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【白猫】セラ・思い出

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最終更新者:にゃん

ルーンギムレットの退魔士
セラ・エレオノラ cv.伊藤静
<ルーンギムレット>を携えた退魔士。
あらゆる塊から一点の脆さを見抜く。
2015/09/30


Brave The Lion 2
飛行島の思い出 
その他関連ストーリー関連キャラ



思い出1



Brave The Lion Ⅱ 後日談


飛行島はまた新たな仲間を迎えた。

ダグラスらと共に、あの島の冒険を乗り越えた、槍使いのセラだ。


…………

いらっしゃ~い、セラ~。

気分はいかがですか?

風がとても心地良いわ。いまのあたしには、うってつけの場所かもね……

風を感じたかった?

ええ。最近のあたしは少し火照っていたから。ちょっと冷ましたいわ。

アララ、なんだかオットナ~な発言ねえ。

茶化さないよ、キャトラ。

ふふ……いいの。笑い話に出来るくらいにならなくちゃ、吹っ切れたとは言えないもの。

ウ~ン、それも極端な話じゃない?

かもね。

でも、極端なことを繰り返して、安定するラインを探していくんじゃないかしら。

むむむ……深いわね……

……セラさん。私たちはいつもここにいますから、なんでも言ってくださいね。

ありがとう。アイリスちゃん、キャトラちゃん、主人公くん。

でも、心配はいらないわよ?

そう? 無理はヨクナイよ?

無理とかじゃないわ。―歩ずつでも、自分から歩かなきゃ未来はやってこないからね。

色んな方向に踏み出してみるつもりよ。

なんか……やっぱりセラって、大人のお姉さんってカンジする!

そういう人は好きじゃない?

ううん! なつくわ!

キャトラ……

(キャトラって、大人の女の人にあこがれがあるのかな……?)



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思い出2



セラって退魔士なんだよね?メアとかと一緒でさ。

いいえ、『元}』よ。

あっ、みんな『元』なんだっけ? どうしてやめちゃったの?

やってることは変わってないんだけどね。人々に害成す存在を討つ、っていう。

ほへほへ?

ただ、<退魔士>という肩書きは捨てたの。何の意味もないことを知ったから。

なんの意味もない……?

だって、そうでしょ? あなたたちだって、名前で<闇>と戦ってるわけじゃないじゃない?

ま、そーね。

むしろ、余計なしがらみがなくなったおかげで、いまはのびのび戦えてるわ。

セラって、討伐とか結構好きよね。

ええ。元々の性格が、割と過激なのかもね。

そんなカンジもないっちゃないんだけどなー。

あたしってね、ちっちゃな頃からとっても目が良かったの。

へー、どれくらい?

槍の師匠と初めて立ち合ったとき、突きも払いも全部止まって見えたわ。

うひょ~、すご~い!

でも、かわせたわけじゃないの。そのときは体が目に追いついていかなくって。

ふむふむ。では、成長した今では?

……無敵?

わぁお!!

ふふ、それは言い過ぎだけどね♪



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思い出3



主人公!主人公!

そんなに慌てて、どうしたの? キャトラ?

セラがどっかいっちゃったの!

え? ちょっと討伐とかじゃなくて?

ううん……だって、書き置きがあったんだもの。『しばらく旅に出ます』って……

せっかく、ちょっとずつ仲良くなれてきたと思ってたのに……

……やっぱり、そんなに簡単な問題じゃないんだよ……

だからこそ、アタシたちと一緒にいればいいのに……

……待ちましょう。

セラさんは、強い人だから……踏み出した一歩を、止めることはできないわ。

だいじょうぶよ、キャトラ。『しばらく』って書かれてたなら、セラさんは必ず戻ってくるわ。

そう……?

待ちましょう。セラさんにはきっと、この時間が必要なんだよ……



…………

……



「……飛び込みだったけれど、いい宿が取れちゃった。」


宿の室内に荷物を運び入れたセラ。

窓際の机に、手にしていた読みかけの本を置く。

と。南向きに備え付けられた窓から、

サンサンとした日差しが入り込んでくることに気づく。


「窓は、開くかしら?

