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ミコト・思い出

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最終更新者:にゃん

ストーリーまとめ


和歌の神
ミコト・ウタヨミ
八百万の神々が一柱の<和歌の神>。
和歌で人々の願いを叶えるが、誤字が多い。

思い出1


ミコト

雲流る あまの美空を ゆく島の

土薫る風木の葉奏づや


アイリス

それは……歌ですか?

とてもいい響きですね。


ミコト

あ、ありがとうございます!

今のは、この島の美しさを表した

自信作でして……え?


えええええ!!

あ、あなた、私のことが

見えるんですか!?


アイリス

? はい、見えますけど……


ミコト

で、でもここは下界で、

あなたは人間で……

ど、どういうことですー!?


キャトラ

騒々しいわねえ。

なんかあったの?


ミコト

ああ! 猫神様……!?

って、そんなわけないか……


キャトラ

……はい~?


ミコト

ご、ごめんなさい。

ちょっといろいろ

混乱しちゃって……コホン。


ミコト

お初にお目にかかります。

私はミコト・ウタヨミと申します。


キャトラ

ふむふむ、ミコトね。

アタシはキャトラ。よろしく~。


アイリス

アイリスです。

ところで、ミコトさんは

ここでなにを?


ミコト

はい、<和歌>を詠んでいました。


キャトラ

ワカ……? ヨム……?


ミコト

和歌、ご存知でないですか?

やっぱりマイナーなのかなぁ……


アイリス

あの、よければ和歌について

教えてもらえますか?

私、少し興味があります。


アイリス

ほ、本当ですか?


キャトラ

アイリス、歌とか好きだもんね。


ミコト

おまかせください!

和歌の神として、手取り足取り

教えてあげますよ!


キャトラ

……え? 和歌の神って……?


ミコト

あ、言い忘れていました。

私、『神様』なんです!


キャトラ

へ、へぇ~……


アイリス

そ、そうなんですね……


ミコト

……あ、あれ?

もしかして、信じてません?


キャトラ

……だって、見たかんじ

普通の人っぽいし……


ミコト

いや、でもほら、雰囲気とか

気配とか、神様っぽくないですか?


キャトラ

うーん、特には。


ミコト

あう……ご利益がないと

こんなものなんだ……


キャトラ

なんかよくわかんないけど、

元気出しなさいよ。


ミコト

はい……ありがとうございます、

キャトラ様……


アイリス

キャトラ、様……?


キャトラ

なんというか……

いろいろ変わった子みたいね。

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思い出2


ミコト

私は、<八百万の神々>が一柱!

和歌の神―ミコト・ウタヨミ

です!


キャトラ

ふーん。


ミコト

どうです?

神様っぽかったでしょう?


キャトラ

うーん……微妙。


ミコト

はぁ~~……

やっぱりご利益がないと

ありがたみがないのかなぁ……


アイリス

えっと……和歌の神様は、

どういったことをするんですか?


ミコト

よくぞ聞いてくれました!

私は、和歌を詠むことで、

願いを叶えることができます!


ミコト

……まあ、毎回叶えるわけじゃ

ないですけど……

叶えたり叶えなかったりです。


キャトラ

中途半端ねえ。

普通に叶えればいいじゃん。


ミコト

神様が人に干渉しすぎると、

下界が乱れる原因に

なっちゃうんですよ。


そうなったら、

ご利益ぽいんと>も

入ってこないですし。


キャトラ

ご利益ぽいんと>?


ミコト

あ、ご利益ぽいんとっていうのは、

人々に感謝されるともらえる

神様のぽいんとです。


ミコト

私たち神様の間では、

ご利益ぽいんとが多いほど、

ありがたみのある神様ってことに

なるんですよ。


キャトラ

ちなみにミコトのぽいんとは?


ミコト

うっ!

……に、20ぽいんと、です……


キャトラ

……それって多いほうなの?


ミコト

……友達の神様は、

800万ぽいんと持ってます……


キャトラ

ダメダメじゃん!


ミコト

うう……私、

神様向いてないのかなあ……


キャトラ

みんなに感謝されたら

ぽいんともらえるのよね?


ミコト

はい……


キャトラ

なら、ギルドの依頼とかで

困っている人を

助けたりするのはどう?


