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ハッピースイーツカーニバル Story4

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最終更新者:にゃん


story



スィー島の街道を進んでゆくと、小さな村が見えてきた。これまで見たところとは、文化や風習が

違うようだ。

とても落ち着きのある長閑な風景が広がっていた。

ここはスィー島の中でも、一番時間の流れがゆっくりしている。

<ぼんやりとその風景を眺めていると、プレミオがこの場所のことを説明してくれた。>

まっちゃ村といちご村。派手さはないけど、ずっと居たくなるような場所ね。

村人もみんな、穏やかな人たちばかりですよ。

<そんな話をしていると、道の真ん中でふたつの集団に分かれ、いがみ合っている人々がいた。>


w本当に爺さんは毎度毎度渋いことばかり言いなさる。わたしゃほとほと呆れたよ。

zわしが何度口酸っぱく言っても、直そうとはせん婆さんの方が悪いんじゃろ!

<遠目から聞こえてくる会話はそんな内容だった。どうやら喧嘩をしているようだ。>

あんなに平和ないちご忖とまっちゃ村の人たちが喧嘩してるわ。

wともかく!お茶の葉が緑のうちは、けして爺さんのことは許しませんぞ!

zこっちだっていちごの粒々を数え終わるまでは、口もききたくないわい。

<そう言って、顔をぷいっと逸らすと、お互いの村に別れて行った。>

もしかするとこれもデザートンの影響かもしれない。

あんなに仲のよかったいちご村とまっちゃ村が喧嘩するなんておかしいですね。

<少し事情を探ってみよう、と君は一同に提案した。>

まずはまっちゃ村に行ってみるにゃ。


***


<まっちゃ村の茶屋の外壁に巨大なハンマーが立てかけられていた。

店の外に並べられた緑台には、抹茶をすすり、ほっこりとした表情を浮かべる少女がいた。>

……はあ。長閑だなあ。……あなたもそう思いませんか?

z…………。

私はユッカ・エンデと言います。エターナル・クロノスという所からやって来ました。

そこでもお茶はあるんですけど、お抹茶というのは初めて飲みました。

使っているお茶の葉は同じらしいので、時計塔のみんなにも教えてあげようと思います。

と言っても帰る方法はわからないんですけどね。……どうしようかなあ。

z…………。

<彼はスッと自分のお茶受けの菓子を少女の方へ押し出した。>

い、いいですよ。目分の分ありますから……。

z…………。

<少女の言葉に、ゆっくりと首を横に振ると、縁台から立ち上がった。>

なんか、すみません……。


いい人がいるなあ。

<ユッカはまた一口抹茶をすすり、風に流されゆく浮雲を見送った。>

ユ、ユッカ……!!

あ、黒猫の魔法使いさん!ど、どうしてこんなところに?

<少し長くなるけど……と前置きし、君は事のあらましを説明した。>


 ***


なるほど、村同士のケンカか……。それは良くないですね。

<ケンカの理由がわかればいいんだけど……何か知っている?と君はユッカに尋ねた。>

うーん、この村に来てからずっとお抹茶飲んでたからわからないです。

……全然ダメにゃ。

仕方ない。いちご村に行ってみようか。何かわかるかもしれない。

ところで一緒にいた人は何者にゃ?

え?まっちゃ村のひとじゃないんですか?体、緑だったし………

<そういう基準で村人かどうかは決まらないと思う、と君は言った。>


***


<ケンカの理由を探るべく、君はいちご村にやってきた。

聞き込みも兼ねて、村の茶屋に入った君はさっそくケンカのわけを訊ねた。

ところがその話を振ると、さきほどまで人の好きそうな笑顔を見せていた村人も、>

zまっちゃ村のことは一言たりともしゃべりたくないですね。

<の一点張りだった。>

理由を言ってくれなきゃ、問題も解決できないわね。

<君はピークの言葉に頷いて、メモに「収穫なし」と記しかけ――

ちょうどベンのインクが切れてしまい、文字が途切れた。>

こういうのすごくイライラするにゃ。

<どこからか声が聞こえた………>


「ラッキープレゼント!」


<君の周りを淡い光が包む。

すると途切れたと思ったペンのインクが再びペン先から流れだし、「収穫なし」と記すと、

ちょうどインクが切れた。

こういうのって結構気持ちいい………

少し小さな幸せを味わった君の肘をつんつんと誰かがつついた。>


……どぉ?