素敵……! 潮風の香り……さざ波の響き……

……この島には誰もいないのよね。あたしのことを知ってる人なんて……

……ふふふ……

いっそのこと……この島に、住んじゃおうかな……?」



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思い出4



「おじさん、このフルーツ一ついくらかしら?」

「それは――!? 美人のお嬢さん、見ない顔だが、観光客かい?」

「移住希望者よ♪」

「はは、そいつぁいい!それは私からのお祝いだ!代金はいいさ、持ってきな!」

「ありがとう♪」」


 今にも鼻歌を歌い出しそうなセラが賑やかな大通りをウキウキと歩いていく。


「……町の人もみんな、優しくていい感じ……

本気で、考えちゃおっかな……

……あら?」


 ふと、小路に目をやると、そこに佇んでいた一人の少年が目に留まる。

 みすぼらしい衣服に身を包み、絵筆を構えてキャンバスに向かっている。


「あんなに小さいのに……絵を……?」


 ***


「こんにちは。あなたは、画家さん?」

「あっ!? えっ、えっ!?」

「何を描いているの? 良かったら、見せてくれない?」

「あっ、あの、その……!」

「ふふ、緊張しないで。ね?」

「あの……ごめんなさい!」


 少年は一目散に駆け出すと、雑踏の中に消えていってしまった。


「あんなに慌てて……ふふふ……

……この絵、やっぱり。道行く人の似顔絵も描いているんだわ。

今度描いてもらおうっと。置いていった道具も、返してあげなくちゃね……」



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思い出5



「こんにちは、小さな画家さん。」

「あっ!? こ、このあいだの……?」

「忘れ物よ。」


 そう言って、セラは預かっていた少年の画材一式を渡す。


「ごめんね、見ちゃったわ。」

「…………」

「絵、上手なのね。良かったら、あたしも描いてくれない?」

「え……?」

「おいくらかしら?」

「あっ、その、お代は、出来てからで、その、良くなかったら、タダでも……」

「ふふふ。自信があるのね?」

「そ、そういうわけじゃ、あの、下手な物じゃあ、かえって迷惑になるし……」

「そんなことないわ。あたしはあなたに似顔絵を描いて欲しいの。お願い出来ないかしら?」

「あっ、あの、その……!……わ、わかりました……!」

「ふふふ。美人に描いてね?」

「…………」



 正面にセラが座ると、少年の様子が一変した。

透き通るようなまなざしでセラを見つめたかと思うと――

やがて、絵の具をのせた筆を、一心不乱に動かし始める――


「…………」

「…………」



…………

……



「――で、できました……!」

「ふふ、すっごく集中してたわね。あたしの方がみとれちゃった。」

「は、はい、こ、こ、これを……!」

「さてさて、君にはあたしがどんな風に見えて――!?

――これ、って――」


 少年が描き上げたセラの似顔絵。

 それは――


 ――深い深い悲しみに、

 唇をかみしめ、涙を流している表情だった――


「……こう、見えてるの……?」

「お、おねえさんには、きずがあります……まだ、ふさがってない……絵を通すと、見えます、わかります……

あなたは、まだ、全部は、受け入れきれては、いません……これが、あなたの、いまの、すがたです……」

「……そう。……やっぱり、そうなのね……

……う……

……うぅ……あああああぁぁぁぁ…………!」


 顔を覆った両手の指の隙間から、とめどもなく涙が零れ落ちる――

 ――まるで、少年の描いた絵、それそのものになってしまったように……


 そのとき。

 遥か彼方より、想いが光となり、空より射してくる――



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思い出6 (友情覚醒)



「この光は――?」

「!! お、おねえさん! 顔を上げて!」

「え……?」

「描きます、描き忘れていたものが、ありました!」


 ――涙でべとべとになったセラの顔が乾くよりも早く、少年が筆を走らせると――


「で、できました!これで、完成です!」

「……あ……!」


 少年が筆を加えたその絵には――

 セラのことを心配そうに見つめる、キャトラやアイリス、主人公に……

 メアやバイパー、オズマとおぼしき、多くの人影が加わっていた――


「…………」

「描けました……! こんなの、ぼくも、はじめて描きました……!

よ、よかったら、受け取ってください、ぼくも、満足した、初めての作品です……!」


「……ええ。

ありがとう……大切にするわ……」




 ***



……届いたかな……? ルーンの光で、アタシの気持ち……

心配しないで。きっと大丈夫。ね? 主人公?

だって、まだ帰ってこないんだもん……

誰がまだ帰ってこないの?

セラ! も~! アンタよ! アンタの帰りを待ってたのよ!

ええ、知ってるわ。

知ってる……?

離れていても、伝わってきたわ。こんなあたしだけど、心配してくれる人がいるのよね……

セラさん……

傷心旅行はもう終わり。休んでた分、バリバリ働かないと。

もうどこにもいかない?

そんなこともないけどね。旅行は楽しいもの。着いてからも、それまでの道中も。

<そう言うと、セラは読みかけの本に挟んであったしおりを取り、ひらりと投げた。>

あら? いいんですか? 途中だったんじゃ……?

いいの。この本、いいお話だったから――

――続きはいいの。ずっと途中で止めておくわ。

セラさん……

新しい本を読むことにする。好きだったシーンを、心に焼きつけたまま、ね――






アンニュイヴィジョン セラ・エレオノラ



その他



【メイン】
Brave The Lion 2 Story
2015/09/30
オズマ・思い出
メア(ダグラス2版)・思い出2015/09/30
Brave The Lion 3 Story2016/10/31


・相関図



コメント (セラ・思い出)
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