ミコト

ぎるどの依頼……ですか?

それって具体的にどんな

お仕事でしょう……?


アイリス

よくあるのは、

魔物退治ですね。


ミコト

ま、魔物退治……

うーん、できなくもないですが……


キャトラ

神サマなら楽勝でしょ~?


ミコト

わ、私は和歌を詠む神ですから、

和歌っぽいお仕事はないですか?


キャトラ

意味わからん!

ご利益ぽいんと欲しくないの?


ミコト

ぽいんと……ほしい……

でも、魔物の相手かぁ……

うーん……うーん……


キャトラ

もう、じれったいわね!

いくの? いかないの!?


ミコト

えーっと……

す、少し考えさせてくださーい!


キャトラ

あ、逃げた。

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思い出3


ミコト

キャトラ様、それはなんですか?


キャトラ

力二カマよ~。

アタシの好物……って、

キャトラ『』?


ミコト

……あ! すみません、

つい……


キャトラ

つい、で様付けする~?


ミコト

その……キャトラ様って、

私か尊敬する猫の方と

雰囲気が似ているので……


キャトラ

ふ~ん?

まあ、悪い気はしないから

別にいいけどサ。


ミコト

ちなみに私は、正真正銘、

神『』ですけどね!


キャトラ

ウン、ソウネ。


ミコト

うう……

なんだか切なくなってきました……


ミコト

はっ! そうだ、キャトラ様!

その力二カマ、もっと食べたく

ありませんか?


キャトラ

そりゃ、もちろんよ。

力二カマならいくらだって

食べられるわ。


ミコト

では、私の和歌で、

最高に美味しい力二カマを

出してみせましょう!


キャトラ

和歌で力二カマを?


ミコト

はい! そうしたら、

私か本当に神様だって

証明できますし!


ミコトは、短冊と筆を取り出し、

流れるように和歌をつづった。 


ミコト

世にもなさ 薄紅の 海の幸

いかにかまうや 猫のまにまに


キャトラの目の前に、   

光とともにー皿の力二カマが

出現した!        


キャトラ

お……おおおお!

こ、この力二カマは……!


キャトラ

ツヤよし! ニオイよし!

こんな美味しそうな

力二カマは初めて見たわ!!


ミコト

ふふふ、どうですか?

これが和歌の神の力ですよ!

さ、どうぞ召し上かってください。


キャトラ

わーい、いただきまーす♪

はぐっ! もぐもぐ……


からぁぁぁぁい!!


ミコト

……え? からい?

うまいの間違いではなく?


キャトラ

もー!

なんなのよ、この力二カマは!


ミコト

お、おかしいなあ……

ちゃんと詠んだはずなのに……

あっ!


海の幸>の『』が、

』になってた……


アイリス

それで力二カマが

辛くなっちゃった……?


ミコト

す、すみません~!

私、ほんと誤字が多くて

よくトチっちゃうんです……


キャトラ

……ご利益ぽいんと、

少ないわけだわ。


ミコト

はうっ!

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思い出4

キャトラ

前にミコトが言ってた、

ヤオヨロズの神ってなに?


ミコト

ヤオヨロズというのは、

八百万>と書いて、

『やおよろず』と読むんですよ~!


(……まあ、私も最近

知ったんだけど……)


アイリス

神様が800万もいるんですか?


ミコト

そのくらい数が多いって

意昧なんですよ。


私のような和歌の神とか、

台所の神とか、お米の神とか

お手洗いの神とか……


キャトラ

いたるところに神様がいるのね。


ミコト

身近なところに神様がいて

人々の生活を

見守っているわけです!


アイリス

他にはどんな神様がいるんですか?


ミコト

そうですね~……

私のお友達だと

商いの神様のトミちゃんとか……


賭事や恋愛のご利益がある、

必中の神様のマトイちゃんとか……


あ、あと、戦神の

スウちゃんとセイちゃん!

この前、ちょっとだけ剣術を

教えてもらいました。


キャトラ

ほんとうになんでもアリなのね。

ヤオヨロズって。


ミコト

それと忘れちゃいけないのが

<猫神様>です。

とってもご利益のある

神様なんですよ!


キャトラ

へえ~、それは同じ猫として

鼻が高いわねえ!