……ハッピー?

<たぶん………と君は答えた。>

そうよね~♪ペンのインクが使い切れたらうれしいよね~♪

しかも文字を書ききった後とかくぅ~ってなるよね~♪

あたしはマール。みんなに幸運を届ける天使だよ。よろしくね。

<よろしく、と君も返す。たぶんこの子も………>

もしかして、君も魔法で呼ばれたのかにゃ?

うーん。よくわからないけど、おかし食べてたら急に、ここに来たからたぶんそうじゃない?

<ずいぶん楽天的なんだね、と君はマールに言った。>

だってラッキーを届ける天使が不景気な顔してても仕方ないでしょ。

それもそうにゃ。

ねえ、魔法使いさん。マールちゃんなら村のケンカも収拾できるんじゃないかな?

<たしかにさっきみたいにラッキーを起こす力があれば、それも可能かもしれない。でも……。>

マールの力はどのくらいのことができるにゃ?

基本、なんでもできるよ。

例えば、背中のかゆみを止めたり、ひとつの卵に卵黄をふたつにしたりとかできるよ。

あんまり大したことできないにゃ。

え~?それでもすごいんだよ~。



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<いっこうにケンカの原因がわからないまま、君が村の中をうろうろしていると、

再び、まっちゃ村といちご村のいがみ合いの声が聞こえた。>


zだいだいまっちゃ村はウチの村の後追いばかりで前から気に食わんかったんだ。

wまっちゃ村がいついちご村の真似をした?言ってみい!

zしたじゃろうが、ウチが考えたいちごつかみ取り祭りを真似たじゃろうが。

なにが抹茶つかみ取り祭りじゃ。ただ粉まみれになっただけじゃろか。

wそれを言うなら、そっちこそいちご茶を作ろうとして盛大に失敗していたのう。

おおかた、その腹いせでウチの水車を壊して回ったんだろう。

zなにおう?そっちこそ、ウチのいちごを全部残らず食べおって、姑息にもほどがあるぞ。

やーめてください!

<ユッカは大上段に構えたハンマーを思いっきり振り下ろす。

その衝撃で地面は震え、その場に居合わせて者は少しだけ浮き上がった。>

ケンカはダメですよ!

び、びっくりしたにゃ……。

いまの水車の話が本当なら……私が解決してあげましょう。

なにか方法でもあるのか?

もちろん!私は時計塔の整備主任ですよ。水車ぐらい余裕で修理してあげます。

<というわけで………ケンカの原因のひとつであった水車の修理にユッカが取り掛かった。>


***


レンチをください。

はい♪

スパナ。

スパナフレゼント!

フライヤー。

z…………。

最後はハンマー。

君はユッカに巨大ハンマーを手渡した。それを肩に担うと、彼女はにやりと笑って言った。

よおし。行きますよー!……水車、スタート――!

<ユッカが水車の動力部に八ンマーの打撃を加えると水車は見事に動き始めた。

同時に、抹茶を曳いていた臼も再び動き始める。

淀みのないその動きは、水車の完全復活を一同に知らせてくれた。>

ユッカがちゃんと整備するのは、意外と初めて見たかもしれないにゃ。

これでケンカする理由がひとつ減りましたね。

zちょっと待ってくれ。まだウチのいちごが、いちご畑が残っているぞ。

あ、そうだったにゃ。

さすがに、いちご畑は私じゃどうにもできないよ。

そんな時はあたしにお任せ!

なんだかわからないけど、自信に満ちているにゃ。

でもマールちゃんには何か考えがあるんだよね?

