっちはタダメシ食えるっつーから来てやったんだがよ。

失礼いたしました。ご注文を承ります。

なんと食事も満足にできないとは!貴方は平民様の中でも特に位の高い御方なのですね!

……なにいってんのかわかんねーがムカつくことだけは確かだわ。

吸血鬼は太陽が苦手というのは本当なのか?

吸血鬼による。我はそれほどでもない。それがどうした。

実は俺も最近、太陽が苦手でな。

正確にはまぶしく光るサムシングが俺のハートを苛むのだ……

???よくわからんが、絡繰人形も大変なのだな。

根なし草の傭兵様におきましては、我らのような王では想像もつかない苦労をされたのでしょうね……

……なあ、お前、刻んでいいか?特にその高そうなマントとかよ。

すみませーん、力二カマおかわり!

かしこまりました。

もうキャトラ、さっきから力二カマばっかり注文して……


……あの、もう帰っていいですか?


破滅級:男どもを蹴散らせ!
本当に大丈夫なんだろうな!
余に任せておけ!


最終話 締めは男同士で



うむ、これが<合コン>か!なんとも楽しい宴だったな、メル!

……ホケェー……

そうかそうか、お前も魂が抜けるほど楽しんだか!

……結局、―人も……めとることができなかった……

うう、こんなザマでは、我が始祖に顔向けでさん……!

我らもまだまだ平民様には程遠いということだ。精進あるのみだぞ、メル!

ていうか、やっぱりアンタにお嫁さんは早いんじゃないの。

そうなのかな……なんだかそんな気がしてきたよ、僕……

あー……これは重傷ね。

なんだ、メル。もしや本気で伴侶が欲しかったのか?

最っっっ初からそう言ってるだろ!

今までなにを聞いてたんだよ!

よし、わかった。余がー肌脱いでやる!

へ?

我が国から<婚活王>にくお見合い王>、さらに<出会い王>も紹介しよう。

これだけの王が揃えば、花嫁もすぐに見つかるだろ!

ほ、本当か!?信じてもいいんだな!

安心しろ、余にまかせておけ!

(それよりも<花嫁王>さんとか<結婚王>さんに頼んだ方が早いんじゃないかしら?)

(……いるかどうかわからないけどね。)

よし、前祝いに一つ、派手に祝杯をあげるぞ、メル!

お、おう……

っと、すでに杯は空か。ウェイター様!

まことに恐縮ですが、注文をお願いしてもよろしいでしょうか!

はい、なににいたしましょう。

水をお願いいたします!

アンタはトマトジュースよね。

おい! その選択は吸血鬼に対する偏見だぞ!

あ、アタシも力二カマ追加で~。

えっと、じゃあ私も……

よし、杯は持ったな。ではいくぞ!

え、えっと……

余は偉大なる<平民様>を目指して……

わ、我は高貴なる<夜の王>を目指して……

乾杯!




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