ミコト

はあ~……私も

猫神様みたいになれたらなあ……


キャトラ

そういえばミコト、

さっき剣を習ったって

言ってたけど……


ミコト

あー、ちょっと身体を

鍛えようかなと思って

はじめてみたんですよ。


……和歌を詠んでいるだけじゃ

この先やっていけるか

不安だったし……私ドジだし……


キャトラ

せっかく習ったんならさ、

ギルドの依頼で活かしてみたら?


ミコト

うう、もう腕力に頼るしか

ないんでしょうか……


キャトラ

それでも人助けになるじゃない。

ご利益ぽいんと欲しいんでしょ?


ミコト

はい、欲しいです……

ものすっごく欲しいです……!


アイリス

私たちも協力します。

―緒にがんばりましょう。


ミコト

うう……ありがとうございます!

私、ちょっとだけ

がんばってみます!


キャトラ

そこは全力って言いなさいよ。

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思い出5



ギルドの依頼を引き受け、    

ミコトとともに洞窟の最奥へと進む

主人公たち。          


ミコト

こ、ここに村を脅かす

魔物がいるのですね、キャトラ様。


キャトラ

うん……てか大丈夫、ミコト?


ミコト

平気です!

本当は今すぐ帰りたいですけど!


キャトラ

素直でよろしいこと……


アイリス

みんなで戦えば

きっと大丈夫ですよ。

安心してください、ミコトさん。


ミコト

ありがとうございます、

アイリスさん……そうですよね、

みなさんでやれば魔物なんて――


ミコト

きゃあー――!

で、出たあーーー!


キャトラ

だから大丈夫だって!

このくらいならまだ――


ミコト

な、なんか

どんどん増えてませんか……?


アイリス

で、ですね……


ミコト

…………あ、これはだめですね。

逃げましょう。


キャトラ

あ、こら!

待ちなさーい!


キャトラ

あーもう!

主人公!

なんとかしてぇ!


主人公


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思い出6


ミコト

! ……この優しい光……

なにかが……私の中に……!


キャトラ

ちょっとは落ち着いた?

さあ、やるわよ!


ミコト

……キャトラ様!

ここは、私にまかせて

いただけませんか?


キャトラ

ミコト?

急にどうしたの!?


ミコト

……なんだか、うまくいきそうな

気がするんです。


今度こそ……みなさんの

役に立ってみせます!



ミコトは姿勢を正し、      

短冊につづりながら和歌を詠む――


ミコト

禍つ魂 ふりさけ見れば 鳴る神の

音降る影に 消えぬべきかな


洞窟内に発生した轟雷が、

次々と敵をなき倒す!  


ミコト

や……やりました!

誤字らずに詠めました!

久しぶりの大成功です~!


アイリス

すごい……

これが和歌の神様の力……!


キャトラ

やるじゃん、ミコト!

今のは神様っぽかったわよ。


ミコト

そうですか?

私、神様っぽかったですか?

ふふ、ですよねー♪ ……むむ!


キャトラ

ど、どうしたの?


ミコト

きました!

ご利益ぽいんとです!

どんどん加算されていきます!


アイリス

魔物がいなくなったから、

村の人たちが

感謝しているのかしら?


キャトラ

すぐに報酬がもらえるなんて、

便利な仕組みねえ。


ミコト

……出ました!

ご利益ぽいんと、

56ぽいんとです!


キャトラ

おめでと、ミコト!

なんかよくわかんないけど!


ミコト

よーし、この調子で

ご利益ぽいんとを

荒稼ぎしま――あ、あれ?


アイリス

ミコトさん?


ミコト

す、すみません……安心したら、

急に力が抜けちゃって……


キャトラ

あらら……せっかく

神様らしかったのに……


アイリス

主人公、

手を貸して。


ミコト

うう、お手数かけます……


キャトラ

ま、地道にがんばりましょうよ。

戦うだけが人助けじゃないしね。


ミコト

……そうですね。

和歌で願いを叶えることも、

魔物と戦うのも、人のためである

ことに変わりはないですし。


ミコト

私、がんばります!

みなさんにご利益があるような、

立派な神様になってみせます!


…………
……… 



ミコト

空をゆく 比翼の共と 猫神よ

見果てぬ旅を 雲と流るる


言の葉満ちる月の歌

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