ううん。なーんにも考えはないけど、自信だけはあるよ!

とりあえずいちご畑に行こう!


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<いちご村の村人に案内されて、やってきたいちご畑は無残な有様だった。

いちごといういちごは食い荒らされ、畑は踏み荒らされていた。>

ひどいな……。

これもデザートンの仕業なのかな……?

<こんなこと……絶対に続けさせちゃいけない。>

もー、不景気な顔はなしだよ!あたしが今からラッキーをプレゼントしちゃうから、元気出して!

そうだよ、マールちゃんがでっかいラッキーをプレゼントしてくれるよ。

そうだ、ここはマールに任せてみよう。君はみんなを励ますように、言葉をかけた。

うん!まーかせて!じゃあ、行っくよー!

ラッキープレゼントーー!!



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ラッキープレゼント!

<マールがいつもの言葉を唱えた。>

<君は一体どんなラッキーがやってくるのか、期待に胸を躍らせていた。>

<だが………>

あ、あれ?……何も起こらない?お、おかしいなあ……。

もー!今度は本気だよ!ラッキープレゼント!

<だが………>

なんともない……。

やっぱり……この状況を変えるには、マールだけの力じゃ無理だにゃ。

えー……もしかしてあたしが半人前だから?

<マールは手に持った杖をだらりと下ろし、呟いた。>

ごめん。みんな……一人前の天使だったら……。

マールちゃん……。

<無理だ。誰もが諦めかけた。そう思っていたら……。>

z…………。

緑の人……。

<彼はどこからか見つけてきた鍬を携え、踏み荒らされたいちご畑に入っていった。>

<いちご畑の真ん中に立つと………>

<太陽に届けとばかりに鍬を振り上げ、それを大地に振り下ろした。>

z…………。

<彼は黙って何度も何度も鍬を振り下ろした。>

<硬い土、粘土の土、岩、草の根、それらをものともせず、砕き、断ち切り、耕した。>

<耕し続けた。>

そっか……。そうだよね。うん。そうだよ。みんな、手伝おう!

え?ど、どういうこと?ユッカさん。

私たち、マールちゃんが与えてくれる幸運に頼り切って、自分たちで何もしようとしなかった。

でも、緑の人は自分で、自分の力で、また畑を取り戻そうとしている。

何か特別な力に頼るんじゃなくて、自分でやる。それが正しい方法なんだよ!

そうにゃ……!ユッカの言う通りにゃ。

あたしも……やる!

<ユッカの言葉が契機となって、仲間たちは畑の中に飛び込んでいった。>

<君も袖をまくると、仲間たちの輪に加わった。>

えい!

それ!

てい!

よいしょ!

z…………。

さあ、もう少しにゃ!もう少しで新しい畑ができるにゃ!頭張るにゃ!



<日が暮れる頃、荒らされた畝は再び真っ直ぐに地平線の奥へと伸びていた。>

あたし……こういうことしたの初めてかも……。

<緑の、少し湿った手がマールの肩にかれた。その手は土の匂いがした。>

z…………。

えヘヘ……。

<照れ笑いを浮かべ頬をかくマールの手もまた、土の匂いがしていた。>

さあ、みんな!疲れた時は甘いお菓子で元気を補充だよ♪

やった!おかし、おかし!

それならお抹茶でティータイムだね!

あ、魔法使いさん……。

<と言ってマールは君の方を振り向いた。>

……どぉ?

……ハッピー?

<君は優しく微笑みながら、頷いてみせた。>

またいつかここに戻ってきたいにゃ。

うん……。

立派に育ったキュウリを……この目で見てみたいね。

z…………。

<まっちゃ村といちご村の争いは終わった。ふたつの村はもとの平和な村に戻ることができた。>

<ただ、どこかで何かを間違えたような気がしたが……。>

<だいたいあっているはずだ。>

<そう胸に刻み、君は力強く歩を進めた。>




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